森愁斗の歌を考えるとき、柔らかい声という印象だけでは、BUDDiiSの中で担っている役割を説明しきれません。
どの高さから声を出すか、細かな旋律をどう覚えるか、最後のサビへどんな雰囲気を渡すか。
SHOOTの歌には、一節を飾る技術と、曲全体の流れを考える視点が重なっています。
その声の使い方を、録音やパフォーマンスで本人たちが向き合った具体例から見ていきます。
切なさを、歌い回しの選択にする
SHOOTは、自分の歌を、儚さや切なさを担うことの多い声として捉えています。
BUDDiiSには、高い声、低い声、厚みのある声など、異なる持ち味を持つ歌い手がいます。
その中で、自分も同じ強さで押し出すのではなく、違う感触を差し込めることが役割になる。
声の個性は、一人で完結するものというより、前後の声との関係で輪郭がはっきりするものなのです。
4人で歌う「LOUD」は、そうした声の違いを聴き比べる入口になります。
「Lack」では、その切なさを曲に合わせて歌い回しへ落とし込んでいます。
SHOOT自身が意識していたのは、同じサビを歌うMORRIEとの違いでした。
兄弟だから似せるのではなく、それぞれが感じた曲の表情を出す。
ここでは、切ない声という説明を、生まれつきの声質だけに結びつけないことが大切です。
曲をどう受け取り、どう歌うかという選択も、その印象を作っています。
柔らかさを残しても、歌い出しは曖昧にしない
デビュー当時、SHOOTには、狙う音より低いところから声を出し始める傾向がありました。
そこでKEVINが助言したのは、最初から音を捉えて声を出すことです。
声の雰囲気と、音程の入り口は別の問題です。
柔らかな印象の歌でも、最初の音をどこへ置くかが、フレーズの形を支えます。
「Glow Gold」でサビの音程に苦労した経験も、同じように、声質だけでは解けない課題でした。
個性的な旋律を覚え、必要な音へ声を運ぶことが、曲の魅力を伝える前提になります。
優しく聴こえる歌を、ただ弱く出した声と考えると、この準備は見えにくくなります。
どこから声を始め、どんな旋律を通るか。
印象を支える細部にも目を向けると、SHOOTの歌の見方は変わります。
フェイクも、細かな音の動きとして覚える
「Magic」の終盤では、主旋律に重なるフェイクを担当しています。
メロディーを細かく動かして彩る歌い方ですが、SHOOTは、その場で自由に足しているわけではないと説明しました。
もとになる歌がデモにあり、その動きも覚えて歌っています。
本人にとっては、通常のメロディーとフェイクを、まったく別の能力として分けていません。
自由に聞こえる装飾にも、音を確かめて身につける工程があるのです。
この話は、フェイクの派手さだけに注目しないための手掛かりになります。
主旋律が続く中で、自分の声をどのように重ねるか。
たくさん音を足すことより、曲の中に用意された役割を形にすることが、ここでの歌唱の土台になっています。
裏声とダンスを、同じ舞台で成立させる
「Instinctive Love」について、SHOOTは、声を高めに置く感覚と裏声があり、歌いながら踊ることが難しいと話しています。
一方、ダンスでは、ゆっくりした動きをしっかり見せることが、切なさや色気につながるとも考えていました。
歌だけで感情を表すのではなく、声と動きが同じ雰囲気を向くようにする曲なのです。
別の機会にも、本人はこの曲の裏声の多さと、ダンスを伴う難しさを挙げています。
裏声が使えることと、それを舞台の動きの中で保つことは、同じ課題ではありません。
SHOOTの繊細な表現を考えるうえでは、声だけを切り離さず、同時に何をしているかまで見る必要があります。
「Iris」では、MORRIEが、自分とSHOOTにとって慣れない息の使い方だったと話しています。
切なさを担う歌い手であっても、息を使う表現ならすべて得意というわけではありません。
曲ごとに求められる歌を覚え直すことも、その柔らかな印象の裏側にあります。
次のサビへ、歌い方で橋をかける
「JUBiiLEE」の制作では、SHOOTは仮歌を繰り返し聴き、細かなニュアンスまで耳で覚えていました。
カバーでも原曲への敬意を大切にし、歌い方を近づけてきた習慣が、その準備につながっています。
とくに本人が重視したのは、最後のサビへ向かうブリッジでした。
自分の部分で曲を止めず、次へうまく渡せるように、雰囲気と歌い方を考えています。
一節をきれいに歌うことに、次の展開を気持ちよく迎えるための役割が加わるのです。
KEVINは、伴奏の和音にない音を歌が補う作りだと説明しています。
音の取り方を細かく覚える意味は、ここにもあります。
ニュアンスだけでなく、伴奏と重なったときに曲がどう響くかに関わる準備なのです。
「Iris」では、冒頭のSHOOTの歌が、作品の世界へ入るきっかけになるとKEVINが説明しています。
サビ前に空気を渡すことと、第一声で曲の空気を作ること。
場所は違っても、声によって聴き手を次の展開へ導くという点でつながっています。
長く歌うかどうかだけでは測れない、一節の役割です。
組み合わせが変われば、声の役割も変わる
「カンケイナイ」は、SHOOT、YUMA、TAKUYAの三人によるユニット曲です。
FUMINORIは、SHOOTの歌声を軸に、ほかの二人のかわいらしい声が重なる組み合わせを魅力として挙げています。
いつも同じ相手へ歌を渡すわけではありません。
誰と歌うかが変われば、自分の声の立ち位置も変わる。
グループの歌い手としての持ち味を考えるなら、こうした小さな編成も見逃せません。
一方、2024年にはサンリオの企画で「ボクはペックル」を歌っています。
本人は、普段とは違う歌声も楽しんでほしいと話しました。
切ない声という一つの印象だけで、歌う題材や表現の幅まで決めつけることはできません。
どんな世界の歌に、自分の声を合わせるかという選択も続いています。

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SHOOTの歌を聴く入口になるのは、儚さや柔らかさかもしれません。
その先には、音の入り口を整えること、細かな動きを覚えること、声とダンスを両立させること、次の歌へ雰囲気を渡すことがあります。
声の印象と、それを曲の中で生かす仕事を一緒に見ると、彼の一節が担うものがよく分かります。
こうした役割を任されるまでの歩みは、森愁斗の歌唱変遷でたどっています。







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