coldrain Masatoの歌い方はなぜ叫びと歌がつながる?英語・高音・シャウトの発声を分析

coldrain Masatoの英語・高音・シャウトの歌い方と発声を分析する記事のアイキャッチ Masato(coldrain)

coldrainのMasatoさんは、きれいに音程を運ぶ声と、輪郭が崩れそうなほど荒い声を一曲の中で行き来します。
それでも歌が二つに割れて聞こえないのは、クリーンとシャウトの間に「叫びながら歌う」中間の声を育ててきたからです。

この声は、生まれつき何でも出せた結果ではありません。
あるカバー曲をきっかけに別の歌手の声を研究し、まず録音で何度も作り込み、それを後からライブで使える声へ変えていきました。
Masatoさんの面白さは、喉の強さより、スタジオを発声の実験室にした順番にあります。

転機は、録音でしか出せない声を先に作ったこと

2019年、Masatoさんはクリーンな歌に以前より力強さが加わった理由を明かしています。
きっかけは、CrossfaithとLINKIN PARKの「Faint」をカバーし、Chester Benningtonの声を改めて研究したことでした。

そこで見つけたのが、普通に歌う声でも、音程を捨てたシャウトでもない音色です。
本人の言葉を分かりやすく言い換えるなら、旋律を保ったまま声の表面だけが叫びへ近づく状態でした。

最初からライブで安定して出せたわけではありません。
まずレコーディングで納得するまで何度も試し、その方法を続けるうちに、ステージでも扱えるようになったと説明しています。

ここがMasatoさんの高音を考えるうえで大切です。
完成したライブ技術を録音したのではなく、録音でまだ使い慣れていない声を完成させ、身体が後から追いつきました。

クリーンとシャウトは二つの部屋ではなく一本の廊下にある

歌声の解説では、Masatoさんを「ハイトーンのクリーンボーカル」と見る記事もあれば、「スクリームを使い分ける歌手」と見る記事もあります。
どちらも一部を捉えていますが、二種類の声をスイッチで交換するだけでは、coldrainのつながり方を説明し切れません。

クリーンとシャウトの間に攻撃的な歌声を育てたcoldrainのMasato

Masatoさん自身が語った「アグレッシブなクリーン」は、二つの声の中間にあります。
音程と言葉は歌の側へ残しながら、勢いやざらつきはシャウトの側から借りるため、穏やかな旋律から激しい部分へ移っても別人の声になりにくいのです。

たとえるなら、クリーンとシャウトは離れた二つの部屋ではありません。
その間に長い廊下があり、曲の温度に合わせて少しずつ荒さを増減しています。

「MAYDAY」では、より極端なシャウトをCrystal LakeのRyoさんへ任せました。
Masatoさんが自分でも歌える場所をあえて別の声へ渡したことからも、激しさを全部一人で見せるより、声の色が曲でどんな役を担うかを重視していることが分かります。

録音方法が変わるたび、声の輪郭も変わった

結成初期のcoldrainには、ライブで出せる勢いを音源へ持ち込めない悩みがありました。
Masatoさんは、初期作品ではステージで叫んでいる感覚や感情を録音へ十分に移せなかったと振り返っています。

その後は録音環境を変え、ライブの緊張感を音源へ近づけました。
さらに海外プロデューサーとの制作では、一曲を通して歌える形にこだわらず、一行ずつ最もよい声を積み上げる方法も経験しています。

一見すると、これはライブから遠ざかる作り方です。
しかしMasatoさんの場合、スタジオでしか成立しなかった音色を繰り返し使い、最終的にはライブへ持ち帰っています。

歌手の実力を「一発で全部歌えるか」だけで測らない視点が、ここから生まれます。
録音は実力を隠す加工ではなく、まだ身体が知らない声を先に発見する場所にもなり得るのです。

英語は格好をつける飾りではなく、声の設計そのもの

Masatoさんは日本とアメリカにルーツを持ち、coldrainでは長く英語詞を中心に歌ってきました。
初期には、日本のアニメやタイアップで日本語詞を求められ、機会を逃したこともあったと語っています。

