ヘチャンの歩みをたどると、特徴的な声を持つことと、その声を使いこなすことの違いが見えてきます。
NCT 127とNCT DREAMで異なる曲調を担い、やがてソロアルバム「TASTE」で、自分の好むR&Bを一枚の流れにしました。
変わったのは活動の肩書きだけではありません。
録音で声色を選ぶ力、曲に応じて表情を変える経験、作品全体に自分の意思を通す範囲が広がっています。
二つのグループで、自分らしい歌を探す
2016年、ヘチャンはNCT 127とNCT DREAMの両方で活動を始めます。
少年らしい明るさを打ち出したDREAMと、異なるコンセプトを持つ127。
同じ声でも、置かれる曲の世界は一つではありませんでした。
2020年に本人が語ったのは、グループのイメージだけに自分を当てはめるのではなく、それぞれの曲を自分なりの形で表現する姿勢です。
二つを掛け持ちすることは、声を別人のように変えるより、持ち味を違う音楽に生かす経験になっていたと考えられます。
憧れの対象にも、歌と踊りを一緒に表現する人がいます。
2019年にはSHINeeのテミンを挙げ、声とダンスの両方への敬意を示していました。
また、韓国の曲だけでなく、海外や日本のチャートも聴くと話しています。
早い時期から一つの曲調に閉じずに音楽へ触れていたことは、後のソロ作品を考えるうえでも大切な背景です。
ただし、憧れた相手の発声をそのまま採り入れたとまでは言えません。

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2020年、声の個性を録音で使いこなす
初期との違いを具体的に語っているのが、作曲家・プロデューサーのDEEZです。
2020年の時点で、以前より音程や音色の扱いが確かになり、どの部分にどの声を使うかを理解するようになったと説明しています。
指示への対応も柔軟で、準備して録音に臨み、よいテイクへ早く到達できる歌手になっていました。
ここにあるのは、声そのものの交換ではなく、同じ声を狙った形で出せるようになる変化です。
「Dreams Come True」のブリッジのコーラス録音にも、その成長が表れています。
手本のハーモニーを素早くつかみ、制作側と新しいラインも作っていったといいます。
主旋律を歌い切るだけでなく、重なる声の中で必要な動きを理解して形にする。
声色を選ぶ力が、曲の奥行きを作る仕事へ広がった例です。
一方、同年の本人は、さまざまなジャンルを試せる喜びとともに、まずチームの中で自分の役割を果たしたいと話していました。
個性的な声だから、常に前へ出ればよいという考えではありません。
曲や人数が変わるNCTの活動で、必要な位置を理解することも歌の一部だったのでしょう。
後のソロと比べると、この時期には集団の中で何を担うかという意識が強く表れています。
発音、バラード、成熟した曲調へ広がる役割
2021年の日本盤「LOVEHOLIC」に向けた録音では、自然な日本語に近づけることが課題になりました。
ヘチャンはユウタやスタッフの助けを受け、言葉の伝わり方に取り組んでいます。
同時に、愛を扱う曲であっても力強い音楽性を持つことを説明していました。
発音を整える作業と、曲の勢いを保つ作業を両立させようとしていた点が、この時期の具体的な一歩です。
この頃、制作側からも、グループの先にある可能性が語られています。
「Lemonade」を手がけたBenji Baeは、ヘチャンのソロで、グループとは違う本人の芸術性が見えることを期待していました。
実際のソロ制作が始まったという話ではなく、二つのチームでの働きから、一人でも音楽を広げられる声だと捉えられていたのです。
2022年のNCT DREAM「Glitch Mode」では、本人がグループの成長を、7人のまとまりから一人ひとりの力量の伸びへと捉えています。
ヘチャン、ロンジュン、チョンロの高音を担う力も、その説明に含まれていました。
単に前年より高い声が出るようになったという話ではありません。
各人の得意なことが育ち、グループとして見せられる幅が増えたという実感です。
集団の中で役割を果たす姿勢は続きながら、その役割自体が厚みを増していました。
同年3月の「Good Person (2022)」は、別の方向から声を前に出す作品です。
Toyの楽曲を歌い直した初のソロOSTで、ギターとバイオリンを軸に、語りかけるような歌が置かれました。
大人数の曲で短いパートを印象づける場面とは異なり、一曲を通じて感情を運ぶ声が中心になります。
高音の華やかさだけでは説明できない面を、まとまった形で示す機会でした。
さらにツアーでは、テイルとの「Love Sign」をDEEZと制作しています。
本人が目指したのは、より成熟した一面を見せることでした。
ゆったりしたR&Bの曲調を選んだこの取り組みは、2025年のソロで突然生まれた好みではなく、以前から温めてきた方向があったことを示します。
当時すでにDEEZとほかの曲にも取り組んでいたものの、すぐ発表する段階ではないとも話していました。
「TASTE」で、声の選択を一枚の作品へ
2025年9月8日、初のソロアルバム「TASTE」が発表されます。
制作チームは、R&Bの中にある幅を見せるため、11曲のフルアルバムを組み立てました。
グループの曲の中で自分の役割を果たす段階から、自分の声が作品全体を支える段階へ進んだのです。
本人の意思は、歌う曲の選択にも表れています。
「CRZY」には自分の強みを生かせるという確信があり、「Grey Rain」はDEEZから何年も前に聴かせてもらって以来、覚えていた曲でした。
ソロになったから新しいジャンルを何でも試す、という出発ではありません。
以前から心に残った音楽を、自分の名前で届ける作品へとつなげています。

