LISA(BLACKPINK)の歌声の変遷|ラッパーとしての自信から、自分の歌を探す時間へ

2024年10月、ソロ活動について語ったLISA LISA(BLACKPINK)
2024年10月、ソロ活動について語ったLISA

LISAの歌には、人を圧倒する強さと、気持ちをそっと差し出す柔らかさがあります。
BLACKPINKのラッパーとして知られた彼女が、ソロで広げてきたのは、その両方を自分の作品に収める自由でした。
堂々とした姿の裏には、声が出なくなった時期や、初めての制作陣の前で歌う不安もあります。

歌うことも踊ることも学んだ、デビューまでの五年間

タイで育ったLISAは、五歳からダンスを始め、人前で踊ることを楽しんでいました。
韓国へ渡ってからの五年間は、ダンスだけでなく歌のレッスンも受け、毎月の評価に臨んでいます。
歌と踊りを一緒に身につけた時間が、彼女の出発点でした。
のちにラッパーとして強い印象を残しても、歌うことへの関心が途中で突然生まれたわけではありません。

ただし、デビュー後も録音が順調に進んだわけではありません。
本人は「AS IF IT’S YOUR LAST」が出た2017年から「DDU-DU DDU-DU」の2018年までを、歌えずに苦しんだ時期として振り返っています。
スタジオに入っても声が出ず、グループの足を引っ張っていると感じて泣いたこともありました。
その時期を越える支えになったのが、もう一度挑むよう促したプロデューサーのTeddyです。

2021年、自分の名前を掲げてラップの強さを押し出す

2021年、初のソロ作品『LALISA』発表時のLISA
2021年、初のソロ作品『LALISA』発表時のLISA。
画像出典:画像掲載元

初のソロ作品『LALISA』では、得意とするラップとダンスが中心に置かれます。
旋律を含む「LALISA」と、よりタイトなラップを楽しむ「MONEY」。
本人は二曲の違いを、声と言葉の使い方から説明していました。

この制作では、以前から組んできたTeddyやBekuh BOOMと、彼女の長所を共有できる関係が生きました。
LISA自身も意見を伝え、話し合いを重ねています。
堂々とした態度には、自分にもファンにも自信を持ってほしいという願いもあります。
親しんだ制作環境の中で、まずは自分の輪郭をはっきりさせたソロだったのです。

さらに「LALISA」では、タイの要素を入れたいと本人がTeddyに提案しました。
それがブリッジの音楽や衣装、振り付けにも結びついています。
ここで表に出したかった個性は、ラップの巧さだけではありません。
韓国で経験を積んできた自分と、タイで育った自分を、一つの舞台に連れてくることでした。
故郷の音を取り入れる試みは、ソロで何を選ぶかという意思の表れでもあります。

翌2022年には、得意なのはヒップホップだけなのか、タイの音楽にも可能性があるのかと自ら問いかけています。
文化を音楽に生かすロザリアへの関心も語っていました。
のちの共演へつながる興味は、この頃からありました。

2024年、知っているLISAから、まだ知らない歌声へ

2024年には自身の会社LLOUDを立ち上げ、新たな制作環境へ進みます。
再出発の「Rockstar」は、まず従来のファンとつながるための曲でした。
そこからロザリアと共演する「New Woman」、さらに「Moonlit Floor」へ進み、声の質感にも幅を持たせていきます。
最初に親しみのある強さを示してから、別の側面を届ける順序だったと考えると、この三曲の並びがよく見えてきます。

2024年の取材に登場したLISA
2024年の取材に登場したLISA。
画像出典:画像掲載元

しかし、制作相手が変われば、すぐ自由に歌えるというものでもありませんでした。
長く同じチームで作ってきた彼女は、初めて組むSammy Sosoやボーカル・プロデューサーのKuk Harrellの前で、能力を見せることに気後れしたと話しています。
Harrellも、BLACKPINKのチーム以外のボーカル・プロデューサーと仕事をするのは初めてだと彼女から聞いていました。
自分の歌を広げるには、慣れた相手なら分かってくれたことを、新しい相手に伝えるところから始める必要があったのです。

