JISOOさんは、HANAへ入る前から歌の訓練を受けていました。
けれど、その歩みは「技術が高かったから順調にデビューした」という物語ではありません。
韓国で練習生を経験した後、2023年には心が落ち込み、自分を変えるために一人で日本へ向かいました。
『No No Girls』では、整った歌を見せるだけでなく、泣き、煽り、ギターを持ち、自分でも知らなかった人物をステージへ出します。
歌声の最大の変化は、高い音が増えたことではありません。
正しく歌おうとしていた声が、誰と何を伝えるかを自分で選び、七人の中で「静」を引き受けられる声へ変わったことです。
- 高校時代 音楽を選ばなければ幸せになれないと思った
- 2023年 心が止まり、別の国なら自分を変えられると思った
- 2024年夏 第二次審査で、技術は入場券になった
- 『1, 2, 3』で、一人で完成させる歌から仲間と作る歌へ
- 『Tiger』の録音で、日本に来て初めて泣いた
- THE FINAL 『I'm Not OK』で、知らなかった自分を舞台へ出した
- 『Drop』で、煽りまで七人の会話に変えた
- 2025年 『ROSE』の歌い出しで、過去を七人の物語にした
- 『Blue Jeans』で、経験できなかった青春を歌い直した
- 2026年 完璧を求める人が「抜く」ことを選び始めた
- 変わらないのは、音楽なしでは幸せになれないという根
- まとめ
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高校時代 音楽を選ばなければ幸せになれないと思った
JISOOさんが音楽を進路として意識したのは、高校の進路調査がきっかけでした。
その時に浮かんだのは、有名になりたいという言葉より、「音楽をやらないと幸せになれない」という感覚だったそうです。
高校3年生ごろには韓国で練習生となり、歌とダンスへ多くの時間を使いました。
後に『Blue Jeans』を語る際、学校が終わればすぐレッスンへ行き、一般的な青春をあまり経験できなかったと振り返っています。
この時期に身につけたものは、音程や発音だけではありません。
一つのテイクを簡単には終えられないほど、結果へ責任を持つ姿勢も練習生時代から続く軸になりました。
ただし、努力すれば必ずデビューできる世界ではありません。
技術を磨くほど、自分の価値を合格や完成度だけで測ってしまう危うさも大きくなっていきました。
2023年 心が止まり、別の国なら自分を変えられると思った
2023年、JISOOさんは心が落ち込む時期を経験しました。
その後に大切にするようになった言葉が「健康第一」です。
当時はソロアーティストを目指していましたが、同じ環境の延長ではなく、別の国へ行けば新しい自分になれるかもしれないと考えます。
そこで応募したのが、ちゃんみなさんとSKY-HIさんによる『No No Girls』でした。
韓国で積み重ねた練習を捨てたわけではありません。
むしろ、整った歌だけでは見えなくなっていた自分を、未知の言葉と仲間の中で探し直す選択です。
この移動が、その後の歌唱変遷を決めます。
上手く歌えるかという問いに加え、「この歌でどんな自分を出すのか」という問いが始まりました。
2024年夏 第二次審査で、技術は入場券になった
第二次審査の公式映像には、韓国で訓練してきたJISOOさんが、一人の候補者として立つ姿が残っています。
この段階では、完成度の高さが大きな強みでした。

ただし『No No Girls』で求められたのは、既にできることを正確に再現するだけではありません。
自分の傷や迷いを隠さず、曲の人物として何を渡すかが問われました。
練習生としての経験は、審査を進むための入場券にはなります。
しかしHANAへつながる変化は、技術の上へ新しい高音を足すことではなく、守ってきた自分を人前で崩せるかどうかにありました。
『1, 2, 3』で、一人で完成させる歌から仲間と作る歌へ
オーディションが進むと、JISOOさんはMOMOKAさん、STELLAさんと『1, 2, 3』を披露しました。
別々の背景を持つ三人が、一つのステージで互いの声を受け取る課題です。
韓国では、一人で納得できる完成度を追う時間が長くありました。
ここでは、自分だけが正しく歌ってもステージは完成しません。
言葉の違い、声の違い、経験の違いを抱えた相手へ合わせながら、自分の個性も消さない必要があります。
後にHANAで「一声で分かる」と言われる声は、この段階から集団の中で役割を持ち始めました。
『Tiger』の録音で、日本に来て初めて泣いた
『Tiger』のレコーディングは、JISOOさんにとって大きな転機でした。
本人は、日本へ来て初めて泣いたのがこの録音だったと振り返っています。
ちゃんみなさんが韓国語で助言し、周囲の候補者も支えました。
言葉が通じたから泣いたのではなく、上手く仕上げなければならない緊張の中で、弱さを見せても歌い続けられる場所を得たのです。
練習生時代の完璧さは、自分を守る鎧にもなります。
『Tiger』では、その鎧を外した状態でも仲間が離れないと知り、声へ感情を預ける幅が広がりました。
ここから、JISOOさんの歌は整っているだけではなくなります。
声を乱さずに感情を隠すのではなく、揺れた経験そのものを曲の強さへ変える方向へ進みました。
THE FINAL 『I'm Not OK』で、知らなかった自分を舞台へ出した
