BAND-MAID・SAIKIの歌声はどう変わった?加入・2017年の手術・現在まで

BAND-MAID・SAIKIの加入から現在までの歌声の変化をたどる記事のアイキャッチ SAIKI(BAND-MAID)

SAIKIさんの歌声は、初期より単純に高く、大きくなったのではありません。
最も大きな変化は、与えられた曲を強い声で成立させる歌手から、声、言葉、曲の構造を一緒に設計するバンドの中心人物へ進んだことです。

その途中には、加入後の猛練習、2017年のポリープ切除手術、コロナ禍での体作り、得意域を越えた高音への挑戦がありました。
現在の自在さは、一度の手術だけでも、年数だけでも説明できません。

この記事では、SAIKIさんの歌唱変遷を、初期の戸惑いから「新しい喉」での再出発、そして曲の物語を作る現在までたどります。

2013年、バンドを知らない歌手が二人目のボーカルになった

SAIKIさんがBAND-MAIDへ加わった時、すでにほかの四人は活動を始めていました。
オーディションではメイド服の企画を事前に詳しく知らされず、本人も女性ボーカルのバンドを普段から聴いていたわけではありません。

歌とダンスのレッスン経験はありましたが、バンド活動は初めてでした。
マイクチェックやケーブルの扱いから教わり、対バンという言葉にも戸惑う状態で、決まっていた録音とライブへ入っていきます。

初期のSAIKIさんは、将来の音楽像を強く主張していたというより、まず与えられた仕事を終えることへ集中していました。
それでも、五人で初めてステージに立った時の感触は良く、一年ほどでバンドを続けていく自分を想像するようになります。

2014年のThrillで初期BAND-MAIDの二声を確認できる場面

2014年から2016年、練習で強くなった声がバンドの方向を決めた

「Thrill」から「REAL EXISTENCE」へ進む頃、第三者から声が強くなったと指摘され、本人は多くの練習の結果だと答えています。
最初から完成したロックボーカルだったのではなく、重くなる演奏へ追いつくように声を育てた時期でした。

加入当初の楽曲は外部の作家によるものが中心でしたが、2016年の「alone」でメンバー自身の制作が認められます。
この成功は、バンドが自分たちの音へ進んでよいという自信になりました。

SAIKIさんも「alone」の録音頃から現在につながる指導を受け、歌うための体作りを含むレッスンを続けるようになります。
初期の変化は、ただ声が太くなったことではありません。
バンドの演奏とボーカルが互いを強くし、自分たちで次の曲を作る循環が始まったことです。

2017年、ポリープ切除後の「Choose me」が二度目の出発になった

SAIKIさんは2017年頃にポリープの切除手術を受けました。
手術前は、歌える時間の中で急いで録音する状態があり、毎回もどかしさを感じていたと振り返っています。

声が変わる可能性への不安は大きく、同じ手術を経験した複数の人へ話を聞いてから臨みました。
公表されているのは本人が語った範囲であり、当時の映像だけから症状や喉の状態を推測するべきではありません。

手術後に録音した「Daydreaming / Choose me」は、本人にとって歌手人生を始め直す作品になりました。
長い時間をかけて録音でき、かすれや乾きを感じにくい声を得た喜びがある一方、いきなり歌いすぎず、自分を制御する必要も学んでいます。

現在振り返ると、この頃の声は若く感じるそうです。
完成形へ戻ったのではなく、ここから新しい声を育てる時間が始まりました。

2018年から2019年、強い声が「世界征服」の物語を持った

手術後の声が安定していく時期に、BAND-MAIDは『WORLD DOMINATION』を掲げました。
SAIKIさんは世界征服を音で表す曲を求め、「Don't you tell ME」では頭に残る反復的なサビを提案しています。

ここから歌唱の役割は、与えられたメロディーを歌うだけではなくなります。
ライブで観客がどう反応するか、どの言葉が曲の看板になるかを考え、KANAMIさんの作曲へ具体的な注文を返すようになりました。

「DOMINATION」の直線的な強さと、「Blooming」のように展開と感情が細かく動く曲は、同じ太い声を使い回していません。
声を大きくする成長から、曲の形に合わせて強さの種類を変える成長へ移った時期です。

