Young K(DAY6)の歌い方|澄んだ声の強さと、静かに近づく歌の使い分け

2024年7月公開の取材記事に掲載されたYoung K Young K(DAY6)
2024年7月公開の取材記事に掲載されたYoung K

Young Kの歌には、バンドの音を押し出す強さと、近くで話しかけるような静けさがあります。
どちらか一方が本来の声で、もう一方が例外ということではありません。
サビに向けて力を開くのか、最後まで声を抑えるのか。
その選択を曲ごとに見ると、高い声が出るという説明だけではわからない歌の魅力が見えてきます。

澄んだ声と、前へ出る強さが同時にある

DAY6の録音に関わった生形真一は、Young Kの声について、澄んでいながら押しが強いところを挙げています。
透明感のある声を、弱々しさと結びつけない評価です。
ほかのメンバーとは違うその響きが、複数の声を持つバンドの個性にもなっています。

この二つを分けずに考えると、Young Kの力強さを捉えやすくなります。
荒さを前面に出さなくても、歌を強く届けられる声がある。
そして、その強さを最初から全部使うのではなく、曲のどこで開くかによって印象を変えられるのです。

「Guard You」は、サビまでの抑制にも意味がある

「Guard You」で本人が聴きどころとして挙げたのは、比較的穏やかに進む部分から、サビの爆発的な響きへ変わるところです。
曲のすべてを同じ勢いで押す構成ではありません。

ここでは、サビの強さだけを切り取ると、歌の仕組みを見落とします。
それ以前に抑えた時間があることで、気持ちを強く差し出す瞬間が際立つ。
大きく歌えることに加え、どこまで大きくせずに待つかも、表現の一部になっています。

同じ『Eternal』の「want to love you」では、ささやくような入り口から、ブリッジの強い歌唱へ進みます。
ピアノを中心とした曲でも、声の勢いを徐々に高め、後半で感情を大きく開く流れがあります。
静かな声と張りのある声を、一曲の別々の場所に置いている例です。

二曲に共通するのは、強い声を出すことだけを目的にしない点でしょう。
始まりにどんな距離感を置いたかで、後の強さの意味が変わる。
曲の展開に合わせて、聴き手へ近づく歌と、大きく差し出す歌を行き来しています。

柔らかな歌は、強い歌の準備だけではない

「Come as you are」では、ファルセットや重なる歌声が、慰める内容を柔らかく運びます。
強い声をずっと保つのとは違う方法で、相手を迎え入れる曲です。

「goodnight, dear」も、静かな声の役割がわかる曲です。
アコースティックな響きの中で声を抑え、眠りへ向かう人に寄り添うような歌になっています。
「want to love you」のように、終盤の強い歌唱を目指す曲とは、力の配分が違います。

静かに始めたら、最後は必ず声を張るという決まりがあるわけではありません。
最後まで近い距離を保つことが、その曲には必要な場合もある。
Young Kの柔らかさは、大きなサビを目立たせるためだけでなく、それ自体で一曲を支える表現なのです。

2024年7月公開の取材記事に掲載されたYoung K
2024年7月公開の取材記事に掲載されたYoung K。
画像出典:画像掲載元

装飾を減らしても、言葉を空っぽにしない

Young Kは、技巧で歌を飾ろうとしていた頃から、伝えたい話を歌う意識へ変わったと振り返っています。
ユ・ジェハやイ・ムンセの歌を練習する中で、音の難しさとは別に、歌へ向き合う姿勢を考えるようになったといいます。

静かな曲では、歌の装飾が少ない分、何を伝えているかが見えやすくなります。
力を抜けば、それだけで優しい歌になるわけではない。
「goodnight, dear」のように、声を抑えることと、言葉を届ける相手を持つことが結びついて、親密さが生まれます。

発音も、曲を動かす材料にする

『Letters with notes』の「babo」は、英語で歌いながら、タイトルには韓国語を選んだ曲です。
Young Kは、この言葉を選んだ理由に発音を挙げています。
歌詞の意味だけでなく、実際に声にしたときの音も、曲を作る材料になっていました。

このアルバムでは、本人が声、リズム、発音の細部で新しい方法を試したと説明しています。
声色を変えるだけが、歌い方を変える方法ではありません。
どんな言葉を、どんな流れで旋律に乗せるかも、歌の表情を左右します。

こうした視点は、Young Kを一種類のロックボーカルとして捉えないためにも役立ちます。
同じ声でも、言葉の響きを生かす曲と、大きく思いを放つ曲とでは、聴き手に届く印象が変わる。
曲に合わせた細かな選択が、歌の幅を作っています。

「natural」では、確かな気持ちを飾らずに歌う

「natural」は、愛することを、呼吸や毎日の食事のように自然な営みとして歌う曲です。
Young Kの歌も、その気持ちを過度に飾らずに届け、安心感を作っています。
同じアルバムの「nothing but」が、失われていく愛を手放せずに訴える歌なのとは、声が担う役目が違います。

確かにある気持ちを、相手へ力ずくで証明する必要はない。
そう考えると、この曲の素直な歌い方にも理由が見えてきます。
愛を歌うという共通点があっても、関係が安定しているのか、失われそうなのかで、声に必要な切実さは変わるのです。

「playground」の遊び心と、悲しさを明るく歌う選択

「playground」は、ファンクの曲調に、少し風変わりな声の表情や効果音を組み合わせた曲です。
「nothing but」の切実な歌とは違い、声でも遊びを加えています。
情感の豊かさを、悲しい歌の強さだけで示しているわけではありません。

2026年の「Shut The Door」でも、内容と歌の明るさを単純には一致させていません。
Young Kは、悲しい内容を明るく歌うことで感情の重さが和らぎ、聴き手にも負担をかけすぎずに届けられると説明しました。
明るく歌うことが、傷ついた気持ちを隠すだけでなく、それを人に渡す方法にもなっています。

曲の感情を声にするとは、悲しければ暗く、嬉しければ強く歌うことだけではありません。
相反する表情を重ねたほうが、気持ちの複雑さが伝わることもある。
Young Kは、歌詞の意味と声の明るさの間にも、表現の余地を作っています。

一人で歌う力を、声を重ねる場にも生かす

「Welcome to the Show」は、四人の声を合わせる位置も工夫した曲です。
声を重ねる場所まで含めて、曲の展開を作っています。

自分の声を目立たせることと、みんなが声を出せる場を作ること。
バンドで歌うYoung Kには、その両方の役割があります。
個人の強さを、合唱の力へつなげられるのも、彼の歌を考えるうえで外せないところです。

Young Kの歌い方は、澄んだ声を強く響かせる場面と、力を抑えて言葉を近づける場面の両方に表れます。
一曲の起伏、終わりまで保つ距離、発音の響き、声を合わせる相手。
それらに応じて声の役割を選ぶことが、幅のある歌を支えています。
その選択が広がってきた過程は、Young K(DAY6)の歌唱変遷でたどれます。

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