ジェジュンの歌い方|重いロックの声と、言葉を語る柔らかな声の使い分け

2019年の取材に登場したジェジュン シンガー
2019年の取材に登場したジェジュン

ジェジュンの歌い方には、曲に合わせて声の質感を選ぶ面白さがあります。
ロックで求める重さ、カバーで大切にする美しさ、共演者と重ねるときの柔らかさ。
それぞれを同じ強さで押し通さず、何を伝える歌なのかによって変えていきます。
制作時の本人の説明と、具体的な作品から、その選択を見ていきましょう。

重い声と、澄んだ声を一曲の中で使い分ける

初ソロ作の「One Kiss」と「MINE」は、ロックの声を考えるうえで重要です。
前者では重い声を求められ、後者では美しい声とかすれた声を行き来する自由がありました。
ジェジュンは「MINE」を、曲全体の流れを生かすように録音したと説明しています。
ロックだから一律に声を荒らすのではなく、同じ曲の中にも質感の差を持たせていたのです。

その声が向かう相手にも注目したいところです。
2013年のソロ公演について本人は、バンドとその場でやり取りできる面白さを語っています。
録音した声を再現するだけではなく、演奏する人たちと呼吸を合わせて歌う。
グループ内の声の釣り合いを考える場合とは違う関係が、ソロの声を支えていました。
強い声の印象も、歌手だけを切り離すより、共に音を出す相手との関係から見ると立体的になります。

「BREAKING DAWN」で選んだ、高さと迫力

「BREAKING DAWN」では、声の高さを選ぶことが、曲の迫力に関わりました。
ジェジュンは、録音エンジニアからキーを上げる提案を受け、難しさは増したものの、完成後には上げてよかったと思ったと話しています。
高く歌えることを示すためだけではなく、その曲に合う勢いを求めた選択です。
出しやすさと、聴かせたい表情が一致しないときに、後者へ踏み込んだ例といえます。

この曲を作ったHYDEは、ジェジュンのためにアレンジを整え、彼が歌って格好よくなる状態を目指したといいます。
その一方、完成した歌を自分に似ているとも評しました。
憧れの歌手の声を受け止めることと、自分の声で作品を成立させることが重なった録音です。
声の個性は、影響をすべて消すことで生まれるとは限りません。
好きな歌い手から受け取った表情も、その曲を歌うための選択肢になります。

「化粧」は、メロディーの中で言葉を話す

2019年の取材写真に写るジェジュン
2019年の取材写真に写るジェジュン。
画像出典:画像掲載元

中島みゆきの「化粧」を歌うとき、ジェジュンは、歌詞のメッセージを話すように表現すると説明しています。
きれいに歌い切ることに意識を集めるより、その言葉を言わずにいられない気持ちへ近づく。
胸や足をたたく動きも、そこで生じる感情とつながっていました。
語るように歌うというのは、単に音量を下げることではありません。
言葉に込める切実さを、声と身体で届ける考え方なのです。

カバー全般では、歌詞が男性の気持ちなのか、女性の気持ちなのかも深く考えるといいます。
原曲のイメージを大切にするとは、声色を似せるだけのことではなく、歌の人物がどこから言葉を発しているのかを理解することでもあります。
自分のオリジナル曲よりプレッシャーがあるという言葉からも、他人の歌を自分の声へ移す慎重さがうかがえます。

美しい声を求める歌にも、感情の揺れがある

『Love Covers Ⅱ』の女性歌手の曲では、美しい声で歌うことに集中したと話しています。
「for you…」や「セカンド・ラブ」を、ロック曲と同じ荒い声で押し通そうとしたわけではありません。
原曲の歌唱や言葉を研究した準備があるからこそ、録音時の感情にも入り込めたのでしょう。
声を美しく整えることと、感情を抑え込むことは別です。
曲の中の人物へ近づいた結果、予定どおりには収まらない気持ちも生まれます。

2018年の「Sign」「Your Love」の制作では、昔からのファンが親しんだ声を意識していました。
新しさを見せるために、常に別の声を探すわけではありません。
聴く人の記憶につながる声を保つことも、表現の選択になります。
柔らかな歌唱も、聴き手と時間を分かち合う役割を担っています。

「六等星」と「One Heart」、相手に合わせて変わる声

ジュンスと歌った「六等星」では、二人とも力を抜いて、柔らかい声で録音したといいます。
一方、中島美嘉との「One Heart」は、相手に合わせたキーが高く、ジェジュン自身も苦労した曲でした。
ジェジュンによれば、中島も彼の声に寄り添い、ソフトに歌ってくれたといいます。
共演は、それぞれが持つ一番強い声を並べるだけでは完成しません。
相手がいるからこそ、どんな高さで、どんな柔らかさを持たせるかという判断が生まれるのです。

バラードにも、軽い高音と強い声がある

2023年11月の横浜公演を評した文章では、「たしかなこと」の高音のファルセットに対し、「木蘭の涙」にはマイクを離しても伝わる力強さが記されています。
ファルセットは、ここでは裏声を用いた高音のことです。
同じカバー公演でも、高い音を軽く響かせる場面と、言葉の重さを強く押し出す場面がある。
バラードという一つの分類だけで、声の使い方を決めつけられないことがわかります。

『Love Covers Ⅲ』の「木蘭の涙」は、レコーディングの様子を用いた映像も公開されています。
一方、アルバムの「GLAMOROUS SKY」は、ライブで歌ってきた曲を初めてスタジオ録音にしたものです。
同じタイトルでも、舞台と録音作品では成立の条件が違います。
ライブの一場面で示した力強さを、その曲のすべての版に当てはめず、どの歌唱についての話かを分けて捉えると、声の選択が見えやすくなります。

「Last VoW」は、計算を抑えて歌う

2025年6月の幕張公演に登場したジェジュン
2025年6月の幕張公演に登場したジェジュン。
画像出典:画像掲載元

2025年の「Last VoW」では、組み立てた発声や計算した声を使うより、本能的に歌ったと説明しました。
本人が好んだのは、古典的で、生々しさが残る曲の感触です。
音をいつも同じ形に整えることより、その場で出る勢いを作品へ残す。
これは、どの曲でも荒く歌うという方針とは違い、この曲のために選んだ仕上げ方です。
声の滑らかさだけを完成度の基準にすると、この選択の面白さは見落としてしまいます。

同年の幕張公演では、「Last VoW」のシャウトに続くロック中心の流れの中でも、「Kiss B」にはやさしく語る声が置かれていました。
一つの公演で強さを保つことと、全曲を同じ声で歌うことは別なのです。
荒い質感があるから柔らかい声が際立ち、静かな歌があるから次の強さを受け止められる。
曲ごとの声の違いは、公演全体の流れを作る働きも持っています。

「One Kiss」のために重さを探し、「化粧」では言葉を話す感覚へ近づき、「Last VoW」では整え過ぎない声を選ぶ。
ジェジュンは、強い声を一つの完成形に固定せず、美しい声も語る声も、作品の中で働かせています。
こうした表現を増やしてきた経緯は、ジェジュンの歌唱変遷でたどっています。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました