相羽あいな(Roselia)の歌い方|低い声の厚み、息の配分、友希那として選ぶ響き

2023年の取材での相羽あいな(池上夢貢撮影/SPICE掲載) シンガー
2023年の取材での相羽あいな(池上夢貢撮影/SPICE掲載)

相羽あいなの歌では、強い高音とともに、低めの声の厚みも大切な役割を持っています。
2026年の「BLACK SHOUT」の録り直しでは、本人も、中音域の表現が変わったと話していました。

その声は、ただ大きく出すだけで作っているものではありません。
同じ音をどう響かせるか、どこで息を使うか、友希那としてどんな声を選ぶか。
本人の説明から、発声と聴かせ方の工夫を見ていきます。

「BLACK SHOUT (10th anniv. ver.)」公式配信音源(2026年の再録版)。

同じ低音でも、重さを変えて聴かせる

「VIOLET LINE」の取材で相羽は、同じ低い音でも、出し方で重く聴こえたり、軽やかに聴こえたりすると説明しています。
音の高さを変えずに、聴く側が受け取る質感を選んでいるのです。

高音が出るかどうかだけを追うと、こうした歌の作り方は見えにくくなります。
相羽が声を選ぶときには、低い音にも、曲の印象を変える余地があります。
厚みのある響きを、どこで使うかという判断も、歌い方の一部です。

「VIOLET LINE」公式配信音源(2023年版)。

地声とファルセットの選択にも、友希那の姿が関わる

2023年の佐倉綾音との対談では、相羽は、友希那の歌では原則として裏声を控え、本人が「地声」と呼ぶ声を中心に選ぶと説明しています。
当時は、裏声を入れると、高校生らしさより大人っぽさが強くなると考えていました。

使える声を、いつでも全部使うわけではありません。
歌の表現には、技術とともに、誰の声として響かせるかという選択が入っています。
その後の取材で、大学生になった友希那の大人っぽさにも触れていることを考えると、キャラクターとして選ぶ響きも、時期や曲によって動いていると捉えられます。

その選択は、ライブの呼びかけにも及びます。
同じ対談で相羽は、普段は友希那らしさを考えて客席をあおることを控え、大切な場面では少しだけテンションを上げて声を出すと話しました。
歌の外でも、役としてどこまで感情を前へ出すかを選んでいるのです。

力強い声を持つからこそ、ずっと強く見せるのではなく、普段の落ち着きとの違いが意味を持ちます。
歌から呼びかけへ移るところも含めて追うと、友希那として声を使う考え方が伝わってきます。

「Swear ~Night & Day~」で考えたい、息の配分とフレーズ

相羽は2023年の取材で、「VIOLET LINE」や前年の「Swear ~Night & Day~」を例に、休符やブレスの機会が少ない曲が増えたと話しています。
あえて途中で息を入れないことで、気持ちよい歌のラインになる場合もあるという説明でした。

「Swear ~Night & Day~」2022年9月22日の「Sonnenschein」での公式ライブ映像。

高い一音を強く出すことと、言葉の続くフレーズを歌い切ることでは、考えることが変わります。
どこで歌を区切り、どこまでつなぐかが、歌の流れにも関わってきます。
相羽が取り組んでいるのは、声の強さに加え、一息の中で歌をどう運ぶかという課題でもあるのです。

高い音を伸ばし、フレーズの見せ場を作る

息を使う場面には、言葉をつなぐフレーズのほか、同じ音を保つロングトーンもあります。
2025年のアニメイトタイムズの取材で相羽は、初期曲にも高音はあったけれど、当時は今ほどロングトーンを意識していなかったと振り返りました。
「FIRE BIRD」の話題で、長く声を聴いてきた作り手が、自分の持ち味を見つけてくれたのではないかと話しています。

高いところへ上がることと、そこで声を伸ばして聴かせることは、曲の中で違う役割を持ちます。
伸ばす時間があるからこそ、その響きや、次の言葉へ戻るまでの流れも耳に残ります。
相羽の高音を捉えるときには、到達点の高さに加え、声が続く時間が一曲の見せ場をどう作るかにも注目できます。

2022年の取材での相羽あいな(板場俊撮影/Billboard JAPAN掲載)
2022年の取材での相羽あいな(板場俊撮影/Billboard JAPAN掲載)。
画像出典:画像掲載元

マイクへ乗る声を、基礎から作り直した

相羽は、ただ声を出せばよいと考えていたところから、マイクへしっかり声を乗せるために発声を学び直したと振り返っています。
自分が声を出している手応えと、聴く側へ届く響きの間には、確かめるべきことがあったのです。

2026年の録り直しでは、中島由貴が、音程は下がっていなくても、低い部分がしっかりしたと説明しています。
初期から歌ってきた曲を、厚みのある声で支えられるようになったという見方です。

「THRONE OF ROSE」で求めた、揺るがない声

声の強さには、歌詞の世界を信じてもらうための役割もあります。
2023年のSPICEの取材で相羽は、「THRONE OF ROSE」では歌詞が描く姿に見合う説得力と、揺るがないものを声で示そうとしたと話しています。
ただ激しく歌うのではなく、その言葉をこの人が歌うと納得できる響きを目指していたのです。

同じシングルの「Dear Gleam」については、共演する櫻川めぐが、ライブで相羽の歌声に引っ張られ、演奏にも勢いが出たと振り返っています。
声がメンバーへ働きかけ、それを受けた演奏が曲を前へ進める。
相羽の強い歌は、単独の迫力とともに、仲間がどう反応するかという面からも捉えられます。

言葉の置き方を変え、録音の順番も選ぶ

相羽は「陽だまりロードナイト (10th anniv. ver.)」で、昔とはアクセントの付け方やリズムへのアプローチも変わったと話しています。
声の質感だけでなく、言葉のどこを立て、曲の流れへどう置くかにも変化がありました。

一方、比較的新しい「礎の花冠」の歌い直しでは、語尾などを少しずつ変えながらも、初期曲ほど大きな変化にはならないと説明しています。
曲が違えば、録り直すときに手を入れる場所も変わるのです。
同じ歌詞の終わりをどう収めるかという細部にも、その時点での表現を選ぶ余地があります。
新旧を比べるなら、声全体の厚みだけでなく、一つの言葉が終わるところを追うと、本人が語った調整にも耳を向けられます。

この再録では、歌う順番も本人が考えていました。
相羽によると、録音は2日に分け、最後を「FIRE BIRD」で盛り上げて終えるつもりだったそうです。
一方で、同じ曲を何度も歌う録音はライブより大変に感じ、熱量の高い曲を2日目に集めすぎたとも振り返っています。

一回の歌唱をどう組み立てるかに加え、何曲も繰り返して声を使う全体の流れもある。
息の配分を考える一節から、録音する曲順まで、相羽は違う大きさの単位で声の使い方と向き合っているのです。

「陽だまりロードナイト (10th anniv. ver.)」公式配信音源(2026年の再録版)。

厚い声を持っていても、ずっと同じ重さで歌う必要はありません。
低音の質感、息のつなぎ方、アクセントを、その曲に合わせて選ぶ。
相羽の歌い方をつかむには、力強い声の中にある、こうした違いを追うことも大切です。

初期の歌から今の録り直しまで、声を保ちながら方法を変えてきた歩みは、相羽あいなの歌唱変遷でたどっています。

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