EXILE ATSUSHIの歌声はどう変わった?第一章から復活後までの歌唱変遷

EXILE ATSUSHIの歌唱変遷 ATSUSHI

EXILE ATSUSHIさんの歌声を初期から現在までたどると、ずっと優しい声を守ってきたように見えます。
しかし、変わらなかったのは音色だけです。

2001年にはSHUNさんと二人でEXILEの輪郭を作り、2006年からはTAKAHIROさんを迎える側になりました。
ソロでは自分の言葉を背負い、海外へ出て歌手として学び直し、グループ卒業と体調不良による休止も経験しています。

歌声の変化は、年齢とともに高音が落ち着いたという単純な物語ではありません。
「誰と、何のために歌うか」が変わるたび、同じ柔らかい声の役割を作り直してきた歴史です。

2000年、選ばれなかったオーディションからEXILEの声になった

ATSUSHIさんは2000年の男性ボーカリストオーディションで、1万人を超える参加者から最終候補の5人に残りました。
合格したのは後のCHEMISTRYとなる堂珍嘉邦さんと川畑要さんで、ATSUSHIさんは選ばれませんでした。

普通なら、この落選はデビュー前の小さな挫折として片づけられます。
ところがHIROさんたちは番組を見て「すごいボーカルがいる」と注目し、EXILEの前身J Soul Brothersへ誘いました。

歌手を決める大会では敗れた声が、別のグループでは中心になったのです。
ATSUSHIさんの変遷は、最初から「一番うまい声」を証明する話ではなく、自分の声が必要とされる場所を見つける話として始まりました。

2001年、SHUNとの二声で「Your eyes only」を歌った第一章

2001年9月27日、EXILEは「Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~」でデビューしました。
第一章の歌はATSUSHIさん一人の声ではなく、SHUNさんとの対照で形を持ちます。

二人とも歌唱力を前面に出せる歌手でしたが、声の役割は同じではありません。
一方が主旋律を強く押し、もう一方が柔らかく包むという固定関係ではなく、フレーズごとに前後が入れ替わりました。

2001年、デビュー時のEXILE

「Choo Choo TRAIN」のようなダンス曲へ進んでも、ATSUSHIさんは声を大きくしてグループへ対抗しませんでした。
ダンスと大人数の音の間に入るため、言葉の輪郭を残しながら角を立てない歌い方が磨かれます。

後年、ATSUSHIさんと清木場俊介さんは再び一緒に歌います。
別々の道へ進んでも二人の声が特別に聞こえるのは、EXILE第一章が「二人のうまい歌手」ではなく、二声で一つの人格を作った時代だったからです。

2006年、TAKAHIROを迎えたことで「歌う人」から「基準になる人」へ

2006年にSHUNさんが脱退し、新ボーカルとしてTAKAHIROさんが加わりました。
同じツインボーカルでも、ATSUSHIさんの役割は第一章と同じではありません。

第一章では同時期に始まった二人が並んで声を作りました。
第二章では、既にEXILEの歌を知るATSUSHIさんが、新しく入ったTAKAHIROさんを隣で支える立場になります。

TAKAHIROさんは後年、加入直後からATSUSHIさんの横で歌うことの大きさを振り返り、歌声には優しさと人間性が表れると話しています。
ATSUSHIさんの声は、ここで個性であると同時に、EXILEらしさを測る基準になりました。

「Lovers Again」では、二人の声色を無理に揃えず、違うまま重ねています。
ATSUSHIさんが自分の柔らかさを消さなかったからこそ、TAKAHIROさんも同じ声へ寄せるのではなく、別の魅力を育てる余地が生まれました。

2011年から、グループの一部だった声が自分の言葉を背負い始めた

ATSUSHIさんは2006年からソロ活動を始め、2011年に「いつかきっと…」をソロ第1弾シングルとして発表しました。
2012年にはアルバム『Solo』、2014年には『Music』と『Love Ballade』へ進みます。

ソロでは、隣のボーカルへ渡すことを前提にせず、一曲の始まりから終わりまで自分の声で物語を運びます。
優しい音色は同じでも、言葉の責任が変わりました。

「道しるべ」や「Precious Love」では、歌唱だけでなく作詞・作曲にも関わり、誰かが用意した感情を表現する歌手から、自分が選んだ言葉を届ける歌手へ比重が移ります。
2014年には日本レコード大賞の最優秀歌唱賞を受賞し、EXILEとソロの両方で評価された初の例になりました。

2016年、6大ドームの頂点で国内を離れた

2016年、ATSUSHIさんはソロアーティストとして初の6大ドームツアーを成功させました。
普通なら、完成した歌手として国内で規模を広げる時期です。

しかし同じ年、活動拠点を海外へ移す決断をします。
EXILEを一度見つめ直し、世界で得られる刺激によってボーカリストとしての引き出しを増やしたいという理由でした。

