シューヤ(超特急)の歌い方|強い高音と繊細な声を、曲の中でどう使い分けるのか

2025年3月の「せぶいれのうた」で歌うシューヤ(撮影:鈴木友莉) シューヤ(超特急)
2025年3月の「せぶいれのうた」で歌うシューヤ(撮影:鈴木友莉)

シューヤの歌では、強く伸びる高音に耳を引かれることがあります。
けれど、その魅力は高さだけでは説明しきれません。
荒さを加えて熱を上げる歌もあれば、ファルセットや低い声で違う表情を見せる歌もあります。
本人の制作時の言葉と具体的な公演を通して、その選択を見ていきましょう。

「KNOCK U DOWN」—『B9』収録音源(2023年)

高い音を、どんな声で届けるか

『B9』収録の「KNOCK U DOWN」について、シューヤが挙げた特徴は、サビの高音を実声で歌い続けることでした。
ファルセットとの違いも、本人が意識している点です。
同じ高音でも、声の出し方によって曲に与える勢いは変わります。

さらに、最後のサビの前には、タカシとシューヤが異なるテンションで、それぞれのかっこよさを出した箇所があります。
二人の声を同じ表情にそろえるだけでなく、違いを曲の盛り上がりに使っているのです。
高音が出るかどうかに加え、どんな勢いでその音へ入るかにも、この曲の聴きどころがあります。

「NINE LIVES」は、高音の中の細かなニュアンスを選ぶ

「NINE LIVES」の録音では、シューヤは高いキーのパートにもさまざまなニュアンスがあると話しています。
ただ音を当てれば完成というわけではなく、自分にしっくりくるテイクを選びました。
同じ旋律の中で、言葉の出方や勢いがどう感じられるかまで判断しているのです。
また、歌詞の二重の意味を尋ねられた場面では、「び」の音を飛ばすことに集中していると答えました。
意味の説明に加え、一音をどう放つかにも、本人の関心があります。

また、この曲には、音源として完成した歌を、ライブでさらに変えていける余地も感じていました。
最初は録音に沿って歌い、その後にアレンジを加えていくという考え方です。
完成したテイクは一つの答えですが、ステージではその場の流れから別の表情が生まれる。
録音とライブの両方を見比べたい理由が、本人の言葉にもあります。

「NINE LIVES」— MV(2025年)

2025年の取材に登場したシューヤ(右から2人目)ら超特急のメンバー(撮影:藤岡雅樹)
2025年の取材に登場したシューヤ(右から2人目)ら超特急のメンバー(撮影:藤岡雅樹)。
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がなりは、曲の後半へ向けて熱を上げるためにも使う

「ウインクキラー」は、本人が色気や荒っぽさを生かせる得意なタイプの曲として挙げています。
録音では、後半へ進むにつれてがなりを交えることを意識したそうです。
荒い声を最初から一様に続けるのではなく、曲の進行に沿って加えていく。
声の質感を変えることが、気持ちの高まりを伝える手段になっています。

2024年2月28日の「せぶいれのうた」の「UNKNOWN…」でも、シューヤはがなりを交え、内側の叫びを表すように歌っていました。
同じ公演で披露された「Thinking of You」では、二人のファルセットが柔らかな空気を作りました。
声を荒くすることも、柔らかく響かせることも、その曲が描く感情に結び付けて使っているのです。

ファルセットと低い声が、強さとは別の表情を作る

2025年の「せぶいれのうた」でも、「Thinking of You」や「Fashion」でファルセットが印象的な役割を担いました。
「Fashion」は、シューヤ自身が歌いたいと強く希望した曲です。
切ない気持ちを、声の強さだけで押し出すのではなく、柔らかな歌の表情として届ける選曲でもありました。

ファルセットを、音の高さだけでなく、切なさを響かせる選択として捉える。
そうすると、強い高音とは違う、この歌の役割が見えてきます。

同年の公演では、「Full moon」の低い声も印象を変える役割を担いました。
タカシのフェイクに続いてシューヤが低音で入り、終わりには同期音源のコーラスを生の声で再現する場面もありました。
高音の見せ場だけを追うと、こうした低い位置の声や、主旋律の周りを支える声の面白さを取りこぼしてしまいます。

2025年3月の「せぶいれのうた」のシューヤとタカシ(撮影:鈴木友莉)
2025年3月の「せぶいれのうた」のシューヤとタカシ(撮影:鈴木友莉)。
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ユニゾンでは、息を吸う場所と言葉の切り方まで合わせる

『B9』について、シューヤは、二人とも高い声を出せるからこそできるコーラスが多く組み込まれていると話しています。
高音は、一人の見せ場を作るだけでなく、重なる声の選択肢を増やす強みにもなっているのです。
主旋律の勢いと、その周りで響く声の両方に目を向けると、二人で歌う曲の作りが捉えやすくなります。

二人で同じ旋律を歌うユニゾンでは、シューヤは、ブレスの位置、言葉の切り方、音符への言葉の割り当てをそろえると説明しています。
少し早めに言葉を入れる箇所も相談し、歌の動きを共有しています。

一人ずつ歌う部分は、それぞれの色を出すため、そこまで合わせないといいます。
重ねる声には共通の運び方を作り、受け渡す声には個性を残す使い分けです。

高速の言葉も、流れに乗せるだけで終わらせない

シューヤが『B9』で苦戦した曲として挙げたのが「Typhoon」です。
ラップ調の言葉が速く続くため、一つ一つを粒立てることが難しかったと振り返っています。

二人で録音前に集まって歌を確認しており、この曲も慣れるまでに時間がかかったそうです。
伸ばす高音に加え、短い言葉を明瞭に届けることも課題でした。

歌の運び方の違いは、同じ曲の中でも生かせます。
2025年の「せぶいれのうた」の「Star Gear」は、ピアノを中心に大きく歌う始まりから、バンドの音が加わると二人のラップの掛け合いへ移りました。
旋律を伸ばす歌から、言葉の応酬へ。
編曲の変化と歌い方を結び付けることで、曲の後半を躍動させています。

声を出す人まで選ぶと、歌の景色が変わる

超特急では、ボーカル二人以外の声も曲の大切な一部です。
「ジュブナイラー」のせりふのような合いの手は、主にリョウガが担当し、タカシとシューヤが重ねる形で支えました。
旋律を歌う声と、曲をにぎやかにする声を、役割に応じて組み合わせています。

「ジュブナイラー」— MV(2024年)

歌い手の表情の変化が、会場での楽しさにつながる場面もあります。
2025年の「せぶいれのうた」の「a kind of love」では、タカシが1番のAメロに加えたアレンジへ、シューヤが2番で応じました。
相手の歌を受け取って、自分の歌で返す。
そろえるために相手を聴くだけでなく、次の表現を生むためにも聴いているのです。

高さ、質感、二人の重なりを聴き分ける

シューヤの歌を聴くときは、高音の強さに加えて、声が途中でどう変わるかに注目すると面白くなります。
後半で荒さを増す曲、ファルセットで感情を包む曲、相手の歌を低い声で受け取る曲。
そこへ、タカシと呼吸を合わせる箇所と、一人の色を出す箇所の違いが加わります。

本人の制作時の話を知ると、ハイトーンという特徴の中にも、多くの判断があることが分かります。
その選択肢を増やしてきた歩みは、シューヤ(超特急)の歌唱変遷でたどっています。

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