2020年から2021年、六割の声量で歌った時間が表現を広げた

コロナ禍でバンドの活動が止まった時、自宅では普段通りの大音量を出せませんでした。
SAIKIさんはおよそ六割の声量で歌い、筋力トレーニングとストレッチへ多くの時間を使っています。

ライブがないから歌を休んだのではなく、再び歌える時に以前より動ける体を作ろうとしたのです。
大音量だけに頼れない環境は、声を抑えても存在感を残す方向とも重なりました。

「Manners」では、従来の全開の勢いとは違い、抑えた状態を保つ声が選ばれています。
柔らかい曲でも言葉の意志を失わないという2017年頃の工夫が、アルバム全体の質感を変えられる表現へ育ちました。

2022年、「Unleash!!!!!」で得意な音域の外へ踏み出した

「Unleash!!!!!」の冒頭は、従来のBAND-MAIDになかった裏返るような高い入口です。
作曲側はSAIKIさんなら通常通り歌えると思っていましたが、本人にとっては得意な音域より上の挑戦でした。

録音ではボーカルテックへ相談し、複数の歌い方を練習して選びました。
簡単に出る声ではなく、ライブで再現する負荷まで理解した上で、新しい引き出しとして作品へ残しています。

2017年の再出発が「思うように歌える時間」を取り戻す転機なら、2022年は安全な得意域から意図的に外へ出た転機です。
高音が伸びたという結果より、無理な要求を黙って押し切らず、スタッフと方法を探し、再現の難しさまで言葉にできるようになった点が大きな変化でした。

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2023年から2024年、声の質感と物語を自分で選ぶようになった

「Shambles」では、展開が落ちる部分の空気を変えるため、エッジのある声を意識的に増やしました。
荒さを常時まとわせるのではなく、場面転換のために使う発想です。

この頃には、定期的なレッスンを続け、体と喉の調整だけでなく、古い曲も現在のライブでより良く聞かせることを目標にしています。
過去曲を当時の声で保存するのではなく、今の技術で更新する考えが明確になりました。

『Epic Narratives』では、歌詞、作品のコンセプト、タイトル、アートワークへ深く関わります。
以前は自分の前に薄い幕があり、歌いたくない言葉や照れもあったと振り返っていますが、10周年を経て、その壁を置かずに音楽へ向かえるようになりました。

声の変化が、音色の変化だけで終わらず、自分の言葉を歌う変化へつながった時期です。

2025年から現在、歌手が曲の景色まで設計する

「Zen」では、SAIKIさんが作品全体を確認して歌詞を書き、歌い方のイメージを含む仮歌まで作りました。
「Ready to Rock」では、物語とBAND-MAID初期の悔しさを重ね、ボーカルを早く入れるより楽器を見せるイントロを提案しています。

2023年の横浜アリーナで披露したピアノ弾き語りも、コロナ禍にバンドの将来を考えて始めた練習から生まれました。
歌だけを担当する人という境界が薄れ、演奏、歌詞、構成を含めて曲の景色を作る人へ進んでいます。

2026年の活動でも、初期の鋭い印象を捨てたわけではありません。
違うのは、低い芯、高い入口、荒い質感、柔らかな語りを、作品の物語に合わせて選べることです。

結成初期の戸惑いから曲全体を設計する現在へ進んだBAND-MAID

現在のSAIKIさんの歌い方と発声を読むと、この変遷が現在の低い芯や高音の選択へどうつながったかを詳しく確認できます。

まとめ

SAIKIさんの歌声は、加入当初の「決められた仕事を歌う声」から、BAND-MAIDの方向を作る声へ変わりました。
練習で強さを身につけ、2017年の手術後に歌手として再出発し、コロナ禍には小さな声量と体作りを経験しています。

その後は得意な高さを越える歌、必要な場面だけ荒らす歌、自分の歌詞と構成を伝える歌へ幅を広げました。
手術は大きな転機ですが、現在の声を作ったのは、そこから続けたレッスン、録音での試行錯誤、曲作りへの参加です。

初期と現在を比べる時、声の太さだけを比べると本質を見失います。
一番大きく変わったのは、何を歌えるかではなく、どの声を、どの場面で、なぜ使うかを自分で決められる範囲なのです。

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