菊池風磨が17歳の頃に歌った「rouge」は、22歳のライブでも、2024年のtimeleszの舞台でも歌われています。
同じ曲を持ち続けながら、その時の自分をどう見せるかを変えていく。
その一方で、自分の幼い記憶を歌にした「Cocoa」や、グループの体制変更に伴う歌割りの再構築にも取り組んできました。
菊池の変遷には、一人で曲を背負う表現と、仲間の声と一緒に曲を作り直す表現の、両方があります。
Sexy Zone時代からの作品と公演の記録、本人が語った制作の経緯からたどります。

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2014年、グループの中で自分の歌をどう見せるか
「rouge」は、2012年のファーストアルバム『one Sexy Zone』に収録されたソロ曲です。
後の公演評では、17歳の頃から色気を感じさせる曲として振り返られています。
ただ、個性があることと、それをグループの中で生かすことは、同じ課題ではありませんでした。
2014年の評では、王子様のようなグループ像と、クールでやんちゃな菊池の個性がぶつかって見えた時期が取り上げられています。
その印象が、19歳を迎える頃には変わってきた。
曲に応じた歌い方やマイクの持ち方を工夫し、自分の立ち位置も理解して動く姿が注目されていました。
この時期のツアーでは生バンドが導入され、その音楽的な迫力に菊池のパフォーマンスが映えたとも評されています。
自分の個性を持ちながら、曲や周囲の音の中でどう届けるかを探っていた時期です。
同時期の作品として、『Sexy Second』(2014年)の「We Gotta Go」をたどれます。
『Sexy Second』(2014年)収録の「We Gotta Go」のミュージックビデオ(短縮版)。
2017年の「rouge」は、すでにある曲を今の自分で歌う
2017年の『Sexy Tour 2017~STAGE』では、ファンが求めるものを察して見せる菊池の力が取り上げられました。
その具体例が「rouge」です。
当時の評は、17歳の歌唱にもあった色っぽさに、22歳の表現では大人の色気が加わったと捉えています。
聴き手がその曲に期待するものを受け止めながら、現在の自分の表情を重ねる。
その関係が見えた歌唱だったのでしょう。
この年の「rouge」は、5月6日の横浜アリーナ公演を収めた映像作品『Sexy Zone Presents Sexy Tour 2017~STAGE』にも残っています。
新しいソロ曲を増やすことと並んで、持ち曲を歌い直す時間が、菊池の表現を育ててきました。
2019年の「Cocoa」で、自分の記憶を声にする
『PAGES』通常盤に収録された「Cocoa」では、題材がぐっと身近になります。
本人がラジオで語った内容を伝える記事によると、出発点は、自分の一番古い記憶をたどることでした。
幼稚園に入る前、父に公園へ連れていってもらい、遊んだ後に温かいココアを買ってもらった記憶です。
その頃の自分を振り返り、今の自分を見直し、これからどうなっていくかを考える。
菊池はそうした曲として「Cocoa」を説明しています。
作詞を菊池風磨、作曲を父の菊池常利が担当した、親子で作った作品でもあります。
思い出の中にいる父と、現在の制作でも一緒になったわけです。
歌い方にも、身近な記憶に近づく語り口を聴き取った評があります。
2025年に同曲を取り上げた中村辰之介の批評では、電話の声に続き、ぽつぽつとつぶやくように始まる歌が注目されています。
そこから少しずつ韻を踏む流れに、心地よさを感じたという評です。
同じ批評は、心の中で思っていた言葉がゆっくり現れてくるような曲とも捉えています。
気持ちを大きく掲げるだけでなく、歩いたり電車に乗ったりしている人の内側へ近づいていく語り口です。
「rouge」で聴き手に向けて見せる人物像とは違う、自分の記憶をそっと差し出す表現が、ソロ曲に加わりました。
2024年、「rouge」を再び舞台へ戻す
「rouge」は、2024年のツアーでもソロコーナーに選ばれました。
7月23日の横浜アリーナ公演を伝えたレポートによると、赤いジャケットで登場した菊池は、曲の途中でマイクを使わず、アカペラで声を響かせています。
一曲の途中に声だけのひとときを置き、会場の耳を引き寄せる。
長く歌ってきた曲を、その場でどう届けるかという工夫が続いています。
3人体制では、自分が歌う場所も組み直した
2024年のグループの歌には、別の変化もありました。
中島健人の卒業後、菊池風磨、佐藤勝利、松島聡の3人で臨んだツアーでは、以前の曲の歌割りを組み直しています。

画像出典:ぴあ(音楽ナタリー配信)
2025年1月19日のラジオで菊池は、一曲のバランスを考え、自分の担当箇所も他の二人へ渡すなど、全体を振り直したと説明しています。
慣れた箇所で歌いそうになってマイクを下げたこともあり、自分の番を覚え直す必要がありました。
公演での具体例が「夏のハイドレンジア」です。
2024年7月23日のレポートでは、それまで中島が担っていた冒頭を菊池が歌い、会場の感情を動かした場面が伝えられています。
ソロの「rouge」を再び自分の声で聴かせる一方、グループでは、聴き慣れた曲の入り口を担う。
同じツアーの中でも、菊池の声には異なる役割がありました。
『We’re timelesz LIVE TOUR 2024 episode0』— 2024年のツアーの公式ライブダイジェスト。
「rouge」で同じ曲の表情を育て、「Cocoa」では自分の記憶へと歌の題材を広げる。
さらにグループの変化に合わせて、これまで歌ってきた曲の担当も考え直す。
菊池の歩みをたどると、個性を磨くことと、曲の中で自分の声が受け持つ役割を選び直すことが、並んで進んできたのが分かります。
甘い声やファルセット、曲ごとの歌い回しは、菊池風磨(timelesz)の歌い方で掘り下げています。

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