KEEN(C&K)の歌い方・発声|中低音も高音も「サックスのように包む」理由

KEEN(C&K)の中低音と高音をサックスのように包む歌い方を分析する記事のアイキャッチ KEEN(C&K)

KEENさんの歌声は、C&Kの低い方という説明だけでは足りません。
中低音ではCLIEVYさんのハイトーンを下から支え、高音では強く張れるのに、曲の空気を守るためにあえて力を抑えます。

本人が思い描く理想の声は、意外にもサックスです。
自分の声の太さや音色を生かしながら、聴き手を包み込むように歌いたいと語っています。

この言葉から見ると、KEENさんの歌い方がよく分かります。
目立つ一音を奪いに行くのではなく、相方の声、メロディー、バンドの隙間へ入り、曲全体の温度を上げる。
KEENさんは低音担当というより、C&Kの中で歌う管楽器のような存在です。

KEENが昔から目指したのは「低い声」ではなく、しっかり届く中低音

C&Kの紹介では、CLIEVYさんが鋭いハイトーン、KEENさんが滑らかな中低音と対比されます。
分かりやすい組み合わせですが、KEENさんの声を脇役に見せてしまう説明でもあります。

本人は2013年の時点で、中低音をしっかり歌えるシンガーになりたいと話していました。
単に生まれつき低い声だから、その範囲を受け持ったのではありません。
高音ほど派手に聞こえにくい帯域で、声色だけを使ってどこまで感情を伝えられるかを考え続けていたのです。

中低音は、音程が低ければ自然に太くなるわけではありません。
息ばかり増えれば言葉が遠くなり、重さを作ろうとすれば声が動かなくなります。
KEENさんについて複数の歌唱解説が共通して挙げるのは、低音から中音にある温かさと、言葉を曇らせない輪郭です。

ただし、その仕組みを胸の響きや喉の位置だけで断定する説明には注意が必要です。
外から声帯の動きを確かめることはできず、専門用語の使い方も解説者ごとに違います。
確かなのは、本人が低い声を飾りではなく、感情を運べる主役の音域として育ててきたことです。

「サックスになりたい」という言葉が、KEENの声の役割を言い表す

KEENさんは、もし楽器になるならサックスになりたいと答えています。
管楽器の中でも人を包み込む力が強く、自分の声の音色と太さもそこへ近づけたいという理由でした。

この発想は、声量や最高音で歌唱力を測る見方とはかなり違います。
サックスは、いつも一番高い音を吹くから目立つのではありません。
メロディーの間へ入り、長い音に色気を残し、ほかの楽器の響きまで豊かに聞かせます。

「アイアイのうた」では、KEENさんの中低音が先に地面を作ることで、CLIEVYさんの高い声が空へ伸びても曲が浮きません。
二人の声は似ていないからこそ、同じ悲しみを別の角度から語れます。
一方が上、一方が下という役割ではなく、二つの音色で一人分以上の感情を作っているのです。

CLIEVYさんの高音と歌い方では、同じ曲でも別人のように声の表情を変える面白さを取り上げました。
その自由さが成立する背景には、KEENさんが同じ高さや同じ声色を競わず、曲の周囲を包むように立っていることがあります。

中低音をしっかり届けることを早くから目標にしていたKEEN

高音で必要だったのは、力を足すことより力を見せないこと

KEENさんを中低音の歌手だと思っていると、高音の話が面白くなります。
ライブでは「空気」で力強いハイトーンを披露したと評され、厚いバンドの中でも二人の声量は埋もれないと記録されています。

つまり、高音が出ないから低い場所にいるわけではありません。
むしろ、張れる声を持つ人が、張らない方を選べるところに技術があります。

アルバム『CK PEAS』の「DAN」では、曲のキーがCLIEVYさんの声を美しく見せる一方、KEENさんにとってはある程度声を張らなければ届きにくい高さでした。
それでも、先に作られた優しく哀愁のある空気を壊したくない。
そこで本人が苦労したのは、声を出すことではなく、必要な力を使いながら強さが前へ飛び出さないよう抑えることでした。

