CLIEVYの歌声はどう変わった?C&K初期・みかんハート・JAM・新人18年目の歌唱変遷

CLIEVYの歌声がC&K初期からみかんハートとJAMを経て変化した歩みをたどる記事のアイキャッチ CLIEVY(C&K)

CLIEVYさんの歌声は、活動を重ねて高くなったというより、高い声が担う役割を増やしてきました。
初期は「男性なのに女性のように高い」という驚きが入口でしたが、「みかんハート」では痛みを運ぶ声になり、ジャンルを混ぜるJAM期には笑いと涙を往復し、近年はバンドやKEENさんの音へその場で反応する声になっています。

変わらないのは、子どもの頃から続く高い声です。
変わったのは、その声を目立たせるために使うのか、曲の人物、温度、場面を作るために使うのかという発想でした。

2026年のC&Kは、自分たちを「期待の新人18年目」と呼びました。
長い経歴を完成の証明にせず、また別の歌い方を試す材料にしていることが、CLIEVYさんの変遷を最もよく表しています。

2008〜2010年、最初の看板は「スーパーハイトーン」だった

C&Kは大学の音楽サークルで出会い、2008年にインディーズデビュー、2010年にメジャーデビューしました。
結成当初から、CLIEVYさんの高い声とKEENさんの地声感のある声は、二人を一度で覚えてもらう大きな看板でした。

当時の紹介では、CLIEVYさんは「スーパーハイトーンボイス」、KEENさんは「シルキーボイス」と対照的に表現されています。
この組み合わせは分かりやすく、C&Kを初めて聴く人へ二人の違いを一言で伝えられました。

一方、二人は最初から一つのジャンルを完成させていたわけではありません。
大学時代は気軽に歌い始め、レゲエの現場を基盤にしながら、自分たちの声が重なる面白さを先に見つけました。
初期の高音は、細かな技術説明よりも「この二人は何者だろう」と振り向かせる役割を持っていたのです。

「梅雨明け宣言」の時期には、明るく勢いのある曲と二人の声質差が前面に出ています。
後年の切ないバラードだけを知る人には、同じ高音が客席をあおり、曲を跳ねさせるために使われていたことが意外に映るはずです。

2013年、「みかんハート」が高音を驚きから物語へ変えた

2013年に発表された「みかんハート」は、C&Kの代表曲として長く聴かれる一曲になりました。
後にストリーミング累計再生数が1億回を超え、テレビの公式企画でも歌われています。

この曲が重要なのは、CLIEVYさんの高音を広めただけではありません。
高い声が「すごい音」ではなく、報われない思いを最後まで運ぶ語り手として受け止められるようになったことです。

本人は、最初のサビを歌うのが難しく、楽曲の音の雰囲気へ歌い方を合わせることに苦労したと振り返っています。
早い段階で感情を使い切れば、後半の切実さが平らになります。
反対に抑えすぎれば、最初の一声で聴き手を物語へ連れていけません。

ここでCLIEVYさんの高音は、名刺から演技へ変わりました。
どこまで上がれるかを示すのではなく、同じ高さでも感情の残量を調整し、曲の時間を作る必要が生まれたのです。

2010年代前半にはスーパーハイトーンという看板が切ない物語を運ぶ歌声へ広がったCLIEVY

2015〜2016年、レゲエでもバラードでもない「JAM」を名乗った

「みかんハート」が広がった後、C&Kはバラード専門のデュオにはなりませんでした。
コミカルな曲、踊る曲、泣かせる曲を同じライブへ持ち込み、観客の感情を大きく振る構成を強めていきます。

初期にはレゲエの印象で捉えられることが多かったものの、二人は自分たちの音楽を一つの既存ジャンルで説明しきれないと考えました。
そこで使った言葉が「JAM」です。
異なる材料が混ざる音楽を示しながら、自分たちの名前の響きも重ねた表現でした。

この時期から、CLIEVYさんの高音も一つの正解から離れていきます。
切ない声が評価されたからといって、すべての曲を同じ細さや余韻で歌わない。
笑わせる場面では声を記号のように跳ねさせ、熱い場面では言葉の輪郭を強め、KEENさんとの掛け合いでは短く引きます。

