UVERworldのTAKUYA∞さんというと、毎日10kmを走り、長いライブでも高音を連発する「喉まで屈強な人」という印象を持たれがちです。
しかし、本人が明かしてきた過程は、そのイメージと少し違います。
若い頃にはハスキーな声へ近づくため、わざと喉を潰すように歌っていました。
キャリアを重ねた後には、自分の声に飽きかけたことをきっかけに歌唱解説の動画を約70本見て、力の抜き方や苦手な低音を学び直しています。
つまり、現在の高音を支えているのは根性だけではありません。
全身を鍛えて一公演を走り切る体力と、普段は余計な力を減らす発声、ここぞという瞬間だけ声を荒らす表現を、別々に扱えることが大きな強みです。
毎日10km走れば、TAKUYA∞の高音が出るわけではない
TAKUYA∞さんは長年、ほぼ毎日10kmを走る習慣を続けています。
50分以内で走るという基準を設け、ツアー中も各地で走る姿は、歌手のトレーニングというより生き方として知られるようになりました。

この習慣がライブの土台になっていることは確かです。
UVERworldの公演では、歌うだけでなくステージを動き、長い言葉を畳みかけ、観客へ呼びかけ、曲間の熱量も落としません。
心肺機能や脚の持久力がなければ、声を出す以前に全身のパフォーマンスが崩れます。
ただし、走ることが高音の発声法を直接作るわけではありません。
長距離を走れる人でも、地声の力を保ったまま高い音へ押し上げれば喉は苦しくなります。
10kmランが説明するのは「最後まで動き続けられる理由」です。
高音の出し方そのものは、本人が別に学び直してきた声の使い方を見なければ分かりません。
出発点は、喉を守る発声とは反対だった
ボーカリストになる前のTAKUYA∞さんは、曲を作っても先輩に歌ってもらうことがありました。
自分で歌い始めた頃には、車内で何時間も声を出し、喉がガラガラになるまで練習したと振り返っています。
さらに、もっとハスキーな声が欲しいという理由で、わざと喉を潰すような歌い方まで試しました。
現在のストイックな身体管理からは想像しにくい、かなり乱暴な出発点です。
この経験を「喉を酷使したから強くなった」と受け取るのは危険です。
声のかすれは成長の証拠ではなく、炎症や損傷の可能性もあるため、同じ方法を試す理由にはなりません。
むしろ面白いのは、力で声を変えようとした若者が、後に力を抜く面白さへ到達したことです。
現在の歌声は、最初から正しい方法だけを歩んだ結果ではなく、やり過ぎた過去を抱えたまま声の扱いを更新してきた結果です。
2021年頃、約70本の動画で自分の声を学び直した
バンド結成から20年を越えた頃、TAKUYA∞さんは自分の声に少し飽きかけていました。
そこで歌唱法を説明する動画を約70本見て、自分に合うものと合わないものを選び、これまで得てきた声の知識へ足していきます。
特に変化を感じたのは、高音ではなく苦手だった低音でした。
声の周波数そのものが別人になったわけではなく、力の抜き方や声の使い方を変えると、自分にとっての聴き心地が良くなったと話しています。
ここには、TAKUYA∞さんの発声を理解する重要な手掛かりがあります。
派手な高音を持つ歌手ほど、さらに上へ伸ばす練習だけをしているように見えますが、本人が面白がったのは声域全体の使い直しでした。
低い音で余計な力を使わず、曲の中に強弱を作れれば、高音だけを常に最大出力にする必要がなくなります。
高音の迫力は、最高音の一瞬だけでなく、そこへ至るまでの音量と声色の差によっても大きく感じられるからです。
地声のような高音は「全部を地声で押す」という意味ではない
TAKUYA∞さんの高音について、発声解説ではミックスボイス、地声寄りの発声、明るい響きなど複数の説明が使われています。
用語が割れるのは、曲や高さによって声の重さが変わり、一つのラベルでは収まりにくいからです。
共通して挙げられやすいのは、声が重すぎず、明るく前へ出ることです。
高い音でも話し声の勢いを残すため、弱い裏声へ逃げたようには聞こえにくくなります。
一方で、「地声っぽい」と「低音と同じ喉の形のまま」は別の話です。
同じ力で押し上げ続ければ、音量は出ても細かな音程、言葉の速さ、ライブ後半の安定を失いやすくなります。
Takaの高音にも地声感がありますが、声色や英語の置き方は異なります。
TAKUYA∞さんらしさは、単に高い地声を出せることより、言葉の多い旋律でも声の芯を消さず、ラップから歌へ一気に移れる点にあります。
長い歌詞が、高音をさらに難しくしている
UVERworldの曲では、一息の中に多くの言葉が入り、歌とラップと語りが短い間隔で切り替わります。
高音だけなら一度構えて出せますが、速い言葉の直後に高音が来ると、息も口の形も準備する余裕がありません。
TAKUYA∞さんは「EN」の制作で、言葉を置く方法にも強くこだわりました。
冒頭のポエトリーリーディングでは、通常のメロディーを歌う時とは違う、生の言葉をぶつける感覚が曲の一部になっています。
ここで大切なのは、滑舌を良くするために子音をすべて強くしているわけではないことです。
言葉の勢いを保ちながら、音程を聴かせる場所、リズムを刻む場所、意味を直接投げる場所を切り替えています。
声域だけを見れば「THE OVER」も難しい曲ですが、TAKUYA∞さんの難しさは音の高さだけにありません。
多い言葉を落とさず、バンドの大きな音を越え、次の高音まで熱量をつなぐ総合競技のような歌唱です。
「EN」であえて力んだ事実が、普段との違いを示している