カラオケでは、高い音ほど大きく歌えば正解だと思いがちです。
しかし声量が上がった瞬間に、曲の登場人物まで急に勇ましくなってしまうことがあります。
KEENさんの高音は、届かせる力と、曲を壊さない抑制を同時に持つ好例です。

小さい声なら高音が出るのに大きくすると出ない理由を考える時にも、音量はゼロか最大かの二択ではありません。
KEENさんから参考にできるのは、高音を弱くすることそのものではなく、何のために音量を選ぶのかという順番です。

ダンスの中でも歌が重くならないのは、声より先にリズムがあるから

C&Kは、静かなバラードだけを歌うデュオではありません。
大学の音楽サークルで声を重ね始め、クラブやダンスイベントで経験を積み、歌と踊りを分けずにライブを作ってきました。

本人たちは、ダンサーから「歌うダンサー」だと思われることもあったと振り返っています。
KEENさんの声が太くても鈍く聞こえにくいのは、音を長く押し続けるより、曲の拍や動きへ置く意識が強いからです。

フェイクを使う場面でも、難しい音を見せるだけで終わりません。
次の声へ受け渡す動きがあり、CLIEVYさんの高音と離れては重なります。
温かい中低音が曲を落ち着かせる一方、リズムに乗れば客席を動かす声へ変わるため、「シルキー」という一語だけでは収まりません。

2018年にCLIEVYさんが両足の踵を骨折した際、KEENさんは相方を責めるより、今できる形へ切り替えることを選びました。
横浜アリーナではダンスの見せ場が増え、本人たちが冗談めかして「3倍速」と振り返るほど動きながら歌いました。
声の安定は、静止して正しい姿勢を作る時だけのものではなく、想定外の舞台を成立させるために使われています。

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CLIEVYと似せないことが、C&Kのハーモニーを強くする

デュオでは、二人の声をきれいにそろえることが正解に見えます。
KEENさんとCLIEVYさんは、音色まで同じにする方向へ進みませんでした。

高く軽い声と、低く温かい声。
一直線に飛ぶ音と、周りを満たす音。
差が大きいから、二人が同じ言葉を歌った時に、一方は叫び、もう一方は受け止めているような奥行きが生まれます。

これはCHEMISTRYのように、異なる声が一つの時間を作るデュオとも比べられます。
堂珍嘉邦さんの高音とファルセットでは柔らかな高音へ戻っていく物語を扱いましたが、C&Kでは声域差そのものをライブの起伏へ変えます。

ハモリを理解する時も、同じ音量、同じ太さ、同じ発音を目指すだけでは足りません。
片方が少し引くことで、もう片方の声が強く聞こえる場合があります。
KEENさんは自分の個性を消すのではなく、個性の置き場所を選ぶことで相方を生かします。

似た声へ寄せずに自分の音色を残すことがC&Kのハーモニーを立体的にする

KEENの歌い方を参考にするなら、声の太さより「曲に残す場所」を聞く

KEENさんの低音を真似しようとして、喉を下げたり、無理に声を暗くしたりする必要はありません。
生まれ持った声質と長年のライブ経験は、そのままコピーできないからです。

参考にしやすいのは、一曲の中で自分が何を足し、何を足さないかという判断です。
「アイアイのうた」では中低音がどこで曲の足場を作るか、「空気」ではいつ高音の力を前へ出すか、「DAN」ではなぜ出せる力を抑えるのか。
三曲を比べると、同じ歌手でも声量の選択が違うことに気づけます。

太い声は、常に前へ押す声ではありません。
強く歌える人が相方や曲のために引いた時、声は小さくなるのではなく、周囲を包む役割へ変わります。

KEENさんが目指すサックスのような声とは、特殊な響きの名前ではないのでしょう。
中低音で感情を運び、高音で力を抑え、リズムの中で人を動かす。
自分が主役になる瞬間と、曲全体を主役にする瞬間を選べる歌い方です。

この声が結成初期の中低音から、2018年の横浜アリーナ、バンドとの同時録音、2026年の「新人18年目」までどう広がったのかは、KEENさんの歌唱変遷で年代順にたどります。

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