りりあ。さんの歌声は、2019年の弾き語り投稿から2026年までに、静かな部屋の声から、作品の登場人物とライブ会場を背負える声へ広がりました。
初期の魅力だった透明感や、話しかけるような距離が消えたわけではありません。
スマートフォンへ一人で歌っていた声に、物語を演じる力、バンドの中で張る強さ、幸せを歌う明るさが加わっています。
変化の大きさは、最高音が伸びたかどうかだけでは測れません。
「顔もスタジオもいらない」と考えていた歌手が、人前へ出て歌い、同じ親密さを大きな会場まで届けるようになった過程にあります。
2019年から2020年 顔を見せず、部屋の声だけが先に届いた
りりあ。さんは2019年秋頃から、TikTokやYouTubeへ顔出しなしの弾き語りを投稿し始めました。
好きな曲のカバーで聴き手を増やし、初のオリジナル曲『浮気されたけどまだ好きって曲。』が大きく広がります。
当時の録音場所は自宅の部屋でした。
スマートフォンと無料アプリを使い、プロのスタジオでは緊張して普段通りに歌えないため、リラックスできる環境を選んでいます。

本人の姿が見えないぶん、聴き手は歌詞と声へ直接向き合いました。
『浮気されたけどまだ好きって曲。』も、配信を狙って作った作品ではなく、投稿を見た人からの要望を受けてリリースされています。
初期の歌声は、整ったスタジオ作品になる前から、話しかける近さを持っていました。
同時に、一人カラオケへ頻繁に通り、高い声を出せるよう練習を続けたいと話しており、自然さの裏で歌う時間を重ねています。
2021年 『私じゃなかったんだね。』で、素直な声が物語になった
2021年の『私じゃなかったんだね。』は、弾き語り投稿から火がつき、フルバージョンへ育った曲です。
装飾を削った歌声と、後半まで取っておかれた本音が、失恋の経過を一曲の物語にしました。
活動初期から、友人やSNSで届く相談を材料に曲を作っていました。
この曲では自分の実体験を初めて前へ出し、他人の気持ちを代弁する歌から、自分の痛みも重ねる歌へ踏み込みます。
大きく歌い上げるより、平静を保とうとする声の中から本音が漏れる構成です。
この時期に、透明な声という印象が、感情を運ぶストーリーテリングとして定着しました。
2022年 映画『バブル』で、自分ではない人物の声を引き受けた
2022年には映画『バブル』でヒロイン・ウタの声を演じ、エンディングテーマ『じゃあね、またね。』も担当しました。
ここで歌声の役割は、本人や身近な人の恋愛を歌うことから、物語の登場人物を生きることへ広がります。
歌は台本を読み、物語の流れと制作側から示された方向を受けて作られました。
映画の先に二人が生きていたら、どのようなやり取りをするかを想像して書いたといいます。

声の制作に関わった人からは、透明度の高さに加え、言葉が耳の奥まで届き、心の声のように聞こえる点が評価されました。
部屋で育った近い声が、アニメーションの人物の内面を語る声として生かされた転機です。
2023年 『貴方の側に。』で、失恋の外へ歩き始めた
『貴方の側に。』は、アニメ『わたしの幸せな結婚』の物語に寄り添って書かれました。
希望を持てなかった人物が、大切にしたい相手と出会い、前を向く気持ちを歌っています。
それまでのりりあ。さんには、失恋や未練を歌う人という強い印象がありました。
タイアップを経験する中で、原作の世界を守りながら自分の言葉も残し、少しずつ幸せな曲を書けるようになったと本人は振り返っています。
歌声も、壊れた関係を近くで告白するだけではなく、登場人物の小さな希望を支える役割を持つようになります。
悲しさを消したのではなく、悲しみの先に進む声が加わった時期です。
2024年 『あんたなんて。』と初ツアーで、隠す声と放つ声が分かれた
アニメ『らんま1/2』のエンディングテーマ『あんたなんて。』では、好きではないと言い張る人物の揺れを歌いました。
声の表情を薄くする歌い出しと、抑揚が増える後半が、素直になれない気持ちを作ります。
同じ年には初のワンマンライブと東名阪ツアーを経験しました。
もともと人と会うことやライブに苦手意識があり、やりたくないと話していた時期もありましたが、実際に始めると観客との会話を含めて面白さを感じるようになります。
部屋の録音では、感情を内側へ残す声が強みでした。
ステージでは、その親密さを保ちながら、会場へ届く音量と動きを身に付ける必要が生まれます。
2025年 アルバム『軌跡』とライブが、静かな声の別の顔を見せた
1stフルアルバム『軌跡』には、活動初期からの失恋曲、アニメ主題歌、新曲、アコースティック版がまとめられました。
本人にとっての歩みだけでなく、聴き手が自分の記憶を重ねるアルバムとして作られています。
『幸せな約束。』では、得意な破局の物語ではなく、幸せな関係を書く難しさに向き合いました。
原作へ寄り添いながら、りりあ。さん自身の世界観を残す仕事です。
同年のスタンディングツアーでは、張った声や力強く深い声も伝えられました。
音源では囁くように聞こえる『あんたなんて。』も、ライブでは感情の起伏がはっきりした歌になったと記録されています。
この変化は、初期の透明感を失ったことではありません。
一人へ話すような声と、会場を動かす声を、場面に応じて選べるようになった変化です。
りりあ。さんの現在の歌い方と発声では、言葉を近く保ちながら強弱を作る仕組みを詳しく整理しています。
2026年 『いつかちゃんと。』でも、近い声は作品世界へ開かれている
2026年7月には、アニメ主題歌『いつかちゃんと。』を発表しました。
初期にはSNSへ短い弾き語りを投稿し、反応を受けて曲を完成させていた歌手が、現在は作品の入口となる主題歌を継続して任されています。
冒頭に置いた公式MVは、この時期の歌声を確認できる映像です。
今も本人の顔を大きく見せる活動ではありませんが、声が運ぶ人物と物語の範囲は広がり続けています。
部屋の静けさは、規模が小さかった時代の弱点ではありませんでした。
誰か一人の心へ近づく声として残り、映画、アニメ、ライブへ場所を変えても活動の中心にあります。
変わらないのは、感情をきれいに片付けないこと
りりあ。さんは、幸せだけ、悲しみだけを歌うより、好きなのに嫌いと言う気持ちや、幸せだからこそ失うのが怖い感情を選びます。
失恋曲の材料も一つの答えで終わらせず、同じ相手や出来事から複数の歌を書けると話しています。
この割り切れなさは、初期から現在まで変わっていません。
変わったのは、それを自分の恋愛だけでなく、映画やアニメの人物、ライブ会場にいる多くの人へ渡せるようになったことです。
ReoNaさんの歌声の変遷にも、近い声を保ちながら大きなステージの強度を獲得する流れがあります。
出発点や表現する世界は違っても、静かな声が活動規模とともに単純な大声へ変わらなかった点を比べられます。
まとめ
りりあ。さんの歌声は、2019年の顔出しなし弾き語りから、2020年の自宅録音、2021年の実体験を込めた失恋曲、2022年の映画、2023年以降のアニメ主題歌へ広がりました。
2024年からはライブへ踏み出し、2025年には囁く音源だけでは見えなかった張った声と感情の起伏を会場で届けています。
2026年も作品世界へ寄り添う主題歌を発表し、声が担う物語はさらに大きくなりました。
初期の「天使の声」が別の声へ置き換わったのではありません。
部屋で守った話しかける距離を残したまま、人物、作品、観客へ届く範囲を広げたことが、りりあ。さんの歌唱の変遷です。
こちらの記事もおすすめ






コメント