この選択が面白いのは、声が衰えたから学び直したのではないことです。
最大規模の舞台へ立った直後に、まだ足りないものがあると考えました。

歌唱変遷は、未熟な若者が技術を得て完成する一直線ではありません。
成功した後に自分の完成像を壊し、別の環境へ入り直すことで続いています。

2018年、海外経験を「Just The Way You Are」の日本語へ持ち帰った

海外活動の集大成として2018年に発表した「Just The Way You Are」は、Bruno Marsの代表曲を日本語詞で歌った作品です。
英語の歌を上手に再現するだけなら、全英語詞のままでも成立します。

ATSUSHIさんは、日本語で別の感情を届ける道を選びました。
海外へ出た結果、日本語から離れるのではなく、日本語の母音とR&Bの滑らかさをどう一つにするかへ戻ってきたのです。

2018年、海外活動を経たEXILE ATSUSHI

同年、EXILEは「STAR OF WISH」で再始動します。
外で増やした引き出しをソロだけに閉じず、再びグループの声へ持ち帰った時期でした。

海外経験によって急に派手な高音が増えたのではありません。
歌う言語、共演者、編成が変わっても、優しい声を同じ一種類にしない柔軟さが増しました。

2020年、EXILE卒業で「原点に戻る歌手」を選んだ

2020年、40歳を迎えたATSUSHIさんは、約20年活動したEXILEを卒業し、ソロへ専念すると発表しました。
理由として示したのは、一人の歌手として原点に戻り、音楽と向き合うことでした。

卒業はEXILEの歌を捨てる宣言ではありません。
グループで育てられたことへの感謝を語りながら、自分の残りの人生で歌手として何をするかを選び直しました。

2022年にはEXILEのドームツアーへ参加し、卒業後もグループとの関係は途切れませんでした。
所属しているか離れているかだけでは説明できない関係へ変わり、ATSUSHIさんの声はEXILEの外からもEXILEを支えるようになります。

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2023年、歌えない時間が「復活」を単なる再開ではなくした

2023年3月、ATSUSHIさんは一酸化炭素中毒の疑いから体調を崩し、予定していた活動を延期・中止しました。
症状が長引き、結果として約2年にわたる活動休止になります。

この期間の声を、外から推測して評価することはできません。
重要なのは、歌手が歌えない時間を通り、戻ること自体が次の作品の意味になったことです。

2024年9月に復活を宣言し、2025年4月の「Heart to Heart ~復活祭~」で843日ぶりにステージへ戻りました。
同年6月にはEXILEの公演へサプライズ出演し、グループにも完全復活します。

復活作「Love Thang」は、休止の重さをそのままバラードへ閉じ込めた曲ではありません。
元気になった自分を感じてほしいという意図のもと、明るいビートで再出発を示しました。

2026年、「おかえり」を受け取った声が再会を歌う

2026年7月の「Heart to Heart Part 2」は、復活後のツアーを続けたからこそ生まれた曲です。
ATSUSHIさんは、シリーズの芯を守りながら、現在の自分だから届けられるメッセージを込めたと話しています。

ここでは、初期のように新しいグループの輪郭を作る必要も、2016年のように世界へ可能性を探しに行く必要もありません。
長い道のりを経て同じ空間へ集まれた喜びが、歌う理由になっています。

デビュー時には「必要とされる場所」を見つけた声でした。
現在は、待っていた人たちの「おかえり」を受け取り、その感謝を返す声です。

ATSUSHIの変遷で変わったのは、優しい声を届ける相手だった

EXILE ATSUSHIさんの歌声は、第一章から復活後まで一貫して柔らかさを持っています。
けれど、その柔らかさの役割は何度も変わりました。

SHUNさんとは二人でEXILEの声を作り、TAKAHIROさんを迎えてからは基準となる声になりました。
ソロでは自分の言葉を背負い、海外では完成像を壊し、卒業後はグループとの距離を選び直しています。

そして歌えない時間を経た現在、優しい声は技巧の象徴というより、再び会えた人へ返す言葉になりました。
EXILE ATSUSHIさんの歌い方・発声分析では、洋楽カバーで育てた声区の接続、ビブラート、デュオで培った余白を詳しく整理しています。

ATSUSHIさんの変遷は、声質を別物へ変え続けた歴史ではありません。
同じ声を守りながら、その声が必要とされる意味を更新してきた歴史です。

オーディションで選ばれなかった青年の声は、EXILEの中心になり、いったん外へ出て、休止を経て、また「おかえり」と迎えられました。
現在の歌声に聞こえる重みは、低音や高音の変化だけではなく、その長い往復が作っています。

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