「EN」のレコーディングでは、防音されたブースの外まで聞こえるほど声を出した場面がありました。
本人は、普段なら喉で歪ませず、力まずに叫ぶ方法を選べると説明したうえで、この曲ではあえて力み、全力で声を出したと語っています。
目的は、きれいなシャウトを録ることではありません。
肉弾戦のような生々しさを曲へ入れるため、通常の安全な選択を一度外したのです。
この話は、TAKUYA∞さんがいつも力任せに歌っているという証明ではなく、その反対です。
普段の出し方との違いを理解しているからこそ、表現上の例外として荒い声を選べます。
聴く側は、迫力のある瞬間をすべて同じ発声だと思わない方がよいでしょう。
伸びる高音、言葉を刻む声、音程を離れた叫びは、似た熱量でも役割が違います。
一日を走り切る体力と、喉の耐久力は分けて考える
UVERworldは長い公演や、一日に異なる観客を迎える複数公演にも挑んできました。
観客が声を出せなかった時期には、足りない熱量をステージ側が限界以上に出すと決め、メンバー全員で体重やランニングの目標まで設定しています。
それでも、過去にまったく声が出なかった公演があったことをメンバーは振り返っています。
鍛えれば喉が消耗しなくなるわけではなく、TAKUYA∞さんも無限に声を使える人ではありません。
毎日走ること、酒やたばこを避けること、体を整えることは、失敗をゼロにする魔法ではなく、最高の状態で舞台へ立つ確率を上げる準備です。
そこへ発声の学び直しが加わり、体力と声の両方を更新してきました。
西川貴教さんの身体管理と高音も同様に、筋力だけで発声を説明できません。
鍛えた体は声の選択肢を支えますが、喉を押してよい根拠にはならないのです。
真似するなら、熱量ではなく「使い分け」を見る
TAKUYA∞さんを参考にする時、最も目立つシャウトだけを切り取ると本質から離れます。
「THE OVER」のように旋律と言葉を長く保つ歌と、「EN」の生々しい叫びでは、声に求めた役割が違います。
まず注目したいのは、どの瞬間も最大音量ではないことです。
低い声、語り、細かなリズムがあるから、サビの高音や一度の叫びが大きく感じられます。
反対に、真似しない方がよいのは、昔の本人が行ったように喉を潰して声質を作ることです。
毎日10kmをいきなり始めることも、発声の近道にはなりません。
強いかすれ、痛み、話し声の異常が出る歌い方は中止し、不調が続く場合は耳鼻咽喉科へ相談してください。
高い声ですぐ枯れる原因を確認する場合も、我慢して続けることを訓練にしないことが大切です。
まとめ
TAKUYA∞さんの高音は、毎日10kmを走る強靭さだけでは説明できません。
若い頃の喉を潰す歌い方から、約70本の歌唱動画を通じて力の抜き方と低音を学び直し、現在は整った声と表現上の荒い声を使い分けています。
ランニングが支えるのは、一公演を最後まで最高の熱量で動く体です。
その上で、地声感のある高音、速い言葉、ラップ、語り、例外的なシャウトを曲の役割に応じて選べることが、UVERworldの歌を単なる大声にしません。
初期から現在まで、本人の声の考え方がどう変化したのかは、TAKUYA∞の歌唱変遷で年代順にたどれます。






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