ジュンスの歌い方を知るには、強い声を出す場面と、声の細部を近くに届ける場面の両方を見る必要があります。
本人が「A Low Constellation」で聴きどころに挙げたのは、呼吸や息づかい、声の倍音でした。
迫力だけに目を向けず、言葉や共演する相手に応じて、声をどう選んでいるのか。
具体的な録音や舞台での言葉から、その歌い分けをたどります。
ハスキーな声を、一つの歌い方へ固定しない
ジュンスの声を特徴づける要素として、よく語られるのがハスキーな質感です。
評論家のパク・ビョンソンは、その声が非現実的な人物を演じる際の神秘性につながると評しています。
ただ、声が役に合うという評価と、どの作品でも同じ強さで歌うということは別です。
声の質感を保ちながら、作品に応じて何を前面に出すかが変わります。
本人も、ポップスとミュージカルの間に一つの正しい境界を置いてはいません。
2013年には、舞台ではポップス風、ポップスでは舞台風と言われることに触れつつ、その曲に合うと感じた歌い方を選んだと説明しています。
考えすぎず、歌う瞬間の感覚を大切にする姿勢です。

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息づかいまで届ける、声を近く感じさせる歌
「A Low Constellation」は、声の細部に注目する入口になります。
本人が説明した編成は、ピアノとボーカルだけ。
伴奏が少ない分、呼吸や息づかい、声に重なる響きも聴きどころとして挙げています。
細部をすべて消して滑らかにするのではなく、歌う人の気配ごと届けようとする曲です。
本人が細部に耳を向けてほしいと話すことからも、この曲では小さな響きまで表現を担っていることが分かります。
2013年の「11時 その程よさ」のライブ映像にも、声を近く感じさせるための明確な制作意図がありました。
制作側は孤独な感情と歌声の色を伝えるため、現場の音を残して一続きに収録しています。
鳥や風の音まで含めた空間で、穏やかで切ない声を届ける考え方でした。
細かく編集した録音と同じ条件ではありませんが、声の強さを誇示する以外の魅力を知る具体例です。
発音を整えることと、感情を残すこと
英語曲「Uncommitted」では、言葉の音そのものにも取り組んでいます。
制作に携わったEbony Cunninghamが、英語の母音や発音を指導したと、Automaticは振り返っています。
ジュンスはすぐに音を捉えたという評価でした。
感情のままに歌うという本人の考えは、発音を曖昧なままにしてよいという意味ではありません。
言葉を身につける準備があり、そのうえで歌の感覚に集中するのです。
日本語で歌う場面にも、声と言葉を一緒に届ける実例があります。
2022年の東京公演では、オリジナル日本語曲「悲しみのゆくえ」の声と弦楽器の伴奏が溶け合うような響きが公演評で取り上げられました。
続いて中島美嘉の「僕が死のうと思ったのは」も歌っています。
同じ日本語の歌でも、自分の曲と他の歌手の曲を続けて扱うことで、言葉を運ぶ表現の幅を示す場になっていました。
伴奏との調和を楽しむ曲から、言葉の切実さに向き合うカバーへ。
歌声を一つの印象に閉じ込めない組み合わせです。
共演では、声を押し出すより重ね方を選ぶ
2016年の「Sweet Melody」は、歌手Benとのデュエットです。
ジュンス自身が、この曲のよさとして二人の声のバランスを挙げています。
好きな曲を一曲選ぶ質問でも、強いステージを作る「Rock the World」とともに、この曲を選びました。
ダンスで見せる力と、相手との声の釣り合いを楽しむ歌を、同じアルバムの大切な側面として捉えていたのです。
「六等星」では、その重ね方がさらに具体的に語られています。
ジェジュンによると、ジュンスと久しぶりに録音した際、二人は力を抜き、とても柔らかな声で歌ったそうです。
長く共に歌ってきた感覚が、声を重ねた瞬間に戻ってきたとも話しています。
高い音や大きな声で相手を上回ることより、同じ曲の中で一緒に響くことを選んだ録音でした。
バラードも、すべてを重く歌うわけではない
2015年のミニアルバム「必ず昨日」には、歌の表情を一つに決めない面白さがあります。
表題曲のほか、簡潔な編曲と淡泊な声を組み合わせた「ウサギとカメ」、ラッパーの声とエレクトロのビートを生かす「OeO」も収録されています。
声の感情を濃くすることだけで、アルバム全体を塗りつぶしてはいません。
伴奏や共演者の違いに合わせて、声が担う役割も変えています。
表題曲「必ず昨日」のMV公開時には、淡々と歌うジュンスの姿が取り上げられました。
映像には大きな出来事が描かれていても、歌手が同じ大きさで感情を押し出す必要はない。
静かな声の置き方によって、聴き手が歌へ入れる余地も生まれます。
迫力ある歌の印象が強い人ほど、この曲では抑えた表現にも注目すると、声の見え方が変わるでしょう。
2023年の横浜公演では、「空と君とのあいだに」と「奏」をアコースティック版で歌い、「PROUD」も披露しました。
公演評では、日本語の意味を理解して感情を込める歌唱が取り上げられています。
曲を増やすだけでなく、言葉を理解し、その場の観客へ届けること。
日本語曲の選択も、歌詞の内容と声の表情を切り離さない姿勢につながっています。

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舞台では、よい声より人物の声が先に来ることも
「ドラキュラ」では、台詞の強弱やトーンを共演者に応じて変える余地があると、本人は説明しています。
これは歌唱法を一つ決めて固定するのとは違う、舞台ならではの声の扱いです。
相手が渡してきた感情に返事をすることで、同じ台本にもその日の表情が生まれます。
歌と台詞がある作品では、声は人物同士のやり取りを進めるものでもあります。
2026年の「ビートルジュース」については、従来のように美しく感動的に歌うことより、人物を面白く、勢いを保って演じることに集中すると語りました。
速い台詞を扱い、観客にその人物として納得してもらう。
ジュンスの声の選択は、美声を聴かせることがいつも最優先とは限らないところまで広がっています。
2026年2月12日「M COUNTDOWN」での特別ステージ。
こうした違いを、本人は歌手と俳優の分断とは捉えていません。
2025年には、舞台で学んだ感情表現が歌に深みを与え、歌手の経験も舞台へ還ってくると説明しています。
曲だけで声を完結させず、人物や相手との関係から表現を探す経験が、ポップスの歌にもつながっているのです。
ジュンスの歌い方には、ハスキーな声を生かす強さと、息づかいを近くに届ける細やかさ、相手へ寄り添う柔らかさがあります。
それらを一つの発声用語でまとめるより、曲の伴奏、言葉、共演する声との関係で捉えると、選択の意味が見えてきます。
その選択が育ってきた経緯は、ジュンスの歌唱変遷の記事でたどっています。

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