キュヒョンの歌い方|感情を届けるために、声の使い方を変える

2021年掲載の「ウェルテル」インタビューでのキュヒョン キュヒョン
2021年掲載の「ウェルテル」インタビューでのキュヒョン

キュヒョンの歌い方には、感情に深く入ることと、歌を最後まで届けるために自分を保つことが同居しています。
悲しみを感じるほど声を強くすればよい、というわけではありません。
息や発音を整えることも、曲によって舞台のような歌唱を選ぶことも、物語を声で届けるための仕事です。

柔らかなバラードを歌うキュヒョンが、なぜミュージカルでは歌い方を学び直し、ソロの録音ではまた違う表現を選ぶのか。
本人が話した練習と、具体的な曲の制作から見ていきます。

明るい話し手から、歌の人物へ切り替える

普段の愉快な性格から、歌う瞬間には集中して曲へ入る。
キュヒョンは、自分の歌手としての姿をそう説明しています。
ロックも歌える一方、その動きには自信がないと話したこともあり、歌えることと舞台でどう振る舞うかを分けて捉えていました。
声の表現は、普段の人柄や見た目の印象だけでは決まりません。

感情があふれても、歌うことは止めない

キュヒョンは、歌詞の物語や感情を伝えることを、技巧の美しさ以上に大切にしています。
「Because I Miss You」を歌うときには、こみ上げるものを感じながら、歌えなくならないよう涙をこらえると話しました。
気持ちを動かすことと、声を届け続けることを、同時に行っているのです。

日本語の「Beautiful」では、歌っている自分まで幸福を感じるといいます。
日本語の仮歌を聴いて、その言葉で歌う方が曲に合うと考え、日本のシングルに収めた曲でした。
悲しみを伝える声だけに自分を限定せず、言葉が旋律になじむ感覚にも、歌いやすさを見いだしています。

「Beautiful」――2016年「Knick Knack」公演。

舞台の歌を、一つの発声の型に決めない

初めて「三銃士」に出演した頃、キュヒョンは、舞台でもポップスのように歌っていると指摘されました。
ミュージカルの歌い方とは何かを先輩たちに尋ねると、決まった型があるわけではなく、ダルタニャンを声楽家のように歌う必要もないと教わります。
その言葉に励まされたと、本人は話しています。

舞台に出るために、声を一律に重く、立派に作り替える必要はない。
その人物に合う歌を探すところから始められる。
こうして背中を押されながら、ユ・ジュンサンには発音の助言も受けていました。
自分の声を生かすことと、伝わるように直すことが、同じ稽古の中にあったのです。

「笑う男」で学び直した発声・発音・呼吸

2020年の「笑う男」では、オク・ジュヒョンから発声の使い方、ナンバーの発音、細かな呼吸について指導を受けました。
自分の公演映像を送り、助言をもらうこともしています。
音程だけでなく、どう息を使い、ことばを声にするかまでが見直しの対象でした。

キュヒョンが難しいと感じたのは、曲そのもの以上に感情の表現でした。
気持ちを強めるだけでなく、声を出す技術からも取り組む。
発声と演技を結びつけて学んでいます。

「Nights Without You」は、舞台のように歌う選択

「COLORS」収録の「Nights Without You」を、キュヒョンは当初、ポップスの感覚で歌っていました。
ところが、録音を見ていたユ・ヒヨルは、ミュージカルナンバーのように歌うことを勧めます。
舞台でのキュヒョンを見ていたからこその提案でした。
本人も、勧めに従ってよかったと振り返っています。

普段のソロ曲に合うと思っていた歌い方を見直し、舞台の表現を録音へ持ち込む。
同じ声でも、どの歌い方を選ぶかは作品ごとに決められているのです。

「COLORS」の制作に関わったキュヒョン(左)とユ・ヒヨル(右)(2024年掲載)
「COLORS」の制作に関わったキュヒョン(左)とユ・ヒヨル(右)(2024年掲載)。
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大きく歌う前に、静かな始まりを作る

「The Classic」の表題曲「Like Our First Snow」は、淡々とした始まりから感情を高めていく構成です。
初めから最大の悲しみを見せるのではなく、歌が進む時間の中で、その重さが増していく。
声の盛り上がりを、曲の物語に合わせて置く一例です。

同じアルバムの「Nap」には、心の中でつぶやくような静けさがあります。
大きく展開する曲と、胸の内に留める曲。
バラードという一つの呼び名の中にも、感情を置く距離の違いがあります。

一人の声を聴かせる歌と、三人で重ねる歌

K.R.Y.の「Home」について、キュヒョンは三人のハーモニーとストリングスによって、声を合わせた魅力が出る曲だと説明しています。
自分一人の歌唱を完成させるソロとは、声を置く相手が変わります。
誰かの声が重なることまで含めて、曲の表情が作られるのです。

イェソンは三人の声を季節や色にたとえ、キュヒョンの声には秋のような茶色を重ねていました。
これは声区の分類ではなく、一緒に歌う仲間による音色の捉え方です。
同じ音程を正しく歌える三人、という見方にとどまらず、それぞれ違う声が合わさるところにユニットの面白さがあります。

歌詞の人物を、自分の気分と分けて考える

「太陽を抱く月」で苦悩する王を演じたとき、キュヒョンは自分が明るい気分の日にも、その人物の沈んだ心を表す必要がありました。
そこで、自分にも起こり得る大きな試練を思い浮かべていたといいます。
感情を歌うために、その日の自分の気分から役の事情へと視点を移していたのです。

歌手自身の気分とは違う心を、声の中に置く。
ミュージカルでの歌を考えるときには、この役づくりも欠かせません。

キュヒョンの歌を聴くときには、感情が強くなる場面だけでなく、その前にどんな声が置かれているかも手がかりになります。
息と言葉を整える練習があり、泣きそうになる気持ちを保つ瞬間があり、ときには舞台の歌い方を選ぶ録音もある。
感情に任せきらず、感情を届けるために声を扱う。
そこに、バラードとミュージカルの両方で歌うキュヒョンのつながりが見えてきます。

グループ、ソロ、舞台を行き来しながら何が変わってきたのかは、キュヒョンの歌唱変遷でたどっています。

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