シューヤ(超特急)の歌唱変遷|得意なかっこよさから、二人で広げる歌へ

2025年の取材掲載のシューヤ(撮影:藤岡雅樹) シューヤ(超特急)
2025年の取材掲載のシューヤ(撮影:藤岡雅樹)

シューヤは、超特急に入ってから初めて歌を学んだ人ではありません。
加入前から歌とダンスの経験があり、高音も強みでした。
それでも、超特急の曲を前に、どう歌えばよいか分からなくなったと振り返っています。
経験のある歌手が、新しいグループで何を学び直したのでしょうか。

その変化は、得意な歌をさらに強くすることと、初めは距離を感じていた歌へ入っていくことの両方にありました。
タカシとの出会いから、録音での対話、二人だけの公演へ。
具体的な曲と本人の言葉を手掛かりに、シューヤの表現が広がった過程をたどります。

「宇宙ドライブ」— ZERO G ver. MV(2022年)

もう一度グループで歌うことを選んだ2022年

シューヤが本格的に歌を習い始めたのは、大学1年生ごろだといいます。
以前にもダンス&ボーカルの活動を経験しており、超特急の加入時にも、ハイトーンを自分の特技として挙げていました。
新メンバーではあっても、歌手としては積み重ねを持っての出発でした。

一方、かつて所属したグループの活動休止後は、もうダンス&ボーカルをやることはないと思っていたそうです。
気持ちが動いたのは、テレビでタカシの話を聞いたときでした。
自分と重なる部分を感じ、その隣で歌って支えたいと思ったことが、オーディションを受けるきっかけになりました。
歌いたいという思いを、誰と、どんな場所で形にするか。
その答えが、超特急だったのです。

応募時に送った音源の一つは、自宅で録音したBTSの「Film out」でした。
本人によれば、コーラスの声も重ねて作ったものだったといいます。
好きな曲を歌うだけでなく、声を重ねて一つの音源に仕上げた経験を、自分を知ってもらう材料にしたわけです。
この曲は、後にもメンバーとオーディションを振り返るときの話題になっています。

2022年の加入直後の取材に登場したシューヤ(撮影:菅野幸恵)
2022年の加入直後の取材に登場したシューヤ(撮影:菅野幸恵)。
画像出典:画像掲載元

「宇宙ドライブ」で戸惑った、歌の世界への入り方

2022年8月に加入し、同年10月には9人体制初のシングル「宇宙ドライブ」を発表しました。
格好いいトラックにコミカルな言葉が乗るこの曲で、シューヤは歌詞の世界をどう受け止めるか迷ったといいます。
タカシと方向性を話し合うことで、歌へ入り込みやすくなりました。
難しかったのは音の高さだけでなく、その言葉をどんな気持ちで出すかという部分です。

初めてのアリーナツアーへ向けては、過去の曲も研究し、二人の歌へ作り直しています。
シューヤは、20曲以上を録音し、新しいコーラスやハーモニーを加え、キーを変えた曲もあったと説明しました。
タカシが加入間もない自分の意見も大切にしてくれたこと、二人で曲を考える時間が楽しかったことも振り返っています。
過去の歌を受け継ぐことと、いまの二人に合う形を探すことは、加入した年から並行していたのです。

翌2023年にも、本人はタカシの表現の多さに刺激を受けたことを語っています。
それまでの自分は、思い切って表現するときにも向かう方向が限られていた。
だからこそ、いろいろな曲を歌えるようになることを意識したのです。
得意な表情を強調するだけでは、曲の面白さをすべて届けられない。
新しい相方の歌を間近で知ることが、自分の表現を見直す機会になりました。

歌うだけでなく、曲の印象を一緒に作る

2023年のアルバム『B9』では、歌の制作にも意見を出しています。
「MORA MORA」のサビについては、意味が分からなくても耳に残る言葉を繰り返したいと提案しました。
過去曲の歌い直しに加え、新しい曲でどんな印象を残すかについても、意見を交わしていたのです。

その姿勢がよく表れたのが、翌2024年の「Steal a Kiss」です。
サビ前のせりふについて、シューヤはタカシとニュアンスを相談しました。
長さや刺激の強さを見直し、聴き手に引っ掛かる言葉を探したのです。
さらに、当初はボーカルが担当する予定だったせりふを、ライブやMVでの見え方を考えてダンサーへ渡しました。
自分が歌う箇所の出来だけでなく、誰の声をどこへ置けば曲が生きるかまで、二人で考えるようになっています。

「Steal a Kiss」— MV(2024年)

2024年、距離を感じていた曲を誇れるようになる

シューヤは2024年、加入前には「バッタマン」や「超えてアバンチュール」のような曲に距離を置いていたことも明かしています。
かっこよく決める表現に親しんできた自分には、初めは歌いづらかったといいます。
けれど、タカシやメンバーと活動する中で、受け止め方が変わりました。
本気で伝え、その表現に誇りを持つこと自体がかっこいい。
そう考えるようになったのです。

これは、ふざけた歌い方に慣れた、というだけの話ではないでしょう。
一見すると奇抜な曲でも、歌い手が本気で届ければ客席を動かせる。
超特急が重ねてきた表現を、自分の外にある作法から、自分も担う強みへと受け入れた変化です。

「超えてアバンチュール」— Re-ver.(2023年)

同年には、タカシとの「せぶいれのうた」も始まりました。
2月28日の大宮公演では、2020年の「Asayake」を二人のボーカルで披露。
また、「Re-TRAIN」も、この公演のためのアレンジで歌っています。
以前の曲を現在の二人の声で届ける場ができたことで、グループの歩みと自分の歌が、さらに結び付いていきました。

2024年2月の「せぶいれのうた」で歌うシューヤとタカシ(撮影:鈴木友莉)
2024年2月の「せぶいれのうた」で歌うシューヤとタカシ(撮影:鈴木友莉)。
画像出典:画像掲載元

一人で担ったステージで、相方の声を思い浮かべる

2025年1月の「Joker」横浜アリーナ公演では、タカシの欠席により、シューヤが一人でボーカルを担いました。
それまで隣の声に支えられながら作ってきた歌を、今度は自分が支える立場になります。
冒頭からがなりやシャウトを交えて歌い、客席へ声を求めました。

本人は、最初はできると思っていたものの、本番直前には不安になったと話しました。
翌日の公演で手掛かりになったのは、いつも隣で聴いていたタカシの声です。
その声を思い浮かべながら歌うと、気持ちよく歌えたと振り返っています。
相手の歌をよく知っていることが、実際に隣にいない場面でも、自分の歌を支えたのです。

高音の強みと、二人で決める表現が育っていく

2025年秋、シューヤは、加入当初に慣れなかった曲も、タカシと録音や歌唱を重ねて表現をつかめるようになったと説明しています。
得意な激しい曲についても、ボイストレーナーの指導を受け、さらに力を出せるようになったと感じていました。
苦手だった方向を覚えると同時に、もともとの強みも育ててきたのです。

さらに、高いパートを歌う機会が多く、歌ううちに声が高くなってきたという実感も語りました。
本人はこれを、レッスンの成果とは分けて話しています。
高音を任される経験の蓄積として捉えている点が、この時期の自己認識をよく示しています。

同年の「スピカ」では、録音当日に歌う箇所の分担を見直しました。
終わりを一人で歌う案もあったものの、試してみると二人のハーモニーのほうが余韻を残せたといいます。
二人だから必ず重ねる、という固定した方法ではなく、実際に歌って、曲に合うほうを選ぶ。
その判断を一緒にできる関係が、表現をさらに細かくしています。

2026年8月の「ESCORT」公演でも、バラードの「スピカ」と、客席の大きなコールに応える「ガチ夢中!」が同じステージに並びました。
二人で重ねる歌と、勢いよく放つ高音の両方を届けています。
加入前から持つ力強さは、いまでは幅広い曲の中で使える表現の一つになっています。

隣の声を知ることで、自分の声も広がる

シューヤの歩みを追うと、自分の得意な歌を守りながら、新しい曲の面白さを引き受けてきたことが分かります。
タカシの表現に驚き、録音で意見を交わし、二人の声の置き方を試す。
そうした具体的なやり取りが、歌える曲と、曲の中で選べる表情を増やしてきました。

声の高さだけでなく、相手の声を知り、曲に合う歌を一緒に作れるようになること。
そこにも、シューヤの歌唱の変化があります。
高音、がなり、ファルセット、ユニゾンの使い分けは、シューヤ(超特急)の歌い方で詳しく扱います。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました