Soの歌声を考えるとき、まず気になるのはあの高音でしょう。
ただ、Fear, and Loathing in Las Vegasの歌を作っているのは、高さを出す力だけではありません。
自分の声が伸びるキーを選ぶこと、言葉に合わせて旋律をつなぐこと、加工した響きと歌い手の表情を調整すること。
曲作りと歌唱の具体例から、Soが声を生かす方法を見ていきます。
「高いほど良い」より、自分の声が映える高さ
Soの高い声は、他の歌手が同じ曲に取り組む場面でも存在感を示します。
ラスベガスがRAISE A SUILENへ提供した「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」では、Raychellが録音前に、高いキーに対応できるか確認されていました。
Soを想定した高さだったためです。
難しければメロディーを変える案もありましたが、Raychellは変更せずに歌い切ったと話しています。
この話から分かるのは、曲の設計段階でSoの声の高さが基準になっていることです。
高音の出る歌手を後から難しい曲へ当てはめるだけでなく、歌う人の声を前提に旋律を作る。
Soのハイトーンの魅力には、声と曲が合う場所を選ぶ制作の工夫も関わっています。
低い声が聞こえたとき、誰が歌っているか
ラスベガスには、SoとMinami以外のメンバーが歌う場面もあります。
「Sparkling Sky Laser」では、Soの高音で進んだ後に、Sxunのクリーンな歌が現れます。
制作中にはSoに低く歌ってもらう案もありましたが、場面の印象を大きく変えるため、Sxun自身が歌い込む形になりました。
曲の途中で声の雰囲気が変わる仕組みには、歌手を替えるという選択もあるのです。
一方、この曲の終盤ではSo自身もシャウトを入れています。
激しい声をすべてMinamiの担当だと思うと、こうした分担を取りこぼします。
声の高さや質感に加えて、誰がその場面を歌うかまで含めた組み立てなのです。
「Just Awake」は、言語が変わると歌い方も変わる
「Just Awake」の英語版では、単に日本語の歌詞を翻訳して載せ直したわけではありません。
Soによると、最初から両方の言語で歌うことを想定し、まず日本語に合う短い音の運びを作っていました。
英語版では、その切り方をそのまま使わず、音程を動かしながら続けて歌える形に変えています。
同じ曲でも、言葉を切る位置や、音をつないでいく感触が変わるのです。
これは言語ごとの決まりではなく、Soがこの曲で行った調整です。
日本語版と英語版を聴き比べるなら、音の高さだけでなく、ひとまとまりの言葉がどこまで続くかに注目すると、本人の狙いに近づけます。
高音を出すだけでなく、言葉を運ぶ長さも選んでいるのです。
加工した響きの中で、歌い手の表情を変える
Soは、オートチューンの響きを好みながら、言葉を伝えるために効果を減らしたことも明かしています。
加工の強さも、その歌で伝えたいものに応じた選択です。
「Something to Gain After the Pain」では、So自身が最初のサビの歌い方に、少し奇妙で格好いい感触を狙ったと話しています。
まっすぐ歌い上げるだけでなく、癖のある表情も選んでいるのです。
こうした録音の響きを、そのまま喉の動きの説明に置き換えることはできません。
Soの歌には本人の声の選び方があり、同時に作品としての音作りがあります。
高音、言葉のつなぎ方、他の歌い手との組み合わせをたどると、加工された声の中にも、曲ごとの判断が見えてきます。
バラードでも、声だけにすべてを任せない
「To Catch the Right Way」は、歌を前に出すバラードとして作られました。
ただ、Sxunによれば、メロディーだけで曲を引っ張る強さを出すのは難しく、トラックやリズムに工夫を重ねています。
シンセサイザーの弦楽器の音色も取り入れ、細かな音の配置と迫力を両立させようとしました。
Soの歌を際立たせる方法は、伴奏をただ減らして声をむき出しにすることだけではなかったのです。
So自身が気に入っていると話したのも、サビのメロディーと曲の雰囲気が合っている点でした。
繰り返す言葉には、何が正しいかを毎夜考え続ける意味を込めています。
ここでは言葉の意味、旋律、伴奏の組み合わせまでが歌の表情を支えています。
声を動かす準備と、歌いながら動く準備

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ライブ前の準備について、Soは低いところから高いところまで声を動かすウォーミングアップを挙げています。
本人が「オタケビ」と呼んでいる発声です。
さらに、気分の上がる曲を聴きながら腿上げをして、心身の状態を整えるとも話していました。
声の準備と、ステージで動き出すための準備を、一緒に行っているのです。
体操教室では筋力や走る力、体幹を鍛えていたことも明かしています。
Soが目指すのは、自分が楽しんでいる姿につられて、観客も笑ったり踊ったりするライブ。
動きや表情、客席への呼びかけまで含めて歌を届けるために、身体を使う準備も重ねていました。
自分の声をどう聴くかも、ステージを支える要素です。
2019年、ライブ用のイヤーモニターについてSoは、楽器の音と声が混ざって埋もれずに聞こえる点を評価していました。
耳元で声と伴奏を確認する環境も含めて、あの舞台の歌が成り立っています。
2024年の「SATANIC CARNIVAL」でも、Soは「Return to Zero」で歌い上げながら客席を引き込み、「Virtue and Vice」では自分と同じ動きをするよう観客に呼びかけていました。
声を聴かせる場面と、観客の身体を動かす場面が、一つのライブの中につながっています。
歌の合間の呼びかけや動きも、Soが目指す楽しさを客席に広げる具体的な手段なのです。
So自身は2025年、会場が大きくなっても、演奏が始まれば基本の気持ちはあまり変わらないと話しています。
決めた曲をしっかり届け、どこまで観客に響かせられるか。
一方で広いステージでは動く量が増え、疲れ方が違うことも実感していました。
歌と動きの両方を届ける歌手らしい、具体的な感覚です。
Soの歌い方は、高い声を持っているという一言では終わりません。
その声が生きる高さを選び、言語に合わせて音をつなぎ、別のメンバーの声と組み合わせて曲の表情を変える。
ライブでは、そこへ自分も客席も動き出すための準備が加わります。
こうした選択が時期とともにどう広がったかは、Soの歌唱変遷でたどっています。

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