目黒蓮(Snow Man)の歌い方|息を感じさせる高音と、柔らかな声の表情

目黒蓮(2025年、メガネをかけたイベント写真) シンガー
目黒蓮(2025年、メガネをかけたイベント写真)

目黒蓮の歌声は、柔らかさと、高音に感じられる切なさが評されている。
具体的な歌唱評と本人の収録談から、息の表情や発音への向き合い方を見ていきたい。

Snow Man「Secret Touch」(2021年)の公式レコーディング映像。

息を感じさせる高音にも、力強さがある

「Secret Touch」の公式「Rec Ver.」では、目黒が歌い出しを担当している。
Real Soundの高橋梓は、この高音について、息を多めにすることで切なさを表しているようだと評した。
その一方で、力強さも感じられるとしている。

この評を手がかりにすると、聴きどころは、息を含むような声の質感と、歌声の力強さがどう重なるかにある。
高い音をただ弱く歌う、という捉え方では収まらない表情だ。
まずは歌い出しで、その二つがどう感じられるかに耳を向けたい。

柔らかく、甘い声質を生かす

渡辺翔太との歌唱を取り上げた2022年のReal Soundの記事では、目黒の魅力として、甘さ、柔らかさ、メロウな雰囲気が挙げられている。
先ほどの「Secret Touch」での力強さという評と合わせると、目黒の歌を捉える手がかりが増える。

柔らかな声という印象を持ちながら、高い音でどこに切なさや力強さを感じるかを聴いてみる。
声質の柔らかさと、一つのフレーズの表情の両方に注目すると、声の魅力を追いやすい。

この柔らかさをほかの声との関係で確かめやすいのが、渡辺、阿部亮平と歌う「360m」だ。
同じ記事は、よく通る渡辺の声、目黒の甘く柔らかな声、阿部の温かい歌を、それぞれの魅力として捉えている。
三人を聴き比べると、目黒の声質を一つの形容詞だけで説明するより、輪郭が見えてくる。

同じバラードの中でも、声が替わると、言葉の届き方の印象は変わる。
誰が一番大きく歌うかだけでなく、前の人のフレーズをどんな質感で受け取るかにも注目したい。
目黒の甘さは、こうした歌のつながりの中で楽しめる持ち味でもある。

喜びと切なさを、同じ声の中に置く

「ボクとキミと」について、Real Soundの高橋梓は、目黒が喜びと切なさを含む声色で、言葉をかみしめるように歌うと評している。
悲しい曲だから悲しい声、と単純に色分けできない表情が、ここでは取り上げられている。
柔らかな声が、どんな感情を運んでいるのかまで聴き進めたい一曲だ。

一つのフレーズの中でも、うれしさと離れがたさは両立する。
言葉の意味を追いながら、声の明るさや余韻を受け取ると、切なさだけでは説明しきれない歌として味わえる。
声質の魅力に、歌う内容への思いが加わるところに注目したい。

歌詞の言葉が選ばれた理由を考える

目黒の言葉への関心は、歌を聴くときの姿勢にも表れている。
MAQUIAの取材では、好きなアーティストとしてC&Kを挙げ、歌詞を眺めながら、その言葉が選ばれた理由を読み解くのが好きだと話している。
メロディーにひかれたあとで、歌詞を確かめることもあるという。

これは、音の心地よさと、言葉の意味を往復する楽しみ方だ。
歌詞を読んでからもう一度聴くと、初めは柔らかいと感じた声が、ためらいや喜びを含む声として届くこともある。
目黒の歌についても、声の印象だけで聴く回と、歌詞に沿って聴く回を分けると、違う表情を見つけやすい。

同じ取材で、パフォーマンスを語る際には、歌も気持ちを込めて聴き手へ届けるものだという考えを示している。
言葉に関心を持ち、その気持ちを届けようとする姿勢は、彼の歌を考えるうえで欠かせない。
声のきれいさを味わうだけでなく、歌詞の一言がどう届くかまで聴いてみたくなる。

Snow Man(2025年掲載の写真、目黒蓮は前列右)
Snow Man(2025年掲載の写真、目黒蓮は前列右)。
画像出典:画像掲載元

発音も、曲に合う歌い方の一部として考える

全編英語詞の「KISSIN’ MY LIPS」では、本人が発音へのこだわりを語っている。
2020年のRayの取材によると、スタッフや作詞家と、発音や歌い方について話し合いながら録音したという。

Snow Man「KISSIN’ MY LIPS」(2020年)の公式MV・YouTube版。

言葉の響きをどう作るかも、目黒が収録で取り組んだ具体的な課題だった。
英語の曲と日本語のバラードを並べると、同じ人の声でも、言葉の響きによって違う表情になることを意識できる。
声質だけでなく、曲の言葉に合う歌い方を周囲と作っている点も押さえておきたい。

「タペストリー」は、物語を思い描いて歌う

ViViの取材で目黒は、「タペストリー」を歌う際、主演映画『わたしの幸せな結婚』の世界を思い描いて気持ちを込めたと話している。
好きな部分として挙げたのはサビのリズムやテンポで、重さと勢いの両方を感じる曲だという。
情景だけでなく、音楽の動きにも目を向けていることが分かる。

同じ取材では、深澤辰哉が、全員で歌うパートを設けず、ソロをつないでいく構成を説明している。
目黒の歌い方を聴くときも、自分の声で一つの場面を描きながら、次の人へ流れを渡す役割に注目したい。
一人ずつ声が替わっても、同じ物語が続いていると感じられるかが、この曲の面白さになる。

ゆったりした感情だけを意識すると、曲が持つ前進する感覚を見落としてしまう。
反対に勢いだけを追うと、目黒が思い描いた物語への視線が薄くなる。
言葉の感情と、サビが進むテンポ感を一緒に受け取ると、この歌を立体的に楽しめる。

「朝の時間」で、聴き手の日常に声を届ける

ソロ曲「朝の時間」について、目黒はFINEBOYSで、自分の言葉も歌詞に入っていると話している。
仕事や学校へ向かいたくない朝に、少し背中を押せる歌にしたかったという。
励ましを大きく掲げるより、聴く人の身近な時間に置く発想が、制作意図にはある。

Real Soundの同曲評も、声がまっすぐ届くメロディーとテンポを挙げている。
ここで聴きたいのは、難しい音を歌う瞬間だけではなく、言葉が一つずつ相手へ届く流れだ。
柔らかい声を持つ歌い手が、どのくらい近くに感じられるかという視点で、このソロを聴いてみたい。

2025年4月19日の国立競技場公演では、目黒はトロッコでアリーナを移動しながらこの曲を歌った。
Billboard JAPANの公演レポートは、その歌唱を、まっすぐな気持ちを語りかけるようだったと伝えている。
大きな会場でも、歌の中では一人ひとりに話しかけるような距離を作っていたと受け取れる。

「360m」ではほかの声との組み合わせ、「タペストリー」では物語を歌い継ぐ流れ、「朝の時間」では一人で届ける言葉が聴きどころになる。
目黒の柔らかな声は、どの曲でも同じ表情をするためのものではない。
歌詞と相手、曲のテンポが変わる中で、その声がどんな気持ちを運ぶかを追ってみたい。
作品ごとの歌唱とソロへの歩みは、目黒蓮(Snow Man)の歌唱変遷でたどっている。

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