佐々木舞香(=LOVE)の歌声はどう変わった?声優志望から「絶対アイドル辞めないで」まで

佐々木舞香の歌声を声優志望のデビュー期から現在までたどる記事のアイキャッチ 高い声の出し方

佐々木舞香さんの歌声は、デビューから現在まで、単純に太くなったり高くなったりしたわけではありません。
最も大きく変わったのは、歌の中で引き受けられる人物の数です。

声優を目指していた少女は、当初、自分がアイドルになることも、常に明るく振る舞うことも想像していませんでした。
それでも活動を重ねるうちに、かわいい声を作ること、頭の中で恋愛ドラマを始めること、喪失感を抱えた主人公として歌い切ることを覚えます。

2024年には活動休止を経て、復帰発表と同じ日に『絶対アイドル辞めないで』のミュージックビデオが公開されました。
その重なりを本人の健康状態と結びつけて説明することはできませんが、ファンが歌の言葉を特別に受け取る出来事になったのは確かです。

音程の安定が増したという一本道ではなく、「アイドルでいる自分」と「役を演じる自分」が少しずつ同じ場所へ集まった過程をたどります。

2017年 声優志望の少女が、想定外のアイドルになった

佐々木さんは、もともと声優を目指していました。
オーディションへ挑戦した時も、自分が合格してアイドルになるとは思っていなかったと話しています。

デビュー当初の=LOVEには「声優アイドル」という明確な看板がありました。
声で人物を表現したい佐々木さんにとって入口は近かったものの、歌とダンスを伴うアイドル活動は未知の世界です。

当時は、アイドルならいつもかわいく、明るく、きらきらしていなければならないと思い込んでいました。
落ち着いた性格やさまざまな感情を持つ自分を、どこまで見せてよいのか分からなかったのです。

初期の歌声を考える時、この戸惑いは重要です。
声優として役へ入りたい気持ちはあっても、まず「アイドル役の正解」を探している段階だったからです。

2018年 最初の活動休止と、12人で立った復帰の舞台

2018年8月、佐々木さんは体調を理由に活動を休止しました。
同年12月、幕張メッセで行われた全国握手会のミニライブに登場し、約4か月ぶりに活動を再開します。

復帰の場で披露されたのは、グループのデビュー曲でした。
12人がそろって歌ったこと自体が大きな出来事であり、この時期を声の調子や発声の変化まで推測して語るべきではありません。

確認できるのは、一度ステージを離れた後、同じメンバーの中へ戻ったという事実です。
後に「アイドルでいること」を自分の言葉と歌で引き受けていく佐々木さんにとって、最初の中断と再開になりました。

2020年『しゅきぴ』 自然体ではなく、声を作ることを覚えた

『しゅきぴ』は、佐々木さんが歌の中で別の人物になる方法をはっきり示した曲です。
普段の自分より甘く、明るく、かわいさを前面に出す必要がありました。

最初の録音では、その人物になり切ることへ照れが残りました。
けれど、中途半端に自分を守るより、声を意識的に作って歌い切る方を選びます。

歌唱面では、軽く聞こえる声と長い音が同時に求められ、息の配分にも苦労しました。
この経験によって、かわいい声は自然に出る性格ではなく、準備して成立させる表現になりました。

デビュー期に探していた「アイドルらしい正解」を、借り物の型ではなく、一曲の役として扱えるようになった転機です。

2021年『夏祭り恋慕う』 声より先に、頭の中で物語が動き始めた

翌年の『夏祭り恋慕う』では、作ったかわいさとは別の方法を使いました。
事前の歌入れで恋愛ドラマの場面を思い浮かべ、感情が込み上げるほど主人公へ入った歌が、曲の雰囲気に合うと評価されます。

夏祭り恋慕うで情景から声を作った佐々木舞香

『しゅきぴ』では、外側から声色を作り、役へ近づきました。
この曲では、先に場面と感情を作り、その結果として声の切なさが生まれています。

同じセンター曲でも、表現の入口が逆になったことが面白いところです。
声優志望だった経験が、歌声を変える技術ではなく、人物の生活を想像する力として表へ出ました。

2022年『あの子コンプレックス』 初の表題センターで、感情を逃がさなかった

2022年、佐々木さんは『あの子コンプレックス』で初めて表題曲のセンターを務めました。
本人にとって音域は比較的歌いやすかったものの、歌い終わるまで重い感情を保つことが難しい曲でした。