最終審査のソロ曲『I'm Not OK』で、JISOOさんはロックスターのような自分を表現し、ギターも手にしました。
本人は、このステージで自分でも知らなかった姿を発見できたと話しています。
タイトルが示すのは、平気ではない自分を隠さない姿勢です。
かつて心が落ち込み、別の国なら変われるかもしれないと考えた人が、「大丈夫ではない」と言える人物を舞台の中心へ置きました。
歌声の変化を音の高さだけで測れば、この転機は見落とされます。
大切なのは、上手く見せるための声から、自分の状態を物語にして見せる声へ進んだことです。
現在の一声で分かるJISOOさんの歌い方には、この時に見つけた大胆さと、以前からの繊細さの両方が残っています。
『Drop』で、煽りまで七人の会話に変えた
最終審査のグループ課題『Drop』では、ちゃんみなさんから煽りを入れる提案を受けました。
JISOOさんたちは控えめに足すのではなく、やりすぎるほど大きく試します。
その中で生まれたMAHINAさんへの掛け声は、ステージの記憶に残る場面になりました。
これは、練習生時代の正確な歌唱だけでは生まれにくい声です。
誰かが決めた正解を再現したのではなく、仲間と相談し、会場の熱へ合わせ、試した結果が一つの表現になっています。
一人で完成度を追っていたJISOOさんが、他者とのやり取りから自分の声を更新した瞬間です。
2025年 『ROSE』の歌い出しで、過去を七人の物語にした
HANAは『Drop』でプレデビューし、2025年4月に『ROSE』で正式デビューしました。
JISOOさんは『ROSE』の歌い出しを担当しています。
この曲を初めて聴いた時、つらい時も咲こうとした自分を愛する内容に重なり、涙が出たそうです。
韓国で撮影されたMVでは、日本で助けてもらった仲間を自分の国で案内する役割も担いました。
ソロを目指していた頃なら、自分の声は自分を証明するためのものでした。
HANAでは、自分の過去を七人の物語の入口へ差し出しています。
CHIKAさんの歌唱変遷やNAOKOさんの歌唱変遷と並べると、同じデビュー曲へ別々の人生が合流していることが分かります。
『Blue Jeans』で、経験できなかった青春を歌い直した
強い意志を掲げる曲が続いたHANAにとって、『Blue Jeans』は初のミッドテンポのラブソングでした。
JISOOさん自身にも、この曲は特別な意味を持っています。
学生時代は、学校が終わると歌やダンスのレッスンへ向かい、青春らしい時間をあまり持てませんでした。
ところがHANAのメンバーと過ごし、『Blue Jeans』を歌う中で青春を感じられるようになったといいます。
失った時間を嘆く歌ではありません。
かつて選べなかった感情を、今の仲間と声にすることで、新しい経験へ変えた曲です。
強い声をさらに強くするだけが成長ではありません。
戦う歌の説得力を保ったまま、恋心の近さや、仲間と笑う時間まで歌えるようになったことが、HANA加入後の大きな広がりです。
2026年 完璧を求める人が「抜く」ことを選び始めた
2026年の1stアルバムでは、プレデビューから現在までの曲が一つの作品にまとまりました。
新曲『Cold Night』では、HANAの歌がアニメ作品の物語とも結びついています。

レコーディングで納得するまでスタジオを出られなかったJISOOさんも、今は次のテイクへ切り替えられるようになりました。
妥協ではなく、一回ですべてを決めようとせず、曲全体で最善を選ぶための変化です。
ライブについても、これまでは力を抜く場所がなかったと振り返り、今後は観客の近くで一緒に楽しむ瞬間を作りたいと話しています。
出し切ることだけを本気と考えず、「抜く」ことまで表現として選び始めました。
韓国で磨いた完成度は、今もJISOOさんの土台です。
ただし現在は、完璧さに自分を閉じ込めず、曲、仲間、観客に合わせて声の距離を変えられるようになっています。
変わらないのは、音楽なしでは幸せになれないという根
韓国の練習生、日本でのオーディション、七人組でのデビューと、JISOOさんの環境は短期間に大きく変わりました。
歌声も、正確さを証明する声から、弱さや仲間との関係まで伝える声へ広がっています。
それでも、進路調査の時に感じた「音楽をやらないと幸せになれない」という根は変わりません。
最近、喉の調子が悪く思うように歌えなかった日にも、音楽が自分に不可欠だと改めて気づいたそうです。
だからこそ、完成度だけに自分を追い込む方法から離れ始めたのでしょう。
長く歌うために健康を守り、七人で成長し、いつか一人ずつがプロデュースしたソロ曲をライブで披露する未来も思い描いています。
まとめ
JISOOさんは韓国で練習生を経験し、高い完成度を求める歌い手として『No No Girls』へ参加しました。
しかし変化を生んだのは、さらに正しく歌うことではありません。
『Tiger』では弱さを見せても仲間が支えてくれると知り、『I'm Not OK』では知らなかった自分を舞台へ出しました。
『Drop』では仲間との会話から煽りを生み、『ROSE』では過去を七人の物語の入口へ変えています。
『Blue Jeans』では経験できなかった青春を歌い直し、2026年には全力だけでなく「抜く」表現も選び始めました。
整った声が感情を隠す鎧ではなく、自分と仲間の物語を届ける道具になったことが、JISOOさんの歌唱変遷です。
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