Young Kの歌は、強く響く声だけをたどっても、その変化を捉えきれません。
DAY6の中で個性を重ねる歌、ひとりで一曲を担う歌、客席と声を合わせるための歌。
歌う場が変わるたびに、持ち前の力強さを何に使うのかも広がってきました。
その歩みには、うまく歌うことへの意識と、飾らない自分を届けることへの意識が、ともにあります。
歌を飾ることから、伝えることへ
Young Kは2015年9月、DAY6のメンバーとしてデビューしました。
ベースと歌を担い、デビュー曲「Congratulations」から作詞・作曲にも関わっていきます。
もともと歌やダンスが好きで、歌の勉強を続けていた人です。
バンドを組む段階ではギターを始めましたが、ギターの得意なJaeが加わったことでベースへ移りました。
演奏者としての役割を決めていく前から、歌うことが活動の中心にあったのです。
練習生時代には、歌に技巧を加え、自分をよく見せようとしていたと振り返っています。
ところが、ユ・ジェハの曲を課題にしたレッスンで、単純に見える歌を心に届くよう歌う難しさを知りました。
高い音や複雑なリズムがないから簡単、とはいかなかったのです。
この経験は、後の静かな歌を考えるときにも大切です。
声を大きくする、装飾を増やすという方向とは別に、少ない表現で気持ちを伝える課題があった。
ロックの力強さと親密な歌が並ぶ土台は、歌い手としてのこうした問いに見つけられます。
毎月の新曲と、四つの声を生かすバンド
2017年の「Every DAY6」では、毎月新曲を発表し、コンサートで披露しました。
Young Kは負担を感じながらも、新しい曲を出す楽しみのほうが大きいと話しています。
客席の反応が、今の歩みを肯定してくれるように感じられたといいます。
曲を作り、歌い、人の反応を受け取ることが、短い周期で続いた一年でした。
2018年、日本での制作に参加した生形真一は、Young Kの声を、透明感と強い押し出しが共存する声として評価しています。
同じ取材でYoung Kは、複数の歌い手がいるバンドとして、初めは進む方向に迷ったとも説明しました。
それぞれの好みを生かし、声が重なることでDAY6の色になる、という自信を得ていた時期です。
ここで確かになったのは、全員の声をそろえることより、違いを生かす考え方でした。
Young Kの澄んだ強さも、ほかの声と並ぶことで役割を持つ。
後にソロへ進む前に、まず複数の歌い手の中で、自分の声を作品にする経験を重ねていました。
声を張る以外の表現と、三人で担う歌
2020年の「Zombie」には、感情を大きく揺らさずに歌う表現があります。
Young Kが歌い出す英語版でも、平坦さが、目的を見失った感覚と結びついています。
悲しさを歌うとき、いつも声を強めればよいわけではありません。
気持ちが動かないこと自体を伝える歌では、起伏を抑えた声にも役割がある。
力を出せる声だからこそ、その力をどこまで見せるかという選択が重要になります。
2021年のDAY6(Even of Day)『Right Through Me』では、編成の違いにも向き合いました。
Young Kはギターを担当し、ウォンピルと歌を受け持ちます。
少人数で演奏と歌の役割を組み直したのです。
『Eternal』で、一曲全体を自分の歌にする
2021年9月には、ソロミニアルバム『Eternal』を発表します。
Young Kは、一人で作品を出す緊張に加え、旋律や歌詞に迷ったときにメンバーを頼れない違いを感じていました。
一方で、もっと歌う機会がほしいという思いから、アルバムの試聴映像もライブ形式にし、ショーケースでも全曲を生で歌っています。
表題曲「Guard You」では、穏やかに進んだ曲が、サビで強く開けるところを聴きどころに挙げています。
仲間へ歌を渡しながら作っていた起伏を、今度は一人の歌手として引き受ける作品です。

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同じアルバムには、柔らかな歌で始まるDvwnとの「Microphone」もあります。
締めくくりの「goodnight, dear」は、伴奏が引いていく終わりに声が残る子守歌です。
強い歌だけを並べず、聴き手の近くで静かに歌う表情も、一枚の中に置いていました。
ソロになることは、バンド以上に大きな声を出すことと同じではありませんでした。
声を前へ押し出す曲と、そっと届ける曲を、自分の名前の下で並べられるようになった。
一曲の中の起伏に加え、アルバム全体で歌の距離感を変える段階へ進んだのです。
『Letters with notes』で、発音やリズムまで試す
2023年の『Letters with notes』では、Young K自身が、時間とともに声も考え方も変わったと話しています。
録音は除隊後に始めましたが、作品の発想はそれ以前から持っていました。
声の変化を一つの原因だけに結びつけるより、経験と制作の両方を経た作品として捉えたい時期です。
制作では、長く組んできたホン・ジサンの、成長し続けることや変化を恐れないことを促す言葉が支えになりました。
Young Kは、声、リズム、発音といった細部にも新しい試みを入れたと説明しています。
ジャンルを増やすだけでなく、その曲をどんな口調や流れで歌うかにも、選択肢を増やしていました。
例えば「playground」では、ファンクを取り入れた曲の中に、遊びのある声の表情があります。
切実な感情を上下させる表題曲「nothing but」と並べると、同じ一人の声を、違う性格の曲へ開いていることがわかります。
初期の透明感や押し出す力が消えた、という変化ではありません。
その声を、まっすぐな訴えにも、軽やかな遊びにも使えるようにする変化です。
ソロの二作目は、自分の歌を一つの型に決めないための挑戦でもありました。
ソロの経験を、客席と歌うDAY6へ持ち帰る
2024年のDAY6『Fourever』でYoung Kは、ソロの経験をバンドに持ち帰ろうとしました。
「Welcome to the Show」は、前年のフェスで客席が跳び、歌う曲の力を実感した経験から生まれた曲です。
この曲では、四人の声を合わせるチャントを、サビ後の飾りではなく、その手前に置いています。
自分が歌う旋律だけでなく、仲間や客席と声を重ねる瞬間まで含めて、曲の盛り上がりを作る。
個人で広げた表現は、再びバンドの歌へ戻っていきました。
『YOUNGEST』で、整えきらない自分も残す
2024年には、Young Kは歌詞を書く際、個人的な出来事そのものより、多くの人が重ねられる感情を大切にすると話しています。
一人の経験を、聴き手が自分の話として受け取れる言葉にしていく考え方でした。
2026年7月のソロアルバム『YOUNGEST』では、より個人的な内面へ踏み込みます。
「Shut The Door」は、傷ついた気持ちを抱えて部屋の扉を閉め、自分を慰める歌です。
速いシンセポップの響きに、簡単には明るく片づけられない感情を重ねています。
歌を作品に残す判断にも、その変化が表れています。
ソヌ・ジョンアと作った「작업실에서 커피를(Ordinary Days)」では、後の本録音よりも、曲を書いた日に録った仮歌を選びました。
整え直したものより、その場で生まれた歌を残したいという判断です。

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歌を飾って評価されようとした練習生時代から、バンドで声の違いを生かし、ソロで多様な表情を試してきたYoung K。
今は、仕上げを重ねることだけが、よい歌を残す方法ではないという選択も持っています。
その歩みを曲ごとの声の使い方から見ると、強さ、静けさ、遊び心は一つにつながります。
具体的な表現は、Young K(DAY6)の歌い方で取り上げています。







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