不破湊の歌声の変遷|個性への迷いから、曲ごとの歌い方を考えるように

不破湊(2024年掲載のキャラクタービジュアル) シンガー
不破湊(2024年掲載のキャラクタービジュアル)

にじさんじのバーチャルホストとして活動し、ROF-MAOでも歌う不破湊。
ソロの歌声をたどると、自分の個性に迷いながら、曲ごとの表現を探してきた姿が見えてくる。
2022年のレッスンへの思いから、2024年の『Persona』と初のソロライブまで、その声をどんな自分として届けようとしてきたのかを振り返りたい。

自分らしさに迷いながら、レッスンに可能性を見つけた

2022年の取材では、兄の影響で音楽を聴き、学生時代にはバンドをしていたと振り返っている。
ラウド系のバンドのライブへ通い、マキシマム ザ ホルモンの曲をコピーした経験もあった。

2022年2月のReal Soundの鼎談で、不破は、ほかの人の配信を見て歌の上手さに刺激を受け、最近ボイトレに通い始めたと話している。
見てくれる人に、もっと実力を付けた歌を届けたいという思いがあった。

その一方、自分の声には特徴がないと感じてもいた。
周囲からは個性があると言われるものの、曲やコラボ相手によって雰囲気が変わり、自分らしい歌を探している途中だったという。
外から聴こえる魅力と、自分が感じる手応えには、まだ隔たりがあったのだろう。

それでも、レッスンに通う中で、これからも上手くなれるかもしれないという可能性を感じていた。
自分の歌への迷いと、努力を重ねたいという気持ちが、同時に語られている時期だ。

ユニットの録音で、作り手の指示に触れる

同じ2022年には、ROF-MAOのミニアルバム『Crack Up!!!!』も発表された。
SPICEのインタビューで甲斐田晴は、基本的に二人ずつで録音し、楽曲を提供した人たちも歌唱の指示に立ち会ったと説明している。
不破自身は、前山田健一の判断が非常に速く、録音が次々に進んでいったことを印象深く語った。

曲を作った人の求める形を、録音現場で受け取る。
そうした経験は、ソロアルバムより前のユニット活動にもあった。
やがて自分一人の作品を作るときには、不破湊のどの面を見せたいかという判断も、より大きな意味を持つようになる。

『Persona』で、作り手と歌を詰める

2024年9月に発表した初のソロミニアルバム『Persona』では、自分の作品のために、作り手と歌い方を詰めていった。
Rayの取材では、収録に向けて事前に練習を重ね、納得できるまで準備したと振り返っている。

特にこだわったのが、Deu(PEOPLE 1)が提供した「ディストーションと抱擁」だった。
アルバムの1曲目として、作品の方向性を決める役割があったためだ。
本人から歌唱の指示を受け、アルバムの入り口を担う歌を作り上げていった。

不破湊「ディストーションと抱擁」(2024年)のMV。
映像は2025年公開。

不破湊(2024年「Cheers with you」のバーチャルステージ)
不破湊(2024年「Cheers with you」のバーチャルステージ)。
画像出典:画像掲載元

Billboard JAPANの対談で不破は、「Violet!?」の仮歌を、自分の曲としてどう歌い切るかが難しかったと話している。
この曲では、提供者のなとりと、吐息を含ませることや、リズムを跳ねさせることを詰めていった。

不破湊「Violet!?」(2024年)のMV。

自分の声を聴き、曲ごとの歌い方を考えるように

同じ『Persona』には、別の声の表情を生かした曲もある。
「エンデバー」の提供者wotakuは、公式コメントで、不破の高域を生かすことを目指し、早口やデスボイスも含む歌唱に仕上がったと説明している。
息を含む歌と、こうした強い表情を持つ歌が、一つの作品に収められた。

不破湊「エンデバー」(2024年)のMV。

2024年11月、ANYCOLOR MAGAZINEの三枝明那との対談では、以前より自分の歌声をきちんと聴き、曲ごとにどう歌うかを考えるようになったと語っている。
同時に、今も探っている最中だとも話していた。
歌い方を決める意識が育っても、試行錯誤は続いていたのだ。

この対談で不破は、普段の配信では出しにくいホストとしての姿を、音楽で表現することにやりがいを感じるとも話している。
曲によって変わる声の表情を、どんな不破湊を見せるかという意識とともに考えるようになっていた。
2022年に迷いとして語られた多面性が、作品を作る際には表現の材料にもなっている。

初のソロライブで、曲を一夜の流れにつなげる

2024年12月8日の「Cheers with you」では、そのソロ作品を軸に、一夜のステージが作られた。
4Gamerのレポートによると、幕開けを飾ったのは「ディストーションと抱擁」だった。
アルバムの最初を担った曲が、ライブでも観客を迎える曲になったのである。

一方、最後には、自身初のオリジナル曲「ラストソング」が置かれた。
新しいアルバムの歌と、それまでの歩みをつなぎ、自分の曲で一夜を締めくくる構成だった。
一曲ずつの歌い方を考えることが、複数の曲をどう届けるかというステージ作りにもつながっている。

不破湊「Cheers with you」(2024年)の公式公開ライブ映像・無料パート。

不破湊(2024年「Cheers with you」のバーチャルステージ)。
不破湊(2024年「Cheers with you」のバーチャルステージ)。
画像出典:4Gamer.net

ライブ直前の12月3日に公開された制作鼎談では、アルバム作りを通して、自分の歌をもっとよくできると感じたことも話していた。
そこで得た経験を一度きりで終わらせず、歌う時間と自分の声を聴く時間を増やし、今後も成長していきたいという思いを明かしている。
レッスンに上達の可能性を見つけた頃から、作り手と表現を詰め、自分でも声を聴き直すところへ。
不破湊の歩みには、曲の中で自分の声をどう生かすかを考え続ける姿勢が通っている。

曲ごとの声の表情は、不破湊の歌い方でも掘り下げている。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました