高音を出すには腹式呼吸が必要?初心者向けにやさしく解説

高音を出すには腹式呼吸が必要?初心者向けにやさしく解説 高い声の出し方

高音が苦しい時に「腹式呼吸ができていないからだ」と言われると、お腹から強く息を押し出そうとしがちです。
ところが、息を勢いよく増やしても、高い音が楽になるとは限りません。
かえって喉が空気を止めようとして締まり、声が大きいだけで苦しい状態になることがあります。

腹式呼吸は、高音を出す魔法の方法ではなく、必要な息を慌てずに使うための土台です。
声の切り替えや母音の形と組み合わせて初めて、サビの高音で役に立ちます。

腹式呼吸とはお腹から声を出すことではない

息は肺に入り、声は声帯の振動で生まれます。
「お腹で吸う」と感じる呼吸では、吸った時に下腹や脇腹、背中側がゆるやかに広がり、肩が大きく上がらない状態を目指します。

歌う時は、吸った息を一気に吐き切るのではなく、フレーズの長さに合わせて少しずつ使います。
例えば「スー」と細く息を吐いて十秒ほど安定するなら、息を急に逃がさず扱う感覚を確認できます。
お腹を硬く突き出したり、力を込めて空気を上へ押し上げたりする練習ではありません。

高音で必要なのは息の量より安定

初心者は高い音ほど多く息を送らなければならないと思いやすいものです。
実際には、声が高くなるほど声帯は薄く調整されるため、大量の空気をぶつけると振動が乱れ、声が割れたり喉が耐えようと力んだりします。

例えば、サビの一音で息をいっぱい吸い込み、腹部を押して大声で当てると、一度は音に届いても次のフレーズで声が疲れます。
同じ箇所を少し小さな音量で、吐く息を急に増やさずに歌うと、音程が通りやすくなることがあります。
腹式呼吸が助けるのは、この「必要以上に押さない」余裕です。

腹式呼吸だけで解決しない悩みもある

息が安定しても、地声を重いまま高音へ引き上げれば苦しさは残ります。
裏声への移り方が分からない人や、「い」「え」の高音だけ喉が締まる人は、声の軽さや母音の調整も必要です。

ロングトーンで途中から息が尽きる場合は、息の管理を練習する意味があります。
一方で、音を出した瞬間から痛い、顎が上がる、声がひっくり返るという場合は、呼吸だけを繰り返しても原因に届かないかもしれません。
自分の困り方を分けて考えると、練習の遠回りを減らせます。

初心者がまず確認する呼吸練習

床やベッドに仰向けになり、片手を胸、もう片方をみぞおちより少し下に置きます。
力を入れずに静かに吸い、上の胸を持ち上げるより、お腹周りが自然に広がる感覚を確かめてください。

次に、吸った息を「スー」で八秒から十秒ほど吐きます。
最初の二秒だけ勢いが強く、その後急に弱くなるなら、歌でもフレーズの入りで息を使いすぎる可能性があります。
一定に吐ける時間を少しずつ増やし、苦しくなる前に終えます。

立った状態では、肩を落とし、膝を固めず、同じ「スー」を行います。
寝た時にはできても立つと肩が上がる場合、歌う姿勢で急いで吸う癖が残っています。
一日に数回、短く確認する程度で十分です。

声に結びつける練習の順番

息だけを練習した後は、声を出す時にも同じ穏やかな流れが保てるかを試します。
楽な高さで「うー」を四秒ほど伸ばし、開始時に息が漏れすぎないか、終わりで押し込まないかを聞いてみましょう。

安定したら、低い音から少し高い音へ「う」で三音だけ上がります。
音が上がる場面でも、腹部を急に押さず、声量を増やさないことがポイントです。
高い方で苦しくなったら、出し切ろうとせず、一つ低い音へ戻して楽な状態を覚えます。

曲を使う時は、サビの苦しい言葉をまず母音だけで歌います。
例えば「会いたい」の「い」で締まるなら、「あーうー」など通しやすい音でメロディを確認し、息が乱れなくなった後に歌詞へ戻します。
呼吸と口の形が一緒に整うと、高音を強く押す必要が減ります。

息継ぎの場所も一度変えて録音してみてください。
高音の直前に慌てて大量に吸うより、少し前の区切りで静かに準備できると、サビの入りを押さずに歌える場合があります。
呼吸は単独の体操だけでなく、曲の流れの中で使えているかを確かめて完成します。

よくある失敗と直し方

大きく吸えば安心だと思い、歌う直前に胸いっぱいまで息を入れる人がいます。
吸いすぎると吐きたい圧力が強くなり、高音の出だしで喉が踏ん張りやすくなります。
実際の曲では、必要な分だけ静かに吸い、余裕のあるキーから歌う方が安定します。

お腹に力を入れ続ければ支えになると思うのも注意が必要です。
硬く固めた身体では、フレーズに合わせた細かな息の調整が難しくなります。
吐いている間に脇腹がすぐ縮み切らず、ゆっくり戻っていく程度の感覚を探してください。

また、呼吸練習を長く行った後に、高音曲を何度も通して喉を疲れさせては意味がありません。
練習後に話し声がかすれる場合は、息を押していないか、キーが高すぎないか、反復量が多すぎないかを見直します。

まとめ

高音を歌うために腹式呼吸は役立ちますが、それだけで音域が広がるわけではありません。
役割は、息を一気に押し出さず、声が軽く動くための安定した流れを作ることです。

まずは静かな吸気と一定の息、楽な音での短い発声を確認してください。
そこに声の切り替えや母音の工夫を加えることで、高音は力比べではなく、少ない負担で響かせる練習へ変わります。

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