田原俊彦は、長く歌って踊り続けてきた歌手です。
その姿を見ていると、息切れとは無縁のように感じるかもしれません。
けれど本人は、新曲『ナニコレ最高!!!』について、踊りながら歌う際の息継ぎが難しいと話しています。
早口の言葉、高い音、途切れない振付。
これらを重ねながら、フレーズを最後まで言い切ることが、この曲での課題でした。
早口の歌では、息を継ぐ位置と言い切るタイミングがつながる
『ナニコレ最高!!!』は、ジェームズ・ブラウンを思わせるファンキーな方向を、スタッフと相談して作った曲だといいます。
音楽制作チームのMISSING Sound Tracksが作曲と編曲を手がけ、短い時間に多くの言葉が詰まった歌になりました。
田原が歌うリズムも、その派手な演奏に加わる要素になっています。
2026年の『ナニコレ最高!!!』の取材で、田原は、ラップのように早口で歌う部分があることに触れています。
言葉を次々に出すだけでも息継ぎが難しく、さらに踊りながら、どこで息を継ぎ、どのタイミングで言い切るかを考える必要がある。
そう本人が語った曲です。
音も比較的高いと説明しており、言葉の速さに加え、高い音で歌うことも重なっています。
この話から、この曲を聴くときの焦点が見えてきます。
早口の部分で、一つひとつの言葉が次へ進む勢いと、フレーズを閉じる瞬間に耳を向けてみてください。
途中の言葉を勢いよく並べることと、最後まで言い切ることは、同時に求められています。
田原が息継ぎと終わりのタイミングを一緒に語った理由も、そこにあります。
言葉の量、息継ぎ、フレーズの区切りを合わせる。
その具体的な課題を知ると、軽快な曲を声で運ぶための呼吸やタイミングにも目が向きます。

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マイクの前で歌える曲も、踊ると難しくなる
同じ新曲について、田原はencoreの取材で、立って歌うレコーディングでは大きな苦労がなかったと話しています。
難しさが増すのは、そこに振付が加わったときでした。
曲の音や言葉を覚えて歌えることと、踊りながらその歌を保つことの間には、もう一段の課題があります。
MV撮影でも、田原は実際に声を出しながら踊っていたそうです。
見た目の熱量を出すとともに、歌と動きを体に入れるための取り組みでした。
本人によれば、撮影時にはまだ完全に身についておらず、仕上げるまで時間がかかったそうです。
覚えた振付を見せることに加えて、歌のタイミングまで一緒に身につける必要がありました。
encoreでは、ライブのリハーサルでバンドと合わせることにも触れています。
歌と振付を一人で覚えたあと、実際の演奏の中で通せる状態にする。
慣れた曲をただ再現するのとは違い、新曲では、この準備を改めて重ねているのです。
田原の軽快さを考えるうえでは、動きが重なったときの歌に注目すると分かりやすくなります。
曲の言葉と旋律に、身体の動きを合わせて歌う。
本人が語る難しさは、そこにあるのです。
歌に集中する場面を、動きの中にも作っている
田原はこの曲の振付について、ダンサーと動きをそろえる部分がある一方、歌中には自由に動き、ボーカルに専念する場面もあると説明しています。
周囲とそろえて見せる部分と、自分の歌に集中する部分を使い分けています。
本人が動きをそろえる箇所として挙げたのは、イントロ、サビ、間奏、曲の終わりです。
サビも踊る構成なので、歌うときにはすべての動きを小さくする、という一律の分担ではありません。
この使い分けも、踊りながら歌う田原を考える手がかりです。
動きの大きさばかり追うと、歌に集中する場面の意味を見逃してしまいます。
言葉が続くところで声をどう運び、区切りまで届けるのか。
その歌の流れと、本人の動きの選び方を一緒に見ると、歌とダンスの関係を捉えやすくなります。
原曲のキーで歌うために、声の準備も続ける
2024年末の音楽番組の取材で、田原は、昔の曲を当時のキーのまま生で歌うため、トレーニングを続けていると話しています。
このとき披露する曲として挙がっていたのは、『ごめんよ涙』『ジャングルJungle』『抱きしめてTONIGHT』でした。
長年の代表曲も、歌い慣れているから準備がいらないというわけではないのです。
同じ取材では、年間およそ30本のライブと、そのリハーサルが身体のトレーニングにもなっていると説明しています。
ジムには通っていないという話の一方で、歌声については、原曲の音の高さを出せるように練習していると明言していました。
華やかなステージから受ける、いつも余裕で歌っているという印象の奥には、維持するための仕事があります。
キーを保つことと、若い頃の声をそのまままねることは別の課題です。
田原の場合、覚えている曲の旋律で楽しんでもらえるようにしながら、現在の声と身体で歌い切る必要がある。
声の高さに加え、言葉が続く部分や踊った直後まで保てるかという、本稿の呼吸の問題にもつながります。
激しい間奏のあと、歌に戻る瞬間にも注目したい

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別の曲では、『チャールストンにはまだ早い』の間奏からの戻り方も、注目する箇所です。
2021年11月10日の東京国際フォーラム公演を伝えるユニバーサルミュージックのライブレポートは、激しく踊ったあと、何事もなかったように2コーラス目を歌い出す姿を取り上げています。
歌い出しが来るまでに、身体の動きは続いている。
その直後に、曲の中へ声を戻すところが、具体的な見どころとして記録されているのです。
『ナニコレ最高!!!』で本人が語った苦労からも、踊りながら歌う負担は伝わってきます。
それでも、言葉を最後まで届け、次の歌い出しに戻ってくる。
田原のステージの軽快さは、そうした歌のつながりにも支えられています。
一方、一公演の中には、歌をじっくり聴かせる場面もあります。
2020年8月の配信ライブを伝える公式レポートでは、バラード『好きになってしまいそうだよ』のあとに、ラップと激しいダンスを含む『ジャングルJungle』が続いたことが記されています。
終盤には『ラストソングは歌わない』も置かれました。
伸びる旋律を歌い上げる曲から、言葉と動きが細かく続く曲へ移る。
こうした曲順をたどると、息継ぎとフレーズの区切りも、一種類の曲だけで考えられないことが分かります。
一曲の派手な動きに目を奪われたあとには、バラードの言葉の終わり方にも耳を向けてみたくなります。
田原俊彦の歌では、声の高さだけでなく、言葉の連続と区切り、踊ったあとの歌い出しに耳を向けてみてください。
動きが激しいからこそ、声が曲の流れを保つ瞬間が際立ちます。
本人が具体的に語った呼吸の課題を手がかりにすると、歌って踊る姿の中から、歌の仕事をもう少し細かく見つけられます。
初期の録音から歌い直し、現在の歌へと続く変化は、田原俊彦の歌唱変遷でたどっています。







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