チャンミンの高音には、曲の景色を一気に変える華やかさがあります。
けれど、その印象から歌手としての歩みを振り返ると、途中の大切な変化が見えにくくなります。
得意な部分を任される歌い手から、一曲のさまざまな表情を引き受ける歌い手へ。
その過程には、音域を広げる努力だけでなく、うまく歌おうとする意識をどうほどくか、どんな曲なら今の自分を伝えられるか、という課題もありました。
二人で歌い切るために、得意な音域の外へ
東方神起の五人体制時代は、それぞれの音域に合ったパートを分けて歌っていました。
チャンミンが中心に担当したのは、本人が叫ぶような部分と表現するパートです。
ところが二人体制では、得意な場面だけを引き受けるわけにはいきません。
2012年の『Catch Me』の活動を振り返った際、彼は歌える音域を広げる必要に迫られ、努力を重ねたと説明しています。
二人で曲の始めから終わりまで自然につなげられるようになった、という2013年の言葉には、担当の変化が表れています。
やがて、その広がりは曲への入り方にも現れます。
2014年の『WITH』では、ユンホが「DIRT」の終盤のフレージングや「Special One」の歌い方に、以前のチャンミンにはなかったアプローチを見つけていました。
声を高く伸ばす場面に加え、言葉をリズムに乗せる部分にも新しさが生まれていたのです。

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2015年の「サクラミチ」では、チャンミン自身が録音の順調さを語っています。
春の景色を思い浮かべ、歌の感情に自然に入れた曲でした。
同じ時期、ユンホも、以前の彼には歌うことへ集中しすぎる面があったが、今は感情を込めるのがうまくなったと話しています。
歌い切るための努力が、表情の自由へ結びついていく。
隣で歌ってきた相手も、その変化を感じていました。
日本でのソロ作と、歌い直した過去の曲
2015年11月の『Close To You』は、ファンクラブ会員に向けて発売された日本のソロミニアルバムでした。
リード曲「Into The Water」はピアノを軸にしたバラードで、力と切なさを持つ声が主役になります。
「Rock with U」や「Gold Dust」も並ぶ七曲の中で、一人の歌手として異なる曲を背負う姿が形になりました。
後の韓国ソロ活動を考える際にも、この日本での作品を抜きにすると、歩みが途中から始まってしまいます。
2017年、東方神起として活動を再開したときの『FINE COLLECTION~Begin Again~』には、過去の曲を録り直した音源も入りました。
チャンミンは、ダンス曲と同じようにラブソングやバラードにも自信があると話し、再録には成長した二人の声を届ける意味を見いだしていました。
ここで大切なのは、懐かしい曲を並べるだけで終わらせなかったことです。
待っていた人に、今の声で歌を返す。
過去のレパートリーが、現在の歌手としての自信を示す場所にもなったのです。
「Chocolate」で、自分の声を一曲の中に並べる
2020年4月、韓国でのソロミニアルバム『Chocolate』が発売されます。
チャンミンがこの時期にソロへ向かった背景には、制作を楽しめる心の余裕がありました。
どう見せれば格好よくなるかと焦るより、自分のできることや好きなものを、そのまま表現したい。
本人が語ったのは、経験を積んだことでようやく持てた、そんな姿勢です。
音域の広さを証明するだけでなく、その声を持つ自分自身を見せる作品になっていました。
タイトル曲「Chocolate」は、その意図がつかみやすい曲です。
劇的な冒頭、抑揚を絞ったラップ、高音が続く場面と、一人の声が曲の中で役柄を変えていきます。
異なる声が一曲を動かすところに、ソロの面白さがあります。
日本では2021年12月に『Human』を発表しました。
2015年のファンクラブ限定作品に続き、今度は一般流通のソロ作品として届けられたアルバムです。
新しい日本オリジナル曲に加え、「Put Your Records On」のカバーや、形態によって異なる追加曲も収録。
「Chocolate」の日本語版を収めた盤と「Gold Dust」の英語版を収めた盤もあり、日本と韓国のソロ活動が、別々の履歴ではなく一人のレパートリーとしてつながっていきます。
「Devil」で加わった、重さと緊張感
2022年1月の『Devil』では、約一年をかけた制作の中で、声の表現をさらに練り上げました。
タイトル曲はアレックス・ルーノの楽曲をもとにした作品です。
チャンミンはユ・ヨンジンの細かなディレクションを受け、原曲とは違う壮大さを目指したと説明しています。
自ら手がけた歌詞も、悪の姿そのものを描くところから、苦しい現実の中でそれを乗り越えようとする内容へ変わりました。
歌詞の立場と、声のドラマが結びついています。
この曲は、重いアカペラのコーラスや低音のリフを背景に、声を大きく展開していくスローなR&Bです。
「Chocolate」の次々に表情を変える楽しさに対し、「Devil」では緊張を保ちながら感情を膨らませる構成が前へ出ました。
同じ高音でも、軽快な曲の中で鮮やかに飛び出すときと、重い伴奏を背負って広がるときでは、聴き手に届く意味が変わります。
ソロ二作目は、その違いを確かめられる作品です。
2023年の「HYBRID」では、Guckkastenのハ・ヒョヌと共演しています。
二人が歌詞を手がけ、バンドと弦楽器が重なる大きなロックの中で声を合わせた曲です。
ソロで自分の幅を見せるだけでなく、別の強い個性と歌を作る場にも進んでいく。
歌詞に掲げた変化や新たな可能性が、共演という作品の形にも表れています。
長く歌うために、声で伝えることへ
2025年の日本初ソロツアー『The First Dining』は、積み重なった曲をバンドと一緒に届ける場になりました。
本人が掲げたのは、一曲ずつコース料理のように味わってもらうという考え方です。
「Into The Water」から「Chocolate」、カバー曲までを並べ、静かに聴く時間と客席が加わる時間を作る。
一つの得意技を繰り返すより、異なる歌を順番に届けて一晩を満たす姿に、ソロ歌手としての広がりが見えます。

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2026年10月の『All Of My Life』では、さらに制作全体へ深く関わりました。
タイトル曲は、以前のソロ表題曲とは違い、ダンスを伴うパフォーマンスではなく歌唱で表現すると本人が説明しています。
ボーカルトレーニングも続けながら、強いエネルギーに加え、聴く人へきちんと伝わる歌を目指した作品です。
歌えることが増えた後にも、何をどう伝えるかという課題は残っていたのです。
タイトル候補には「The Low」もありました。
それでも「All Of My Life」を選んだのは、繰り返し聴くほど温かさを感じ、三十代の終わりにいる自分からファンへ送る言葉にふさわしいと思ったからでした。
作品の顔を決める基準が、今の自分と相手との距離に置かれている。
その選択から、長い経験の先で何を大切にしているかが伝わってきます。
チャンミンが今、自分の強みとして挙げるのは、華やかな瞬間よりも日々の積み重ねです。
目の前の仕事へ誠実に取り組んだ小さな努力が、現在につながったと捉えています。
高音を任されていた歌手は、音域を広げ、感情を込め、作品全体の伝え方まで選ぶ歌手になりました。
声の成長を、その時々の課題に向き合った結果としてたどれるところに、この歩みの豊かさがあります。
曲によって変わる声の使い方は、チャンミン(東方神起)の歌い方で詳しく取り上げています。

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