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アルバムの流れにも、短いパートの印象だけでは見えにくかった幅があります。
「CRZY」でリズムを動かし、「ADRENALINE」で強さを押し出し、後半の「Should Be」では声の質感へ注意を向ける。
最後には冒頭の旋律を思わせる歌を通じ、スタジオへ戻る構成が取られています。
そのため、さまざまな声を使えるという紹介にとどまらず、一人の歌手が緊張や余裕をどう配分するかという作品になりました。
もっとも、強みの見せ方には好みが分かれます。
音楽評論家パク・スンミンは「CRZY」について、ラップも見せる構成が、繊細な美声への集中を分散させたと評価しています。
これは能力が足りないという断定とは違います。
歌、ラップ、ダンスを一度に見せる曲と、声をじっくり聴かせる曲では、同じ歌手でも印象が変わるという論点です。
ソロの全体像を知るには、表題曲と収録曲の両方をたどる意味があります。
2026年、自分の曲を舞台の柱にする
2026年5月23日のソウル・ジャズ・フェスティバルでは、「Camera Lights」を入口に、「CRZY」「Talented」「Roll With Me」「Love Beyond」などを披露しました。
エド・シーランやマイケル・ジャクソンの曲のカバー、テヨンとの共演も含むステージです。
ここでソロ曲は、アルバムに収録された歌から、観客と一緒に過ごす時間の柱へと移っています。
自分の音楽的な好みと、NCTで培った共演の経験が同じ舞台に並んだ点にも、この時期らしさがあります。
同年8月の「リムジンサービス」では、本人が「TASTE」を、一時的に注目されるだけでなく長く聴かれる作品にしたかったと振り返りました。
自分自身がその音楽を愛せることを、聴き手に届けるための出発点として語っています。
ソロで広がったのは歌う量だけでなく、何を自分の作品として残したいかを選ぶ責任でもありました。
初期から残っているのは、異なる曲の中でも自分の声で表現しようとする姿勢です。
そのうえで、2020年には録音での選択の確かさが語られ、2022年には穏やかな歌や成熟したR&Bを担い、ソロでは一枚の構成まで声の見せ方を広げました。
ヘチャンの変遷は、目立つ声を手に入れた後、その声をどこで、どのように使うかを深めてきた歩みと捉えられます。
曲ごとの具体的な使い分けは、ヘチャン(NCT)の歌い方で掘り下げています。

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