本人が以前から掲げていた「曲ごとに誰の声かと思わせたい」という願いが、JAMという活動方針と重なりました。
声を上手に統一するのではなく、曲に合わせて人格を変えることが、C&Kらしさとして定着していったのです。

2017〜2018年、大きな会場と「ドラマ」が高音を前へ進めた

C&Kは全国各地でライブを重ね、より大きな会場へ進みました。
歌声だけを静かに聴かせるのではなく、ダンスや演出、客席とのやり取りを含めたステージが活動の中心です。

激しく動いた後の歌唱について、CLIEVYさんは声そのものが出なくなるというより、肺が苦しくなると率直に話しています。
ライブ規模が大きくなるほど、高音の課題は音程だけではなくなりました。
身体を動かし、広い客席へ言葉を届け、相方と掛け合いながら、必要な瞬間に声を出す持久力が問われます。

2018年の「ドラマ」は、そうした前向きなエネルギーが伝わる代表曲です。
「みかんハート」で悲しみを深めた声が、今度は聴き手を前へ運ぶ役割を担いました。

同じ高音でも、切なさを長く残す歌と、言葉を次へ押し出す歌では扱いが違います。
この頃までにCLIEVYさんは、高音を感情の頂点だけに置かず、曲の速度を作る力としても使えるようになっていました。

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2023年、バンドとの同時録音で「決めた声」から「応答する声」へ

2023年のアルバム『CK PEAS』では、C&Kの制作方法に大きな変化がありました。
ボーカルとバンドが同時に演奏するフルセッション録音へ挑んだのです。

それ以前は、用意されたトラックへ声を置き、細部を調整する録音が中心でした。
同時録音では、目の前の楽器が強く鳴った瞬間や、KEENさんが予定より語尾を残した瞬間に、自分の声も反応します。

二人は、この方法によって、それまで知らなかった自分たちの一面が出たと語っています。
長年歌ってきたから予定どおりにできるのではなく、長年歌ってきたから予定外の音へ応答できるようになったのです。

「青青青」の時期には、CLIEVYさんの高音は一人で完成する見せ場ではありません。
バンドのうねりやKEENさんの声と同じ時間に生まれ、その場の音楽を更新する一部になっています。

2023年のバンドとの同時録音では周囲の音にその場で応答する歌へ進んだCLIEVY

2026年、「期待の新人18年目」は完成を拒む言葉だった

2026年の作品「TO BE」をめぐり、C&Kは自分たちを「期待の新人18年目」と表現しました。
長く活動してきた二人が新人を名乗るのは、単なる冗談ではありません。

制作では録音や仕上げを何度もやり直し、CLIEVYさんが思い描く細かな歌の動きへKEENさんが応答しました。
ベテランらしく手早く正解を出すより、まだ決まっていない歌へ近づく過程を選んでいます。

「TO BE」という言葉にも、将来を表す響きと、飛び出すような言葉遊びが重なっています。
初期から続くコミカルさ、JAM期に広げたジャンルの混合、バンド録音で得た応答性が、一曲の中で再び組み直されました。

18年目に目立つのは、若い頃と同じ高さを証明することではありません。
子どもの頃からある声を、過去の代表曲の再現に閉じ込めず、新しい人物へ渡し続ける姿勢です。

CLIEVYの歌声は、高くなったのではなく自由になった

CLIEVYさんの歌唱変遷には、声変わりのような一度きりの断絶はありません。
生来の高い声は、活動初期から現在まで大きな軸として残っています。

2008〜2010年には、男性のスーパーハイトーンとしてC&Kを振り向かせました。
2013年の「みかんハート」では、驚きより物語を優先する声になりました。
JAMを掲げた時期には、笑いと涙、レゲエとバラードの間で人格を変える力が育ちました。
大きなライブでは身体を動かしながら客席へ届け、2023年にはバンドの音へその場で応答する歌へ進みました。

そして2026年、二人は完成したベテランではなく「新人18年目」を名乗っています。
CLIEVYさんの高音が長く新鮮に聞こえる理由は、同じ声を保存しているからではありません。
同じ声へ毎回違う仕事を与えているからです。

現在の高音、KEENさんとの対照、「みかんハート」での声の配役を詳しく知りたい人は、CLIEVYさんの高音・歌い方・発声分析もあわせてご覧ください。

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