『Alter Ego』で、強気な声と傷つきやすい声を並べる

2025年の『Alter Ego』では、ロマンティックな側面を担うSUNNIに「Moonlit Floor (Kiss Me)」や「Dream」が結びつけられます。
後者は、静かなピアノを伴うバラードです。
ラップや大きな仕掛けで勢いをつける曲が並ぶ中に、感情を静かに置く歌が入りました。
二曲で自分を紹介したソロ初期に比べ、アルバムでは、強さ以外の気分にも居場所ができています。

五つの人物像は、先に設定だけを作って曲を当てはめたものではありません。
LISAは、遅い曲も速い曲も、さまざまな音楽を試して気に入った結果、それらを五つのキャラクターとしてまとめたと説明しています。
録音で見つかった幅が、作品の形にもなったのです。

なかでも「Dream」は、恋愛の感情を作品として差し出す難しさを伴いました。
本人は録音時にかなり心配したことを明かしています。
歌う内容まで隠し続けたくないという気持ちと、それを受け止めてもらえるだろうかという不安が重なっていました。
柔らかな歌を加えた変化は、曲調が増えたというだけの話ではありません。
これまで表に出しにくかった感情を、自分の声で引き受ける変化でもあったのです。

その広がりが、作品全体への一様な高評価につながったわけではありません。
方向が多すぎて焦点を結びにくいという批評もありました。
一方で、その同じ批評の中で「Dream」の表情豊かな歌声は評価されています。
多彩な企画の中で何を中心に据えるかという課題と、歌い手として見つかった魅力は、分けて考える必要があります。

2025年の挑戦を経て、次の作品へ

この制作期と、2025年のソロでのCoachella出演に至る歩みを収めたのが、2026年公開のドキュメンタリー『Always Lalisa』です。
公開された年と、映っている挑戦の時期には隔たりがあります。
作品を作り、舞台に立ち、その経験を振り返るまでをつなぐと、『Alter Ego』が一度の衣替えではなく、試行錯誤の時間を含んだ作品だったことが分かります。

ソロで得た自信は、BLACKPINKへ戻ったときの関わり方にも表れました。
LISAは、以前より自分の意見を伝えるようになったと語っています。
それぞれが単独で経験を積んだことで、グループにも新しいエネルギーが持ち込まれました。
自分で決める経験を重ねた結果、四人で作る場でも、自分の考えを持ち寄れるようになったのです。
ソロとグループは、歌い手としての経験を行き来させる場所になっています。

2026年10月23日には、EP『PRESS PLAY』が発売されました。
「SaWaDiKa」や「Tarantino」を収め、映像的な発想を持つ新作です。
『Alter Ego』で複数の人物像を用いたLISAは、次の作品でも、曲ごとの世界を演じ分ける方法を選んでいます。

本人は『PRESS PLAY』について、一曲ずつにキャラクターと物語があり、映画のような作品だと説明しました。
また、タイの挨拶を曲名にした「SaWaDiKa」を通じ、ファンからその言葉で声をかけられる喜びも話しています。
「LALISA」で表に出した故郷とのつながりは、今度は曲名と言葉を通じて、聴き手とのやり取りにも広がりました。
新しい表現を増やしながら、自分の出発点も持ち続けています。

LISAの変遷をたどると、自信のあるラッパーが、そのまま迷いなく歌の領域へ進んだわけではないことが分かります。
声に悩んだ時間も、知らない相手の前で歌う緊張も、作品を作る過程にありました。
その先で、強く押し出す声と、柔らかく感情を伝える声を、自分の選択肢として並べています。
曲の中でその違いをどう使っているかは、LISA(BLACKPINK)の歌い方で掘り下げています。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました