Ayumu Imazuの歌い方|ミックスの高音、声の色、言葉のリズムをどう選ぶか

2026年6月21日「The CLASSIC TOUR」東京公演のAyumu Imazu Ayumu Imazu
2026年6月21日「The CLASSIC TOUR」東京公演のAyumu Imazu

高い声で歌うとき、リズムまで気持ちよく動かすには何が必要なのでしょうか。
Ayumu Imazuの歌い方には、発声の種類を知るだけでは見えてこない工夫があります。

曲ごとに声質を変えながら、考え込みすぎず音楽に身を委ねる。
この姿勢を、具体的な録音や共演の場面から見ていきましょう。
声を重ねる相手や発音の感覚も、歌の表情に関わります。

高音を出す先にある、「Over You」のリズム

「Over You」のサビについて、本人は地声ではなくミックスとヘッドボイスで歌ったと説明しています。
その声でリズム感を出すことには苦労したといいます。
発声とビートへの乗り方を同時に考えたサビです。

サビの旋律はキックの音に乗せるイメージだったと、Ayumuは語っています。
高い声の聴きどころを考えるときも、声だけを切り離さず、低い打楽器とのタイミングに注目すると、曲が狙った動きが分かります。

ここでのミックス、ヘッドボイスは、本人が使った歌い方の呼び名です。
具体的な声帯の動きや、地声と裏声の混ぜる割合まで示されたわけではありません。
その区別を踏まえると、この曲から確かめたいのは、発声の分類名よりも、その声をリズムに使う発想です。

「BANDAGE」では、楽に歌えるキーを選ぶ

「BANDAGE」の録音では、自宅で歌うような楽な感覚を大事にしたといいます。
以前のシングルは高音をしっかり出すキーにしていましたが、この曲では無理に上げませんでした。
速いリズムでも、歌には落ち着きを残せる。
声を張り上げることと、曲を勢いよく進めることを切り離した選択です。

また、この曲にはハモリやコーラスを多く入れ、本人も一人では歌うのが難しい曲だと説明しています。
一人で全部の勢いを背負う歌として考えると、この声の配置を見落としてしまいます。

日本語を乗せる前に、口の形から考える

リズムを作る作業は、歌詞を書く段階から始まっています。
ダンス曲のメロディを考えるときは英語で歌うイメージを持ち、日本語を入れる際には、その母音や口の形に合う言葉を探すそうです。
意味の通る文章を後から押し込むのではなく、発音したときの感触も選ぶ基準になっています。

「Juice」では、サビの四つの音に当てる言葉がなかなか見つからず、歌詞を仕上げるまで一週間ほどかかったといいます。
短いフレーズほど簡単に決まるとは限りません。
音の数が少ないからこそ、どの言葉ならその場所で気持ちよく歌えるかが、曲の印象に直結します。

「HOWL」は、少し変則的に弾むベースラインから作り始めた曲です。
本人はシンコペーションをその特徴として挙げています。
拍の強弱の感じ方がずれる伴奏を先に作り、その上へ歌を組み立てる。
歌詞だけを目で追うのとは違う、言葉と伴奏の関係が出発点にありました。

同曲の2番Aメロ後半にはラップに近い部分があり、本人もかなり遊んだ箇所だと話しています。
書いたときはやりすぎを心配しても、録音して音楽と合わせると自然だったそうです。
一方、サビには主人公の感情をさらけ出す役割を与えました。
遊びのある言葉運びと感情を開くサビを、一曲の中に置いています。

相手の声に合わせて、自分の声の色を変える

2023年「Don’t Mind Me」インタビュー掲載写真、左からAyumu Imazu、花村想太
2023年「Don’t Mind Me」インタビュー掲載写真、左からAyumu Imazu、花村想太。
画像出典:画像掲載元

「Don’t Mind Me」で花村想太と同じ旋律を歌う部分では、相手のよく通る声に埋もれないよう、Ayumu自身が声質を変えました。
声を合わせるには、音程をそろえるだけでなく、二人が重なったときにどちらも響く状態を探す必要があったのです。

録音では花村に歌い回しや声質の案を伝え、二人で試行錯誤しています。
どの声なら一人では出せない爽快さを作れるか、という視点で聴ける共演です。

「SOLO」でのNOA、Novel Coreとの組み合わせは、また少し違います。
一人ひとりの言葉を大事にするため、各自が担当する部分はそれぞれに委ねました。
その一方、Ayumuが歌うサビの上に重ねる声にはアイデアを出し、大サビでは二人の声が加わる展開を作っています。
主旋律を強く歌い直す以外にも、重なる声を増やして盛り上がりを作る方法があるのです。

「LIVE IT UP!」で迎えたFurui Rihoに対しては、歌ってもらう部分を空け、相手らしさを残すことを大事にしました。
ニューヨークと日本で離れて制作したため、届いた歌を聴く瞬間の新鮮さもあったといいます。
最初から自分の歌い方だけで全体を埋めないことが、完成した歌の色を増やしています。

「Bassline」の声を引き出した、録音中の会話

「Bassline」は、音を絞ったトラックと抑制の利いたボーカルを組み合わせた作品として発表されました。
伴奏の音数が少ない曲では、歌を大きく膨らませることがいつも正解になるわけではありません。
声を含めて余白をどう保つかが、曲の方向を決めます。

Boy Blueとの録音でAyumuが重視していたのは、技術的な指示だけではありませんでした。
年齢も近く、前向きに会話が進む空気が、声にも出ると感じたそうです。
さらに、自分の場合は英語でコミュニケーションを取ると、声や歌い方が少し変わるという感覚も語っています。

日本語には親しみがあり、英語にはクールなイメージがあるのかもしれない、と本人は考えています。
これは言語で発声が必ず変わるという法則ではなく、彼自身の感覚です。
歌詞に加え、録音中の会話や気分も声の手がかりになるのです。

踊る歌と、言葉を手渡す歌が同じステージにある

ダンスが得意だからといって、振付を先に決め、そこへ歌を合わせているわけではありません。
本人は、まず曲があり、その後に振付を作ると説明しています。
長く踊ってきた感覚は旋律やリズムに自然と反映されるものの、歌の形を最初からダンスの都合だけで決めない。
この順番も、曲ごとに表情を変えられる理由の一つと考えられます。

2026年6月21日「The CLASSIC TOUR」東京公演のAyumu Imazu
2026年6月21日「The CLASSIC TOUR」東京公演のAyumu Imazu。
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2026年の「The CLASSIC TOUR」東京公演では、ギターを手にした「THRIFTED」に力のある歌声が重なり、「あなたといたい」では言葉を語るように届けました。
同じ歌手、同じ公演でも、演奏との関係や歌の役割が変われば、求める声の表情も変わります。

このような歌の幅は、近年突然できたものでもありません。
2022年の「Pixel」公演にも、リズムで客席を動かす「Problem」と、言葉ごとの感情を伝える「破片」がありました。
踊る曲で知られた人だからこそ、バラードで何を大切にしているかを見ると、歌手としての輪郭がよりはっきりします。

本人は、曲作りで細かく悩みながらも、音楽は楽しくなければ意味がないと考えています。
緻密に作ることと、気楽さを残すこと。
どちらかを捨てるのではなく、両方を持てるところに、Ayumu Imazuの歌の伸びやかさを考える手がかりがあります。

高い声の名称だけを覚えるより、その声がビートにどう乗るか、隣の歌声とどう重なるかまで見る。
すると、歌い方を選ぶ作業が、曲作りや共演の中で具体的に行われていることが分かります。
少年期から現在へ、その判断が育った過程はAyumu Imazuの歌唱変遷でたどっています。

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