影山ヒロノブの歌声はどう変わった?LAZY・アニソン転身・65歳の「ZERO」まで

影山ヒロノブの歌声の変遷を紹介するポートレート シンガー

2026年、65歳の影山ヒロノブさんは「ZERO」で再びドラゴンボールの新しい戦いを歌いました。
聞こえてくるのは、若い頃の声を保存した人の懐かしい歌ではありません。

現在の声には、アイドルとして求められた自分を一度否定し、ロックへ走り、仕事のない時期を通り、アニメの主人公へ声を渡し、仲間と世界を回った時間が重なっています。
高音が昔と同じかどうかより、何のためにその高音を使うのかが変わり続けました。

影山さんの変遷は、歌が上手くなってスターになった一直線の物語ではありません。
一度捨てた過去まで引き取り、別々だった歌手人生を一つへつないだ歴史です。

最新の「ZERO」では、長い旅の終点ではなく、まだ次の物語を始める声が聞こえます。

1977年、LAZYではロック少年がアイドルの声を演じた

影山ヒロノブさんは16歳だった1977年、LAZYのボーカル「ミッシェル」としてデビューしました。
メンバーが憧れていたのはハードロックでしたが、最初に求められたのは若い女性ファンへ向けたアイドル的な歌と見せ方です。

明るい表情、親しみやすい旋律、完成された少年像の中で、声は商品として先に形を与えられました。
本人が歌いたい音楽と、世間が期待する声の間には距離がありました。

この時代を単なる黒歴史と片づけることはできません。
観客へ言葉をまっすぐ届ける力、短い時間で人物になりきる感覚、声で分かりやすい印象を残す技術は、後の主題歌にもつながっています。

ただし若い影山さんに、その意味を受け入れる余裕はありませんでした。
「本当の自分の声」を出すためには、まず与えられた声を壊す必要があると考えていました。

1980年、「ハードロック宣言」は歌声より生き方を変えた

LAZYは1980年、アイドル路線からの脱却を宣言し、「宇宙船地球号」でハードロックへ進みます。
声は甘く整えるものから、バンドの大きな音へ食い込み、自分たちの意思を示すものへ変わりました。

高音を出す理由も違います。
求められた人物を演じるためではなく、これは自分たちの音楽だと証明するために、声を強く前へ出しました。

その選択は、すぐ成功へ結びつきませんでした。
1981年にLAZYは解散し、影山さんはソロへ移りますが、ロック歌手としての仕事は次第に少なくなります。

若い頃の歌唱は、自由を手に入れた代わりに、どこへ届ける声なのかを失った状態でもありました。
自分らしく歌うことと、聞き手の人生に必要な歌を歌うことが、まだ別々だったのです。

声が消えた30日間が、ステージで生きる歌手を作った

低迷期、影山さんは30日間連続のライブへ挑みました。
10日ほどで声が出なくなり、それでも毎晩ステージへ立ち、20日ほど経つと以前より太い声が戻ってきたと振り返っています。

仕事の少ない時代にもライブで歌を作り続けた影山ヒロノブ

この経験を安全な訓練として真似することはできません。
重要なのは、影山さんが声を録音の完成品ではなく、客の前で毎晩作り直すものとして覚えたことです。

当時は年収が7万円ほどだった年もあり、建設現場で働きながら歌を続けました。
ステージへ立つことが特別な行事ではなく、歌手でいるための生活そのものになります。

アイドル時代には誰かが人物像を用意し、ハードロック期には自分らしさを証明しようとしました。
連続ライブを経た声は、目の前の客を動かせるかどうかを基準に鳴るようになります。

1985年、「電撃戦隊チェンジマン」で声の主役を自分からヒーローへ渡した

転機は1985年に訪れます。
「KAGE」名義で歌った「電撃戦隊チェンジマン」によって、影山さんはアニメ・特撮ソングの世界へ入ります。

それまでのロックでは、歌声が本人の思想や生き方を証明しました。
主題歌では、声の先にいる主人公、子どもたち、作品の世界を最初に立ち上げなければなりません。

ここでアイドル時代に覚えた「人物になる歌」と、低迷期に身につけた「客席を動かす歌」が初めて同じ方向へ向きました。
かつて否定した経験まで、ヒーローへ生命を与える材料に変わります。

1988年の「聖闘士神話~ソルジャー・ドリーム~」では、会場の景色も変わりました。
かつて女性中心だった客席へ男性の声が増え、自分の歌が憧れの対象ではなく、戦う人の合図として届いていることを実感します。

1989年、ドラゴンボールは一曲の成功ではなく長い音楽学校になった

1989年の「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は、影山ヒロノブという名前を世界規模で知られるものにしました。
ただし本人の歌を変えたのは、主題歌一曲の大ヒットだけではありません。

