高見沢俊彦の歌い方では、高音をどう歌うかと、メロディーをどう聞かせるかが結びついている。
本人の再録の話と、ソロ名義Takamiyでのコーラスの作り方から見ていきたい。
Takamiy「Fantasia ~蒼穹の彼方」(2017年再録版)の公式音源。
表声で歌うと、あらためて感じたキーの高さ
2017年のencoreの取材で、高見沢は、がなって歌えば出る音も、表声でしっかり出そうとすると高く感じると話している。
『美旋律 ~Best Tune Takamiy~』で、過去の曲を歌い直した際の感想だ。
本人にとって、声を荒らして音を出すときと、旋律を丁寧に歌うときでは、同じ高音への向き合い方も変わった。
「Fantasia ~蒼穹の彼方」の2017年再録版も、その話を重ねて聴いていきたい。
丁寧に歌うことで、メロディーを前に出す
同年のMusicVoiceでは、丁寧に歌うようになり、以前よりもメロディーラインがはっきり分かるようになったと話している。
本人にとっては、むやみにシャウトするより、かえってロックらしく感じられたという。
激しさをどこで感じさせるかという、表現の選び方でもある。
高い音の響きとともに、旋律の輪郭がどう伝わるかにも耳を向けたい。
同じ再録について語ったencoreでは、曲の中心にメロディーを置き、メタルやフォークといった曲調を、その旋律に着せる服のように考えているとも説明している。
激しい伴奏の曲でも、まず聴かせたい旋律があるということだ。
高見沢の高音を聴くときも、最高音だけを抜き出すより、そこへ向かう音のつながりを追ってみたい。
声の強さと、メロディーの動きがどんな関係を作るかが、本人の再録の話に重なる聴きどころになる。
三声の中では、高い声が別の役割を持つ
THE ALFEEのコーラスでは、高見沢の高音は、リードボーカルを支える側にも回る。
2024年のRe:minderの取材で、本人は、通常は桜井賢が中央、坂崎幸之助が下、自分が上を担当すると説明している。
ただし固定ではなく、誰が主旋律を歌うかで配置が変わる。
高見沢がリードの場合には、坂崎が裏声で上を重ね、桜井が下へ入る形もあるという。
さらに坂崎は「タンポポの詩」を例に挙げ、主旋律の高見沢が最も下にいて、その上に二つのハーモニーが乗ると話している。
高い声の歌手だから、いつも一番上を歌うわけではないのだ。
この違いを知ると、三人で歌う場面では、主旋律と一番高い声を分けて聴ける。
高見沢が曲を引っ張るときと、ほかの人の旋律を上から支えるときでは、声の役目が違う。
ソロの高音と、重なりの中の高音を、同じものとして聴かないところから面白さが広がる。

画像出典:画像掲載元
ソロでは、一人で声を重ねる
「誘惑の太陽」を発表した2015年のORICON NEWSでは、激しく高音で歌い、一人多重コーラスもふんだんに行ったと語っている。
一人の声を前に出すだけでなく、自分の声を重ねることもソロでの表現になっている。
Takamiy「誘惑の太陽」(2015年)の公式MV・短縮版。
ソロでは、自分の声だけで、前に立つ旋律とそれを支える響きを作る。
聴くときは、主旋律の勢いに加えて、後ろに重なる声がどの部分を広げているかも追いたい。
一人で歌うことと、一つの声だけで聞かせることは、同じではない。
同じORICONの取材で、高見沢は、THE ALFEEではリード以外の人もコーラスが入るため、決して暇ではないと話している。
誰かを支える声にも、曲を進める仕事があるのだ。
グループで声を重ねる感覚と、一人で多重録音する面白さの両方が、本人の制作談には表れている。
三人の声の違いを、録音でも生かす
2024年の週刊女性PRIMEの取材で、高見沢は、三人それぞれの声の良さを曲に出すことが、THE ALFEEらしさにつながると話している。
実際にコーラスを組み合わせる作業も担っており、歌う側と、全体を聴いて整える側の両方の視点を持っている。
同じ取材で桜井は、以前は三人同時に録っていたコーラスが、コロナ禍を機に一人ずつの録音へ変わったと説明している。
個別に録ると声が明瞭になり、音程にもより厳密になるという。
完成した音では一つに聞こえるハーモニーにも、一人ずつ声を確かめる工程がある。
だから、録音作品で聴こえる一体感を、三人がいつも同時に歌った結果だと決めつける必要はない。
個々の声を大切にしながら、組み合わせて一つの響きへ仕上げている。
高見沢の声も、単独で目立つ魅力と、他の声に加わって生まれる魅力の両面から聴いてみたい。
好きな曲を、自分の声で歌う
高見沢の声を考えるときは、ハードな曲以外の選曲も興味深い。
2018年には、ソロでウォーカー・ブラザーズの「太陽はもう輝かない」をカバーしている。
Billboard JAPANの取材では、子どものころに曲の世界から強い印象を受け、好きだった曲を自分なりに形にできたことを語った。
本人も、スコット・ウォーカーとは違う仕上がりだと話している。
原曲の声へ近づくことだけを目標にせず、自分の声でその世界を表現するカバーだったと読める。
同じ旋律でも、歌い手が替わると、言葉の表情や曲の印象は変わる。
高音を使うこと自体が目的なら、選ぶ曲も一方向に寄ってしまう。
このカバーの話からは、先に好きな曲の世界があり、それを自分の歌として届けたいという気持ちが見えてくる。
声の特徴と選曲の関係を考えることで、ハイトーンという言葉だけでは収まらない表現を追える。
ソロで試した音楽を、三人の歌へ戻す
高見沢はReal Soundの2017年の取材で、ソロの目的を、外で受けた刺激をTHE ALFEEに生かすことだと説明している。
グループ・サウンズへの取り組みはThe KanLeKeeZへ、オーケストラとの共演から得たものは「あなたに贈る愛の歌」へつながったという。
別の場所で試した音楽が、三人の歌に戻ってくる流れがある。
高校時代に観たレッド・ツェッペリンなどの強烈な印象も、本人の音楽の背景にある。
ソロでは自分の好きなサウンドが強く出るとも話しており、三人で歌うときと一人で歌うときでは、声を包む音楽も変わる。
同じ高見沢の声でも、どんな伴奏に置かれ、誰の声と重なるかによって、聴く側が受け取る表情は違ってくる。
高音を丁寧に歌うこと、主旋律とコーラスを行き来すること、自分の声を重ねること。
それらを別々の技として見るより、曲のメロディーをどう届けるかという視点でつなぐと、高見沢の歌い方が見えてくる。
歌い方を見直して再録へ向かった歩みは、高見沢俊彦(THE ALFEE)の歌唱変遷でたどっている。

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