『しゅきぴ』のように日常とは違う声を作るより、小説を読むように主人公の気持ちを追っています。
悲しさを一瞬だけ強く見せるのではなく、一曲の間ずっと手放さないため、身体より心が消耗する歌になりました。

メンバーは、これまでのセンター曲に異なる佐々木さんがいると見ています。
かわいい役を演じ、切ない場面を想像し、今度は痛みを抱え続ける人物になったことで、声の種類ではなく人物の種類が増えました。

佐々木舞香さんの現在の歌い方では、三曲で変わる表情と、それでも崩れない声の芯を詳しく整理しています。

2023年 理想のアイドル像から、自分のままで立つ方向へ

活動を続ける中で、佐々木さんのアイドル観も変わりました。
当初は常に輝く人でなければならないと思っていましたが、ファンは明るい面だけでなく、さまざまな表情を受け止めます。

その安心が、歌で使える人物の幅にもつながりました。
自分を一つの型へ押し込む必要がなくなれば、曲の中で思い切り別の人になっても、戻る場所を失いません。

一つのアイドル像に収まらず表現を広げた佐々木舞香

声の変化を、太さや高さだけで測ると、この段階は見えにくいでしょう。
実際には「どう見られるべきか」という緊張が薄れ、歌ごとの役を大きく動かせる余白が増えています。

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2024年 再び休み、復帰発表の日に『絶対アイドル辞めないで』が届いた

2024年5月、佐々木さんは体調を理由に活動を休止しました。
6月22日に、26日から活動を再開することが公式に発表されます。

同じ6月22日、『絶対アイドル辞めないで』のミュージックビデオが公開されました。
センターに立つ佐々木さんと曲名が重なったことで、ファンにとっては作品の枠を越えて響く一日になります。

ただし、休止の詳しい事情や録音時の状態は公表された範囲を越えて推測できません。
曲が本人の休止を題材にした、復帰のために作られた、と結びつける根拠もありません。

それでも、デビュー当初に「自分がアイドルになるとは思わなかった」人が、この曲の中心にいる事実には長い時間の重みがあります。
アイドルの正解を探していた少女が、アイドルを続ける願いそのものを背負う位置まで進みました。

2025年以降 曲の主人公と、佐々木舞香本人が同時に見える

近年の公式映像では、グループの一員として踊りながら、担当する言葉の人物へすぐ切り替わる姿を確認できます。
これは映像だけから発声を断定する材料ではなく、本人が語ってきた役作りを読者が確かめるための資料です。

初期には、アイドルらしい自分をどう見せるかが先にありました。
現在は、佐々木舞香本人の落ち着いた個性を隠さず、その上で曲の主人公へ移れます。

「口から音源」という呼び名も、ここまで来ると正確さだけを表しません。
違う人物へ何度移っても、音の中心と言葉が崩れないため、物語と本人の両方が見える歌になっています。

鈴木愛理さんの歌唱変遷と比べると、アイドル像を守ることと、自分の幅を広げることが対立しない点がよく分かります。
経験が増えるほど、決められたかわいさではなく、自分で選べる表情が増えていきます。

変わったのは声そのものより、歌の中で生きられる人数だった

佐々木舞香さんの歌唱変遷は、初期より高音が出るようになったという話だけではありません。
声優志望だった一人の少女が、歌の中でさまざまな人物として生きられるようになった歴史です。

『しゅきぴ』では、照れを越えてかわいい声を作りました。
『夏祭り恋慕う』では、先に場面を想像し、『あの子コンプレックス』では、重い感情を一曲の間抱え続けます。

三つの経験は、声色、情景、感情という別々の入口を与えました。
その後の『絶対アイドル辞めないで』では、曲の主人公と、アイドルとして歩いてきた本人の時間が同時に見えるところまで来ています。

まとめ

佐々木舞香さんの歌声で最も大きく変わったのは、音域ではなく役の幅です。
デビュー時にはアイドルらしい正解を探していましたが、活動を重ねるほど、自分のままで別の人物を演じられるようになりました。

二度の活動休止を、声の状態と結びつけて語ることはできません。
一方で、離れた舞台へ戻り、歌の中で新しい人物を引き受けるたびに、アイドルでいる意味が重なってきたことはたどれます。

『絶対アイドル辞めないで』が特別に響くのは、曲名が強いからだけではありません。
声優志望から始まり、アイドル像に迷い、何人もの主人公を歌ってきた佐々木さんの時間が、その中心に立っているからです。

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