ドラゴンボール関連では、長い年月にわたり約70曲を録音しました。
王道のロックだけでなく、ラップ、デュエット、黒人音楽の感触を持つ曲など、得意な形では解けない課題が次々に現れます。

別の歌手がバラードやリズムの強い曲を自在に歌う姿へ圧倒され、自分の幅の狭さにも気づきました。
録音本数が増えるたびに、強い高音以外の声を学ぶ必要が生まれます。

そのためドラゴンボール期を、「熱い歌い方が完成した時代」とだけ見るのは正確ではありません。
同じ作品世界で異なる役を与えられ続け、熱さの中へ柔らかさ、掛け合い、ユーモアを加えていった時代です。

2000年、JAM Projectで一人称が「俺」から「俺たち」へ広がった

2000年、影山さんはJAM Projectの結成に参加し、リーダーとして活動します。
強い個性を持つ歌手が集まるグループでは、ソロのように自分の声だけを前へ出しても、曲は大きくなりません。

誰が最初に物語を始め、誰が高音を受け取り、どこで全員の声を一つにするかを考える必要があります。
影山さんの歌は、主人公を一人で演じる声から、仲間全員を主人公にする声へ変わりました。

海外公演が増えると、日本語の細かな意味が伝わる前に、声の方向と身体の動きで会場を結ぶ場面も増えます。
言葉の壁を越えるため、短い掛け声、明確な子音、全員で歌えるサビがさらに重要になりました。

JAM Projectの大合唱は、ソロの声を薄めたものではありません。
一人で勝つ高音を、何千人も参加できる高音へ作り替えた結果です。

アコースティックとA.O.R.が、叫ばない時の影山ヒロノブを見せた

長いキャリアの中では、アコースティックライブや落ち着いたソロ作品にも力を入れています。
大きな伴奏と対抗しない場所では、音量より言葉の距離、語尾、息の残し方が見えるようになりました。

2017年の40周年作品では、A.O.R.や大人のポップスへ踏み込み、自作曲だけでなくカバーにも向き合います。
高音の強さを証明するより、年齢を重ねた声で何を語れるかへ関心が移りました。

さらに、かつて嫌いで封印していたLAZY時代の「赤頭巾ちゃん御用心」も、後年には自分の歴史として受け入れています。
若い自分が否定したアイドルの声を、失敗ではなく今の歌手を作った一部として歌えるようになったのです。

これは音域の変化より大きな転換です。
過去を切り捨てて本物になるのではなく、矛盾した過去を全部持ったまま現在の声を出せるようになりました。

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2021年以降、変わらないパワーの中で「続けられる声」へ進んだ

60代に入っても、影山さんはパワー系の歌唱を続けています。
若い頃と同じ負荷を競うのではなく、長年の身体感覚で必要な瞬間へ力を集めるようになりました。

2022年のバースデーライブで歌われた「Olympia」には、現在のソロ歌手としての声がよく表れています。
ヒーローの決めぜりふではなく、自分の歩みを背負う歌でも、言葉の先へ誰かを置く姿勢は変わりません。

60代でも歌う目的に合わせて強さを更新する影山ヒロノブ

2025年には「栄養戦士キャロットマン」で、新しい世代の作品へヒーローソングの型を渡しました。
題材を面白がりながらも、歌へ入れば一切ふざけず、生命力を届けるという仕事をやり切っています。

2026年の「ZERO」は、過去の代表曲を再演したものではありません。
約18年ぶりにゲームシリーズの新しい歌を担当し、長く続くドラゴンボールへ現在の声で新しい入口を作りました。

変わらなかったのは声質ではなく、歌を次の人へ渡す姿勢

LAZYでは、用意されたアイドル像の声を演じました。
ハードロック宣言ではそれを壊し、自分の声を取り戻そうとします。

仕事の少ない時代には客席から歌を学び、主題歌では声の主役をヒーローへ渡しました。
ドラゴンボールの多彩な録音で使える声を増やし、JAM Projectでは一人の力を集団の力へ変えます。

現在は、一度嫌った過去も受け入れたうえで、新しい世代の物語を始める声を出しています。
そのため影山ヒロノブさんを「昔から変わらない熱血歌手」と呼ぶだけでは、最も面白い変化が隠れてしまいます。

変わらないように聞こえるのは、同じ声を守ったからではありません。
歌う相手が自分、主人公、仲間、海外の観客、次の世代へ変わるたび、その人が立ち上がれる形へ声を作り直してきたからです。

65歳の「ZERO」に残っている若さは、声帯の年齢を消した結果ではありません。
また新しい誰かへ物語を渡せるという確信が、今も高音を未来の方向へ飛ばしています。

影山ヒロノブさんの現在の歌い方と発声では、熱い高音が大声だけに聞こえない理由を、言葉、反復、録音、グループ歌唱の面から詳しく解説しています。

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