三浦大知はなぜ踊りながら歌える?息継ぎまで設計する歌い方・発声

踊りながら高音を安定させる三浦大知の歌い方と発声を分析する記事のアイキャッチ シンガー

三浦大知さんは、激しく踊っても息が乱れない歌手だと思われがちです。
しかし本人は、ダンスをすれば当然息が上がると話しています。

違うのは、苦しくならないことではありません。
どこで吸い、どの瞬間をマイクから外し、動きの中へどう隠すかまで、歌とダンスを一つの表現として設計していることです。

この事実を知ると、三浦大知さんの高音が安定して聞こえる理由も見え方が変わります。
肺活量だけで押し切る歌ではなく、小さく始める声、急に強くしない音の入り口、フレーズごとの呼吸、マイクとの距離が連動しているのです。

息を切らさないのではなく、息切れを作品の外へ出さない

激しいダンスの直後に高音が決まると、身体能力だけで歌っているように見えます。
ところが本人の説明は、もっと現実的です。

踊れば呼吸は速くなり、歌うために吸う音も大きくなります。
そこでハンドマイクを口から外す動きを振り付けの中へ混ぜ、必要な吸気を観客に意識させないようにする。
息をしないのではなく、息をする場面まで見せ方の一部にしています。

この発想では、振り付けと歌を別々に完成させてから重ねません。
次の歌い出しへ間に合うように身体の向きが変わり、吸う瞬間には腕の動きがあり、声を伸ばす場所では上半身が歌を邪魔しにくい形へ移ります。

三浦大知さんの強さは、苦しさを消す超能力ではありません。
苦しくなる条件を受け入れたうえで、それでも歌が崩れにくい順番へ作り替える能力です。

「歌いながら踊る」より、歌と動きを同じ文章にする

本人は、抽象的な歌詞をダンスで視覚化することで、作品の意味が完成すると説明しています。
ここでは歌が主役でダンスが飾りなのでも、ダンスの間に歌を挟むのでもありません。

たとえば、言葉が遠くへ進む場面で身体も前へ動けば、声の勢いが目に見える形になります。
逆に、音量を落とす場所で動きまで小さくなれば、聞き手は静かな声へ自然に集中できます。

歌とダンスを一つの表現として組み立てる三浦大知

この一体感があるため、三浦大知さんの歌は動いている最中も慌ただしく聞こえにくいのです。
声だけで感情を百パーセント説明しようとせず、表情、身体の角度、停止する一瞬にも役割を分けています。

カラオケで高音へ入る前に息が足りなくなる人は、声量だけでなく、歌い出す前の動作や姿勢まで詰め込みすぎている場合があります。
高音で息が続かない原因を考える時も、吸う量だけでなく、吸える時間をフレーズの中に残しているかが重要です。

高音の前で声を使い切らないから、最後に余白が残る

三浦大知さんの歌声を解説する資料では、柔らかい音の入り口、息を含んだ小さな声、地声らしい芯のある高音など、異なる特徴が挙げられています。
一見すると説明がばらばらですが、共通しているのは最初から最大の力を使わないことです。

Aメロでは、話し声に近い距離から言葉を置きます。
母音を強く開かず、語尾もすべて伸ばし切らないため、サビへ進む前に声と息の余裕が残ります。

音が高くなっても、毎回同じ太さを守ろうとはしません。
細く抜く音、息へ寄せる音、輪郭を強く出す音を曲の中で入れ替えます。
この選択肢の多さが、踊った後でも一つの高音へ全身の力を集中させずに済む理由の一つです。

小さな声から高音まで音色を使い分ける三浦大知

強い高音だけを切り取ってまねると、本人がその前に作っている余白が消えます。
三浦大知さんらしさは、最高音の派手さより、そこへ着くまで声を浪費しないところにあります。

高音を「地声かミックスか」の一語で決めにくい

三浦大知さんの高音については、地声に近いミックスボイス、裏声を土台にした声、ヘッドボイスなど、解説によって用語が分かれています。
これは一つの正解を誰かが見落としているというより、曲と音高と音量が違う声を同じ言葉でまとめようとするために起こります。

