堀込泰行の歌声の変遷|ものまねを離れて見つけた声と、曲ごとの歌い分け

堀込泰行(2016年掲載の写真) シンガー
堀込泰行(2016年掲載の写真)

堀込泰行は、自分に合う歌声を探してきた一方で、曲に応じて歌い方を変えることも大切にしている。
キリンジ初期の声の模索から、ソロ作品での歌い分け、ゲームのために歌った「Train Song」まで。
本人が語った選択をたどると、声の個性と曲への応え方が、重なりながら育ってきたことが見えてくる。

キリンジ「エイリアンズ」(2000年)のMV・4Kリマスター版。

ものまねから、自分に合う発声へ

2026年の「ほぼ日」の取材で、堀込は学生時代の録音を聴くと、しゃべり声に近く、少しハスキーでがらがらしていたと振り返っている。
かつては、聴いているミュージシャンの声をまねるように歌っていたという。

キリンジを始めた頃、兄の高樹からケニー・ランキンの曲を聴かせてもらい、自分に合った発声を意識するようになった。
自分の声を模索していた時期とその提案が重なり、キリンジ初期に自分の歌い方が形になっていった。

ソロ作品で、歌を届ける相手を広く考える

2013年にキリンジを離れた堀込は、2016年に本人名義の初のフルアルバム『One』を発表した。
キリンジ在籍中にも「馬の骨」でソロ作品を作っていたが、『One』では、音や言葉の選び方を改めて考えている。

同年のMusicVoiceの取材では、キリンジの一員として作る際、無意識に守っていた美意識があったと振り返った。
特に歌詞では、その枠から少し自由になり、より簡単な言葉を使うようになったという。
声をどう出すかに加え、その声でどんな言葉を歌うのかにも、ソロとしての変化が表れていた。

作品の気分については、温かさや前向きな楽しさを届けたいと話している。
以前からのファンにも、新たに関心を持つ人にも開かれた、親しみやすい一枚を目指した。
歌う曲の幅が広がる背景には、一人になった自分を表すだけでなく、聴く人を楽しませたいという考えがあったのだ。

堀込泰行(2016年掲載の写真)
堀込泰行(2016年掲載の写真)。
画像出典:画像掲載元

「New Day」と「Shiny」に並ぶ、新しさと馴染み

2016年のソロ・アルバム『One』では、曲に応じた歌い分けも話題になっている。
音楽ナタリーの取材で、「New Day」はいつもと歌い方が違うと尋ねられると、堀込は曲調に合わせて歌ってみたと答えている。

一方、続く「Shiny」はフォークやカントリーの感触があり、それまでの自分らしい曲だと説明していた。
同じアルバムの中で、新しい歌い方を試す曲と、馴染みのある感触の曲が隣り合っている。
ここでの変化は、曲ごとに選べる表情の幅として捉えたい。

堀込泰行「New Day」(2016年)の公式音源。

堀込泰行「Shiny」(2016年)の公式音源。

歌と楽器から作る習慣にも、新しい入口を加える

2022年のDIGLE MAGAZINEの取材では、曲を作る順序についても話している。
基本はギターを弾きながら旋律とコードを考え、後から歌詞を乗せる方法で、歌と楽器だけでも美しく成立することを心がけていた。
この話からは、歌を完成済みの伴奏へ加えるだけでなく、旋律と演奏の関係から曲を育てる姿勢が分かる。

ただし、その方法だけに留まろうとしていたわけではない。
先に浮かんだベースラインへ弦のフレーズを加え、そこからコードを考えたところ、それまでと違う感触の曲になったという。
その経験から、短いフレーズを繰り返し、音で遊びながら広げる作り方にも関心を持つようになった。

曲を作る入口が増えれば、歌が向き合う旋律や伴奏の組み合わせも変わる。
自分らしい曲作りを続けながら、その入口にも試行錯誤を加えていたことが分かる。

堀込泰行(2022年掲載の写真)。
堀込泰行(2022年掲載の写真)。
撮影:Yosuke Demukai
画像出典:DIGLE MAGAZINE

「Train Song」で、曲の流れに声を添える

2025年には、ゲーム『to a T』の「Train Song」で歌唱を担当した。
ORICON NEWSの対談で、堀込は、受け取ったデモの優しいメロディーや歌詞の雰囲気に、素直に反応するように歌ったと話している。

その中には、少し悲しい、切ない瞬間もあったという。
そうした部分に心を動かされながら、後半の鼻歌やスキャットでは、気分を明るくしていったと振り返った。

境亜寿香、堀込泰行「Train Song」(2025年)の公式音源。

曲調に合わせることは、一曲の中の流れに応じて、声の表情を選ぶことにもつながっている。
自分に合う声を見つけた後も、その声でどう応えるかという選択は続いている。
発声のイメージや、曲の中での表情の付け方は、堀込泰行の歌い方でも見ていきたい。

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