BE:FIRSTのJUNONさんといえば、長く伸びる高音を思い浮かべる人が多いでしょう。
オーディションでは、高いキーを余裕で歌う姿が早くから注目されました。
ところが本人は、THE FIRSTへ参加するまで、自分が特別に高音を出せるとは思っていませんでした。
歌を専門的に習った経験もなく、家で日常的に歌ってきた声が、他人の評価によって初めて「武器」になったのです。
現在の魅力は、ただ高い音へ届くことではありません。
息を含む細い声から、芯を前へ出した強い声まで変えながら、どの曲でもJUNONさんだと分かり、それでいて曲の世界を壊さないところにあります。
高音担当という分かりやすい看板の奥に、声を目立たせすぎないための選択がある。
その一見矛盾した歌い方を、本人の発言と複数の分析から整理します。
本人が高音を武器だと思っていなかった意外さ
JUNONさんは音楽の絶えない家庭で育ち、父親は元バンドマン、妹は先にシンガーソングライターとして活動していました。
プロから習ったことはなくても、家ではずっと歌っていたと話しています。
THE FIRSTの2次審査では、ほかの参加者が驚くほど高いキーを堂々と歌いました。
しかし本人にとっては、それまで普通に使ってきた声です。
周囲からほめられ、初めて「高音が出ることは当たり前ではない」と気づきました。
この出発点は、現在の歌い方を考えるうえで重要です。
高音を獲得するために力を足したのではなく、もともと無理なく使っていた声を、曲の中でどう役立てるか覚えていったからです。
高い音が来た瞬間だけ別人のように構える歌い方ではありません。
低い位置から高い位置まで、同じ人物が話し続けているようにつなぐことが、JUNONさんの自然さを支えています。
ファルセットは逃げ道ではなく、本人が選んだ署名

本人は自分の歌声の特徴として、まずファルセットを挙げています。
ファルセットは、一般には地声で届かない音から逃げるための弱い声と思われがちです。
JUNONさんの場合は反対です。
柔らかい高音へ移った時ほど、その人だと分かる色が残ります。
強く押し出す声だけで個性を作らず、軽く抜いた声も自分の中心に置いています。
一方、第三者による歌唱分析では、同じ高音をミックスボイス、ヘッド寄りの声、芯のあるファルセットなど異なる言葉で説明しています。
どれか一つが必ず誤りというより、曲や音量によって声の強さが変わるため、注目した瞬間が違えば呼び方も変わります。
初心者には、声区名を決めるより「薄くしても息だけにならない」「強くしても叫び声へ変わらない」と捉える方が分かりやすいでしょう。
JUNONさんの高音は、一種類の出し方を繰り返すのではなく、細さと芯の配合を曲に合わせて動かしています。
男性の非常に高い声が、曲によって別の声区名で説明される例は、竹中雄大さんの高音を扱った記事でも整理しています。
本当の個性は「どの曲にも入れるのに、自分を失わない」こと
JUNONさん自身が大切にしているのは、どのような曲の世界にも入りながら、自分の個性を失わないことです。
この言葉は、高音が出るという説明より現在の歌唱をよく表しています。
声が目立つ人は、どの曲を歌っても本人の強い色が先に聞こえることがあります。
逆に曲へ合わせすぎると、器用でも誰が歌っているのか分からなくなります。
JUNONさんは、その中間にいます。
「Betrayal Game」のような緊張感のある曲では高音に強い輪郭を作り、「Smile Again」では息を含む繊細な入り方へ変える。
それでも、長い音を途中で細らせず、語尾まで滑らかに運ぶ特徴は残ります。
つまり個性を、毎回同じ声色として保存しているのではありません。
曲へ渡してよい部分と、JUNONさんとして残す部分を分けています。
「Smile Again」は同じ高音を二色に塗り分ける曲

「Smile Again」は、JUNONさん自身が難しさを語った曲です。
冒頭の高さは声に合いやすい一方、曲の終盤では高い音をきれいに立ち上げることに苦労したと振り返っています。
この曲についての専門的な解説では、序盤は息を多めに含む繊細な声、サビは息を減らして芯を前へ出す声という違いが指摘されています。
高さだけなら同じ「高音」に見えても、聞き手へ届く感情は大きく変わります。
序盤で最初から強く歌えば、曲が持つためらいが消えます。
反対に終盤まで柔らかいままでは、感情が前へ進んだ手応えが弱くなります。
JUNONさんのロングトーンが印象に残るのは、長く伸ばせるからだけではありません。
伸ばし始める前に、その場面で必要な声の密度を選んでいるからです。
「Nova Flame」で、高音担当から一曲の主人公へ進んだ
ソロ曲「Nova Flame」では、グループ曲の終盤を締める役割から離れ、最初から最後まで一人で曲の温度を管理しています。
しかも本人は、この曲を歌だけで成立させず、ダンス曲として作ることを選びました。
かつては歌だけが自分の表現手段だったと振り返っています。
ワールドツアーやロサンゼルスでのレッスンを経て、どの角度から映されても一人のパフォーマーとして成立させたいという意識が強くなりました。
これは、高音がさらに高くなったという成長ではありません。
声を出していない瞬間も含めて、一曲の人物を見せる範囲が広がった変化です。
オーディションから現在まで、役割がどう変わったかは、JUNONさんの歌唱変遷の記事で時系列にたどれます。
聞き比べるなら、最高音より声の密度を見る
JUNONさんの歌を理解するには、最高音がどこかを探すより、声が薄くなる場所と濃くなる場所を比べる方が面白くなります。
「Smile Again」では、冒頭とサビで息の量がどう変わるかに注目してください。
「Betrayal Game」では、鋭い曲調の中でも長い音の終わりが乱暴にならない点が見えてきます。
「Nova Flame」では、歌のない瞬間まで含めて主人公を保つ現在の表現が分かります。
表面だけ真似して、高音を細くしたり、長く伸ばしたりする必要はありません。
参考にできるのは、一種類の得意な声ですべてを押し切らず、曲の場面ごとに声の密度を選ぶ考え方です。
高音とダンスを同時に成立させる別の例は、花村想太さんの歌い方・発声の記事でも確認できます。
まとめ
BE:FIRST・JUNONさんの歌い方は、抜ける高音と安定したロングトーンだけでは説明できません。
本人が自分の署名として挙げるファルセットを持ちながら、曲に応じて息と芯の割合を変え、世界観の中へ声を置いています。
THE FIRSTへ参加するまで、高音を特別な武器だと思っていなかったことも、現在の自然さにつながっています。
力で獲得した見せ場ではなく、日常だった声を他人のために使える形へ育ててきたからです。
高い音で主役になれるのに、曲より前へ出すぎない。
その節度こそ、JUNONさんを単なる高音担当で終わらせない最大の個性です。
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