鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)の歌い方・発声|爽やかな曲でも、自分の濃い声を選ぶ

鬼龍院翔(2025年の音楽ナタリー対談掲載写真) シンガー
鬼龍院翔(2025年の音楽ナタリー対談掲載写真)

鬼龍院翔は、自分の歌声の濃さを好んでいます。
カバーで原曲から離れるときにも、ほかの歌手と声を重ねるときにも、その好みが表れます。
ただし、曲の覚え方やライブで歌う範囲まで、いつも同じというわけではありません。
本人が語った発声と、曲ごとの声の選び方を見ていきます。

Love Days — 『個人資産』(2018年)のセルフカバー・MV

喉仏を下げる歌い方と、憧れの声

2018年の『GROOVE LINE』では、セルフカバーアルバム『個人資産』の「Love Days」が紹介されました。
声の出し方について聞かれた鬼龍院は、GACKTの歌い方の影響を挙げ、喉仏を下げる、クラシックの発声に近いところがあると説明しています。

さらに、自分の歌声は暑苦しい部類に入るらしいが、その声が好きだとも話していました。
レコーディングでそういう声を出せると、うまくいったと喜ぶ。

GACKTの影響は、ビブラートの習得にもつながっています。
2021年の「ヒトカラフェス ライブ・ビューイング」でビブラートについて質問された際、鬼龍院は、ものまねをしているうちにできるようになったと答えていました。
『Real Sound』の取材記事が伝えた、本人の説明です。
憧れの歌い手の声をまねることが、実際の歌唱の技術にもなっていました。

「ルナルナ」で、爽やかさに寄せなかった理由

鬼龍院は、2015年のスピッツのトリビュート盤『JUST LIKE HONEY ~『ハチミツ』20th Anniversary Tribute~』で「ルナルナ」を歌っています。
このカバーについても、同じ番組で振り返っていました。

スピッツのような爽やかな声にはならず、それを自分には難しいと感じた。
そこで、むしろ暑苦しさを強めたと説明しています。
中途半端に似せると比較され、批判もされるだろうと考え、反対の方向へ振り切ったというのです。

ルナルナ — 2015年のトリビュート盤収録曲(2025年配信)

「Life is SHOW TIME」は、仮歌をなぞらず自分の表情を探した

声の個性を残したいという姿勢は、ほかの作家から受け取った曲でも変わりません。
『仮面ライダーウィザード』の主題歌「Life is SHOW TIME」について、2012年のTOWER RECORDS ONLINEの取材で、鬼龍院はいつもより曲を覚えることに苦労したと話しています。
自作曲ならメロディーや歌詞に自分の癖があり、自然に頭へ入ってくるのですが、今回はそうはいかなかったのです。

そこで、歌詞を普段以上に何度も読み込みました。
その一方で、歌い方の見本になるデモの仮歌は聴かなかったと説明しています。
すでにある歌唱をそっくりなぞるより、自分の色を出したほうがよくできるという思いがあったためでした。

曲を覚える作業と、歌の表情を作る作業を、ここでは分けていたことになります。
歌詞と旋律を自分の中へ入れたうえで、どこを力強く届け、どこに自分らしい響きを乗せるのかを考える。
濃い声をそのまま出すだけでなく、その声で他人の作った曲をどう成立させるかにも取り組んでいたのです。

二人で歌っても残る、濃さとまっすぐさ

森友嵐士とのユニットmorioniでは、声の個性を共演者が言葉にしています。
2015年のBARKSの取材で森友は、鬼龍院の歌い方には濃さがある一方、歌が持つエネルギーはピュアで、まっすぐに向かってくると評しました。
その印象が、「サヨナラは歩き出す」で旅立ちや卒業をテーマにしたことにもつながったと話しています。

声に癖があることと、伝わる気持ちが素直であることは、両立するという評価です。
濃い声だから必ず大げさに聞こえる、という一方向の見方には収まりません。
歌い回しの輪郭がはっきりしているからこそ、言葉を強く受け取れる場合もあるのです。

この二人の歌を聴くなら、一人ずつ歌う箇所から声が重なる箇所へ進むときにも注目できます。
鬼龍院自身の存在感が残りながら、相手の声と並んだときにはどんな響きになるのか。
共演者の評を踏まえると、声の濃淡と、歌が伝える感情を分けて聴く面白さがあります。

鬼龍院翔が出演した2018年「GROOVE LINE」の掲載写真
鬼龍院翔が出演した2018年「GROOVE LINE」の掲載写真。
画像出典:画像掲載元

「1・2・3」で選んだ、熱く強い歌声

2020年には、西川貴教と「西川くんとキリショー」として「1・2・3」を歌いました。
リアルサウンドの対談で鬼龍院は、先に歌ったAfter the Rainの爽やかな表現があるからこそ、自分たちは熱さと強さを出したかったと説明しています。
西川の歌を聴き、自分も力強い声で応じたという話でした。

歌詞やメロディーを変えない中で、選ばれた自分たちができることは個性を出すことだと考え、そこに遠慮はなかったとも語っています。
「ルナルナ」で原曲の爽やかさへ無理に寄せなかった話と同じく、声の性質を生かして曲の印象を作り直す選択です。

同じ対談では、西川の曲をカバーするとき、自分の歌い方の癖は遠くないため、聴く人の思い出を崩さずに歌えているのではないかとも話しました。
西川も、鬼龍院には歌の基礎があり、歌詞を届けられるからこそ、派手なパフォーマンスが成立すると評価しています。
濃い声と大きな見せ方の奥には、言葉を歌として届けるという土台があるのです。

「女々しくて」では、息を入れられない箇所を歌わない

一方、「女々しくて」のライブには、本人が歌わないと説明している箇所があります。
2025年の『音楽ナタリー』で、鬼龍院は「女々しくて」のサビで言葉を繰り返す部分を、ライブや歌番組では歌っていないと話しています。
息をする場所がないためで、そこではマイクも口に当てていないという説明でした。

歌い続けることだけでなく、場を盛り上げることも大切にする。
本人が語るライブでの選択には、歌える範囲と、曲を届ける場面の両方を考える視点があります。

女々しくて — MV(2009年発表曲)

自分らしい歌声は、声の高さだけでは決まらない

声の特徴を本人がどう捉えているかは、歌声合成ソフト「機流音」についての話からも分かります。
2023年のリアルサウンドの取材で、過去の録音データをもとに作られた合成音声を聴いた鬼龍院は、自分の癖や、生々しく暑苦しい感じが残っていることを喜んでいました。
乃木坂46の「インフルエンサー」を歌わせた参考音源にも、自分らしい濃さを感じたというのです。

これは本人が新たにその曲を歌った録音の話ではありません。
別の曲へ置かれても認識できる特徴として、本人が歌い方の癖を大切にしているという話です。
高音が出るかどうかに加え、同じ言葉をどう響かせると鬼龍院らしくなるのか。
カバーや共演を聴き比べるときにも、その視点が役立ちます。

鬼龍院の歌い方は、声の出し方と、ステージでの選び方が組み合わさっています。
発声を学び直し、自分の曲を歌い続けてきた過程は、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)の歌唱変遷でたどっています。

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