「EXCITE」の強いフレーズと、「U」の柔らかな高音では、聞こえる芯と息の割合が同じではありません。
「Blizzard」の広い音域でも、低い場所の重さを最後まで保つのではなく、上へ進むにつれて音色を変える余地があります。

そのため、すべてを地声の延長と考えるのも、すべてを同じミックスボイスと呼ぶのも乱暴です。
重要なのは名称より、高さに合わせて声の重さを持ち替えても、言葉とリズムが途切れないことです。

ミックスボイスの出し方と見分け方でも整理しているように、声区は一つの音色へ固定する技術ではありません。
三浦大知さんの歌は、切り替えを目立たせないことと、必要なら音色の変化自体を表現にすることの両方を使っています。

「The Answer」で見つけたのは、声を足す方法ではなかった

ソロ活動の初期、三浦大知さんは自分の声が不安定で、疲れやすいと感じていた時期がありました。
少年期の高い声を失ったあと、大人の身体で歌い直す必要があったからです。

大きな転機になったのが、2010年の「The Answer」でした。
新しい指導者との作業を通じ、これまで自分の身体から聞いたことのない声に出会い、それを自分本来の声だと捉えるようになったと振り返っています。

ここで面白いのは、強い高音を新しく付け足したという話ではないことです。
無理に声を作るのではなく、身体にすでにある声を出しやすい方法へ組み直した。
現在の歌唱が軽く見える背景には、才能だけでなく、一度できあがった歌い方を壊して選び直した時間があります。

声変わりからこの再構築へ至る過程は、三浦大知さんの歌唱変遷で年代順に扱います。
現在の発声だけを見ると滑らかですが、その滑らかさは最初から完成していたものではありません。

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「Cry & Fight」「EXCITE」「Blizzard」で声の役割が変わる

「Cry & Fight」では、歌とダンスを切り分けない姿勢が最も分かりやすく表れます。
激しい動きの直後に歌うこと自体が見せ場ですが、フレーズの間には短い停止や方向転換があり、呼吸の場所が動きから浮きません。

「EXCITE」は、繰り返しの強いサビとデジタルな音の中で、声の輪郭を明確に出す曲です。
本人は、子ども向けだから簡単にするのではなく、自分が格好よいと思う最新の形を保つことを選びました。
明るく強い声は、分かりやすさのために技術を薄めた結果ではなく、複雑な作品を一度で伝える入口になっています。

「Blizzard」では、低い音から高音までの距離が広がります。
ここで低音と同じ重量を上へ押し続ければ、曲のスケールより苦しさが前へ出ます。
高さに合わせて音色を変えながら、言葉の芯を残す柔軟さが必要です。

三曲を並べると、三浦大知さんの歌唱力は「踊っても音程を外さない」という一項目では測れません。
作品ごとに、呼吸、声の輪郭、身体の動きのどれを前へ出すかを変えられることが強みです。

参考にしたいのは、激しい動きより先にある設計

三浦大知さんを参考にする時、いきなり振り付けをしながら高音を出す必要はありません。
完成した動きだけをまねると、本人が先に確保している呼吸の場所を失いやすいからです。

見るべきなのは、どの言葉の前でマイクが離れるか、声を伸ばす時に身体がどう落ち着くか、小さな声の後でいつ音量が上がるかです。
歌唱と動作がぶつからない順番を観察すると、派手なパフォーマンスの裏側にある静かな判断が見えてきます。

藤井風さんの力まない歌い方とは見た目の方向が違いますが、必要以上に声を押さず、曲の中に余白を残す点には共通項があります。
三浦大知さんの場合、その余白をダンスの時間にも広げているのです。

まとめ

三浦大知さんが踊りながら安定して歌えるのは、息が上がらないからではありません。
本人も息が上がることを認めたうえで、吸気、マイク操作、身体の向き、声量の変化を一つの作品として設計しています。

高音も、低い声の重さをそのまま押し上げる形ではありません。
小さな声を残し、音の入り口を急に強くせず、曲ごとに芯と息の割合を変えるため、最後の高音まで選択肢が残ります。

三浦大知さんのすごさは、苦しくならない身体にあるのではありません。
苦しくなる人間の身体を前提に、それでも歌とダンスが一つに見える順番を作り続けていることにあります。

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