渡会雲雀(VOLTACTION)の歌い方|地声を選ぶ曲と、二人で作り込む高い声

VOLTACTION(右端が渡会雲雀、2025年のバーチャル撮影) シンガー
VOLTACTION(右端が渡会雲雀、2025年のバーチャル撮影)

「BUZZ LOVE」では、ファルセットも考えたうえで、地声を選んだ渡会雲雀。
緑仙との「劣等上等」では、二人の歌全体の響きを考え、高い声を提案しています。
曲や共演者に合わせた、その声の選び方を見ていきます。

VOLTACTION「BUZZ LOVE」(2025年)のMV。

「BUZZ LOVE」で、地声とファルセットの間を考える

「BUZZ LOVE」を最初に聴いたとき、渡会雲雀は、自分の声に合うのかと感じたそうです。
2025年の取材では、普段あまり歌わないジャンルで、声の出し方にも悩んだと話しています。

ファルセットのほうがよいかとも考えながら、最後には地声を選びました。
曲をしっかり理解して録音に臨み、よいものになったと振り返っています。
自分の声を、その曲の中にどう置くかを、考えた制作でした。

「StaRt」の伸びやかさと、ロックの勢い

渡会雲雀の声を聴くとき、勢いの強さと、メロディーを伸びやかに運ぶところを分けてみると、曲ごとの表情をつかみやすくなります。
その二つを具体的に取り上げているのが、2024年に草野虹が書いたReal Soundの記事です。

草野は、初配信で披露した「サマータイムレコード」や、VOLTACTIONの「インレイド」で注目されたエネルギッシュな声に触れています。
一方、Mrs. GREEN APPLEの「StaRt」のカバーでは、伸びやかに歌い上げる面が伝わったと評しました。
強い印象を与える歌の中にも、声を前へ押し出す場面と、旋律の流れを見せる場面があります。

同じ記事では、ボカロ曲やロックバンドの曲を中心にカバーし、ソロとデュエットの両方で歌っていることも紹介されています。
曲が替わってもエネルギーを感じさせるという評価は、その幅を知るうえで参考になります。
高い声が出る箇所だけを探すより、フレーズの入り方から伸ばし終えるところまでを聴くと、勢いの作り方にも目が向きます。

「Watercolor」で、声を渡しながら歌う

ソロとは違う声の役割が見えるのが、2025年2月の初単独ライブ「Dynamic VOLT」で披露された「Watercolor」です。
KAI-YOUのレポートでは、一人ずつの掛け合いから、ペアのハーモニー、全員のユニゾンへと、歌の組み合わせが変わる様子が描かれています。

その中で印象的なのが、渡会雲雀の伸びやかなCメロから、四季凪アキラへと歌を渡す場面です。
一人の声で聴かせたあと、別の声が引き継ぐことで、同じ曲の中に違う表情が生まれます。
渡会のパートを聴くときも、次の声が入るところまで続けて聴くと、歌の流れの中で担っている役割がわかります。

また、ハーモニーは異なる音を重ね、ユニゾンは同じ旋律を合わせる歌い方です。
この公演の「Watercolor」では、その組み合わせも変化していました。
一人で伸びやかに聴かせる声と、ほかのメンバーとまとまった響きを作る声を、曲の進行に沿って聴き分けたいところです。

渡会雲雀(2025年掲載のキャラクターアート)
渡会雲雀(2025年掲載のキャラクターアート)。
画像出典:画像掲載元

「劣等上等」は、相手の声に応えながら重ねる

緑仙との「劣等上等」のカバーでは、二人のやり取りから、歌う声が作り込まれていきました。
制作を振り返った緑仙によると、渡会雲雀は、全体で聴いたときに声が低いため、高い声で歌うと提案したそうです。

すると緑仙も、自分の声のインパクトを考えて、がなりを加えると応じました。
さらに二人で、コーラスも足していきます。
相手が出した歌に応え合ううち、当初より表現が増えていった録音です。

緑仙と渡会雲雀による「劣等上等」のカバー(2025年公開)。

この曲では、渡会雲雀の高い声と、緑仙の声、重ねたコーラスの組み合わせにも耳を向けてみてください。
一人の声を決めることが、二人の歌全体をどう作るかという話につながっています。

「バッド・ダンス・ホール」で、客席の声を引き出す

「Dynamic VOLT」のソロパートで、渡会雲雀が選んだのは「バッド・ダンス・ホール」でした。
アニメイトタイムズのレポートでは、その力強い歌声と、お立ち台に片足を乗せて前かがみになる姿が紹介されています。

この場面では、本人が歌うだけでなく、客席に呼びかけて声を返してもらっています。
歌の勢いをそのまま呼びかけにつなげ、観客の返事が加わって、ステージ全体が盛り上がる構成です。
録音された一人の声を聴く場合とは違い、客席がどこで参加するかも、歌の楽しさを左右します。

「Watercolor」でメンバーへ声を渡した場面と比べると、こちらでは客席へ向けて声を投げかけています。
ソロの見せ場でありながら、観客も声を出せる場所を作っているのです。
ライブでの渡会雲雀の歌を考えるときには、曲の途中で呼びかける声と、歌に戻る流れも聴きどころになります。

「Checkmate」は、二人の掛け合いまで聴く

風楽奏斗と渡会雲雀の「Checkmate」では、同じライブの中でも、二人で向き合う関係が前面に出ます。
4Gamerの公演レポートでは、二人が手を合わせるなど、息の合うパフォーマンスをしながら力強く歌ったと記されています。

アニメイトタイムズも、お立ち台へ交互に足を乗せ、向かい合ってフレーズを掛け合った場面を取り上げています。
二人の声を順番に聴かせるだけでなく、相手へ歌を返す姿まで見せる演出です。
同じ強い歌声でも、ソロで客席へ向けるときと、相手と応酬するときでは、聴き手の受け取る関係が変わります。

「劣等上等」の録音では、相手の声を聴いて、高さやコーラスの重ね方を相談していました。
「Checkmate」のライブでは、二人の歌が交わる様子をステージの動きでも伝えています。
共演する歌の面白さを、音源とライブの両方から知ることができます。

マイクを持ち替えるところから、歌を届ける姿を考える

声に伴う動きについて、渡会雲雀自身も試行錯誤を語っています。
2025年のQJWebのインタビューによると、以前はカラオケでもあまり動かず、鏡で見た自分の姿に違和感を覚えたそうです。
そこから、まずマイクを持ち替えることを始めました。

次第に自然に体が動くようになり、有観客ライブでは、来てくれた人へできるだけ近づこうと、ステージの左右を動き回ると話しています。
歌声を届ける相手が目の前にいることが、立ち方や動く方向にもつながっています。
客席を巻き込む歌い方には、こうした本人の意識も重なっているのでしょう。

また、UVERworldのTAKUYA∞への憧れも語っています。
「7th Trigger」を歌ったライブでは、普段見ているTAKUYA∞の動きが出たと振り返りました。
その場の動きだけでなく、よいライブを届けるために準備を続ける姿勢にも影響を受けています。

渡会雲雀の歌は、地声かファルセットかを選ぶ録音の細部から、相手と声を組み合わせる工夫、客席へ働きかけるライブまでをつなげて見ると、輪郭がはっきりします。
どの場面でも同じ声を当てはめるのではなく、曲と歌う相手に応じて、自分の声の生かし方を考えているのです。

「TAKE ACTION」でアドリブを任された経験から、これらの録音までの歩みは、渡会雲雀(VOLTACTION)の歌唱変遷で取り上げています。

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