酒井法子は、『碧いうさぎ2021』で歌い方も変えたと語っています。
切ない歌として親しまれた代表曲を、今の自分の声で、より力強く届ける。
その制作では、現在の酒井法子を出したいというスタッフの提案を受け、新しい歌唱を選びました。
その頃の本人には、歌の基礎を学び直す中で、以前には出なかった音や声が出るようになったという実感もありました。
大切な曲を歌い続けながら、声にも表現にも新しい可能性を探す。
2023年の新曲『Funny JANE』でも、得意な曲とは違う歌に挑んでいます。
代表曲をどう歌い直し、その先で何を求めたのか。
本人が語った準備と制作をたどります。
「碧いうさぎ2021」――2021年10月24日、上映イベントでの歌唱
1995年『碧いうさぎ』、ドラマの感情と重なる歌
1995年5月に発売された『碧いうさぎ』は、酒井法子が主演したドラマ『星の金貨』の主題歌でした。
本人にとって、歌とドラマの世界が深く重なる曲です。
後年の取材でも、イントロを聴くとすぐ気持ちが入り、歌うたびにドラマの映像がよみがえると話しています。
初めて主演した連続ドラマには、大きなプレッシャーもありました。
しかし、上がってきた脚本を読むと感情が動き、涙が出るほど心を引かれたといいます。
その世界を演じ、主題歌も歌えたことは、本人にとって大切な体験になりました。
『碧いうさぎ』の切なさには、歌だけでなく、酒井法子が演じた人物の印象も重なっています。
本人は、この曲が自分の大きなイメージとなり、助けてくれていると感じていました。
2019年の取材では、客席から聴きたかったと言ってもらえるため、コンサートやディナーショーから外せない曲だとも話しています。
歌う本人の記憶に加えて、聴き手が会場で待っている歌でもあったのです。
一方、同じ2019年の取材では、Aメロが難しく、歌い慣れると歌い方が崩れることもあると話していました。
このときは採点のある番組への出演で、いつもの歌い方をどう整えるかも課題になっています。
歌えばドラマの気持ちに入れることと、旋律や言葉の運びを確かめることは、両方必要だったのです。

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ディナーショーで、もう一度歌の基礎を固める
2021年の取材で、酒井法子は、ここ7、8年ほどディナーショーに出演する中で、もっとしっかり歌いたいという気持ちが強くなったと話しています。
その思いから、ボイストレーニングを再び始めました。
基礎を固めると、それまで出なかった音や声が出ることがあったといいます。
本人が面白いと感じていたのは、学び直すことで、できることが増えることでした。
歌う機会が続いているからこそ、舞台でよりしっかり届けたいという思いが、改めて練習へ向かわせていました。
2019年にも、歌のレッスンを日常的に受け、ボーカルトレーナーに教わっていると語っていました。
家では大きな声を出せないため、カラオケルームを発声練習の場所にしていたそうです。
歌を楽しむために出かけるというより、レッスンをする時間として使っていました。
代表曲を歌い続ける仕事と、声を確かめ、整えるための練習。
その二つを持ち続ける中で、2021年には、今の自分の歌い方を作品として出す機会が訪れます。
2021年、今の酒井法子を出すために歌い方も変える
『碧いうさぎ2021』の制作で、スタッフから希望を尋ねられた酒井法子は、少し色っぽくするかという案も出したそうです。
曲の印象をどう変えるか、本人も考えを出していたのです。
その中で話の中心になったのは、現在の本人をどう出すかでした。
気取ったり飾ったりせず、曲の背景を大きく替えて、しっかり歌ってみる。
その提案に本人も賛成しました。
新しい版は、ラテンの色合いを持つアレンジになりました。
そして本人は、伴奏が変わっただけでなく、歌い方も変えたと明言しています。
スポニチの取材記事でも、新しい歌唱は力強く、スタイリッシュなものと評されています。
1995年のドラマと結びついた切ない印象に、現在の歌手の姿を重ねる。
親しまれた歌をもう一度同じ形で残すよりも、今の声を違った伴奏の中へ置き、歌い方も選び直す制作でした。
基礎練習でできることが増えたという本人の手応えと、現在の姿を出したいという制作側の提案が、同じ時期に語られています。
2021年10月24日の『プロデューサーK』第4弾の上映会では、この新しい版を観客の前で初披露しました。
ラテン調の曲に合わせて踊り、歌う姿も伝えられています。
そこで本人が語ったのは、年月を経て、前向きな曲になったという実感でした。
『碧いうさぎ』は、聴く人にとって懐かしい曲でありながら、歌う本人にとっては、今の自分を出せる曲にもなっていました。

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2023年『Funny JANE』、歌いやすい曲からさらに表現を広げる
2023年のベストアルバム『Premium Best』では、ビクターから新曲の提案を受けました。
ここで酒井が希望したのは、ステージで観客が盛り上がれる歌でした。
『碧いうさぎ』をはじめ、しっとりした曲は自分でも歌いやすく、好きなものが多い。
そのため、ディナーショーの曲順を組むと、座ってゆっくり聴いてもらう歌に寄りがちだったそうです。
そこで求めたのは、10代の頃の弾けた曲とも違う、大人の格好よさとリズムに乗れる魅力でした。
本人は映画『バーレスク』の華やかなショーにひかれ、ダンスを習い、その要素を少しずつ自分のステージにも取り入れていました。
新曲でも、尊敬するダンサーたちが振りを付けたくなるような、一緒に表現できる曲を望んでいたのです。
歌いやすい曲の蓄積があるうえで、観客に届けるショーの表情を増やそうとしていました。
こうして選んだ『Funny JANE』は、本人が初めから歌いこなせる曲ではありませんでした。
作曲の伊澤一葉から複数の案が出され、最後まで検討して選んだ曲でしたが、言葉が詰まった譜面を見ても、詞が音符にうまく収まらなかったといいます。
希望した新しさが、そのまま、歌い方を覚える新しい課題になっていたのです。
仮歌も自分で歌うため、先に歌った人の手本に頼ることもできませんでした。
そこで、コーラスを担当する堀望美と、ボイストレーニングの先生に相談します。
二人から届いた、リズムの乗りを生かすデモと譜面に忠実なデモを聴き、自分なりに受け止めて、やり取りを重ねました。
その過程で、どう歌えばよいのかが見えてきたと話しています。
歌える声が増えることに手応えを感じた2021年から、2023年には、まだつかめない歌い方にも取り組む。
歌を学ぶ取り組みは、新しい曲を前に人の助けを借り、自分の表現を探す場面にも続いていました。
制作後にステージでの披露を尋ねられると、本人は、曲自体に力があるため、あまり気張らず、作り込みすぎずに歌ってもよいのではないかと考えていました。
十分に準備したうえで、曲の持つ力を信じて歌おうとしていたのです。
1995年のドラマの感情を大切にしながら、同じ曲を現在の声で歌い直した『碧いうさぎ2021』。
そして、得意な選曲から一歩広げ、歌い方を学ぶところから挑んだ『Funny JANE』。
酒井法子の歌唱には、親しまれた曲を守ることと、新しい自分を出すために準備を重ねることが、ともに表れています。
長く歌う人の変化は、過去の声との差だけでなく、次に何を歌えるようになりたいかにも見つけられるのです。
高音のサビや、新しい曲での声と言葉の扱いは、酒井法子の歌い方で取り上げています。

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