それでも英語を続けたのは、海外風に聞かせるためではありません。
本人にとって、自然に言葉を書けるのが英語であり、無理に日本語を英語らしい発音へ変えることにも抵抗がありました。

英語では子音を短く立て、母音を必要な長さへ伸ばすことで、重い演奏の中にも言葉のリズムを置けます。
ただし、これは「英語っぽく口を巻けばMasatoさんになる」という意味ではありません。
英語の歌詞で高音が出にくい理由でも整理したように、日本語とは母音と子音の並び方が違うため、まず言葉の自然さが声の形を決めます。

2025年の「CHASING SHADOWS」では、日本語詞を含む歌にも踏み込みました。
長く守った英語の個性を捨てたのではなく、無理に使わないと決めていた日本語を、必要な曲で自然に選べるところまで活動が進んだのです。

高音が強く聞こえる理由を「地声だから」で終わらせない

Masatoさんの高音を、地声寄りのミックスボイスと説明する発声記事があります。
別の解説では、明るいクリーン、歪みを加えた歌声、スクリームを細かく分けています。

説明が割れるのは不思議ではありません。
同じ歌手でも、音の高さ、音量、言葉、曲の感情によって、声の混ざり方は変わるからです。

重要なのは、すべての高音を太い地声のまま押し上げているわけではないことです。
録音では一行ずつ最適な音色を選び、ライブではその色を再現できる範囲へ育てるという本人の話からも、一つの発声だけで全曲を押し切る考えとは離れています。

Takaさんの高音が旋律の抜けとロックの強さを軸に語られやすいのに対し、Masatoさんは歌声をどこまでシャウト側へ近づけても旋律を残せるかを長く試してきました。
同じ強い男性高音でも、目指している境界が違います。

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「INCOMPLETE」にあるのは、完璧な声より不完全さを選ぶ余裕

近年のcoldrainは、整いすぎること自体を疑う作品へ進みました。
「INCOMPLETE」という題名も、欠点を隠すより、不完全な人間の感情を曲の強さへ変える姿勢とつながっています。

完璧さだけでなく人間らしい揺れも現在の歌へ取り込むcoldrainのMasato

これは歌が雑になったという話ではありません。
過去には最良の一行を積み重ねる録音を徹底し、現在は加工した声や日本語まで、曲に必要なら選べるようになりました。

技術を持たないまま崩すのと、整えられる人が意図的に崩すのは別です。
Masatoさんの現在地は、クリーンもシャウトも正確に分けたうえで、その境目を作品ごとに汚せる自由だと言えます。

表面の荒さより、声を育てた順番を参考にする

Masatoさんのように歌おうとして、最初から大声に歪みを足すのは危険です。
本人でさえ、録音で繰り返し作った音色をライブで使えるようになるまで時間をかけています。

参考にしやすいのは、声そのものではなく考え方です。
今できる声だけを完成形にせず、録音で自分の声を確認し、曲に必要な色を少しずつ増やしていく姿勢なら、喉の強さに頼らず取り入れられます。

痛み、強いかすれ、普段より重い話し声が出るなら、それは「攻撃的なクリーン」ではありません。
高い声を出すとすぐ枯れる場合の見直し方を確認し、荒い音が出たことより、翌日も普通に話せることを優先してください。

まとめ

coldrainのMasatoさんの歌い方が、クリーンからシャウトへ移っても一つにつながって聞こえる理由は、その中間に攻撃的な歌声を育てたからです。
きっかけは別の歌手の研究でしたが、録音で何度も作り込み、ライブで使える声へ変えたことで、coldrain独自の連続性になりました。

英語、高音、歪みは、別々に並ぶ得意技ではありません。
言葉の自然さを守り、スタジオで声の色を発見し、ステージへ持ち帰るという同じ方法から生まれています。
Masatoさんの強さは、叫べることより、叫びと歌の間を自分の声で埋めてきたことにあります。

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