miwaの高音は地声?地声と裏声の境目が消える歌い方・発声を分析

miwaの地声と裏声の境目が消える歌い方を分析する記事のアイキャッチ miwa

miwaさんは、自分の高音が地声なのか裏声なのかを聞かれても、はっきり答えられないそうです。
知識がないからではありません。
歌っている本人にも、声が切り替わった感覚がほとんどないからです。

これは、miwaさんの歌声を考えるうえで、とても興味深い話です。
「ヒカリへ」のような高い曲を歌っても、低い声から別人のような裏声へ飛んだ印象が薄い。
細く軽い声のまま、地声と裏声の間をすり抜けていきます。

ただし、最初から何でも楽に歌えたわけではありません。
もともとの境目が曖昧な声を守りながら、ライブで必要な音量と強さを後から足してきました。
miwaさんの歌い方は、強い地声を高音まで押し上げた物語ではなく、「切り替わらない声」を壊さずに大きくした物語です。

地声か裏声かを、本人にも決められない

歌声について専門家と話した際、miwaさんは高いフレーズを地声で歌っているのか、裏声で歌っているのかと尋ねられました。
返ってきたのは、自分でも分からないという答えでした。

普通は音が上がる途中で、声がひっくり返ったり、急に軽くなったりします。
その変化が分かりやすければ、「ここまでは地声」「ここからは裏声」と本人も区別できます。

ところがmiwaさんは、以前から地声と裏声の境目がないと言われてきました。
本人の感覚では、低い場所から高い場所まで同じ声の延長です。

だから外から聞く人の説明も割れます。
あるボイストレーナーはミックスボイスと捉え、別の指導者は力のある地声を中心に説明しています。
片方が間違いというより、「どちらか一方」と決めにくい声を、それぞれ別の地点から見ているのでしょう。

ミックスボイスと裏声の違いを知っていても迷うのは、声がスイッチのように二つへ分かれているとは限らないからです。
miwaさん自身の証言は、その連続性をよく表しています。

「境目がない」のは、高音だけの特殊能力ではない

本人は、子どものころの声を若い頃のマイケル・ジャクソンに例えられたことがあると話しています。
少しかすれた軽い声で、普段の声そのものが地声と裏声の中間に近かったようです。

ここが、太い話し声を持つ人との大きな違いです。
重い地声から高音へ向かう人は、途中で声の重量を減らす作業が必要になります。
miwaさんは最初から軽い場所にいるため、大きな荷物を下ろすような切り替えが目立ちません。

その代わり、軽さには別の課題があります。
音程は上がれても、広い会場で声が小さく感じられたり、感情を強く出した時に細さが目立ったりします。

つまり、miwaさんにとって難しかったのは高い音へ到達することだけではありません。
つながっている声を、つながったまま遠くへ届けることでした。

「ヒカリへ」の高音は、前へ押すほど遠ざかる

「ヒカリへ」を歌う際、miwaさんは声を客席へ押し出すより、自分の後方へ引くような感覚を使うと説明しています。
前へ届けようと力むと、喉が閉じてしまうからです。

言葉だけを聞くと、声を小さくする方法のように思えます。
実際は反対で、息の流れを止めずに声を保つための考え方です。
力で飛ばすのではなく、息が通る経路を残した結果として声が前へ届きます。

高音で苦しくなる人は、遠くへ届けようとした瞬間に顎を上げ、首まで前へ出しがちです。
miwaさんの話が面白いのは、「もっと前へ」という直感と逆の方向を選んでいる点にあります。

見た目の細さだけを真似して声量を落としても、この状態には近づきません。
大切なのは、弱々しくすることではなく、息が音へ変わる流れを力で遮らないことです。

2018〜2019年、つながる声に強さを足し始めた

現在の声について語るmiwa

デビュー当初から境目の少ない声を持っていた一方、ライブではもっと音量を出し、感情のエネルギーを伝えたいという思いが強くなりました。
そこで2018年から2019年ごろ、ベルティングと呼ばれる力強い歌唱へ近づくトレーニングを始めます。

ここで声を作り直さなかったことが重要です。
太い地声へ交換するのではなく、もともと持っていた軽くつながる声へ芯を足そうとしました。

2019年の「リブート」では、中音域をしっかり収められるマイクを選び、Aメロとサビの差も意識的に大きくしています。
淡々と進む部分から、サビで感情を解放する構成です。

初期のmiwaさんを「透明で細い声」とだけ覚えていると、この時期の変化は別の歌い方に見えます。
しかし実際には、境目のなさを捨てたのではありません。
同じ滑らかな声へ、ライブで折れない強度を加えています。

息が多い声と、息を音に変えられる声は違う

ギターを弾きながら歌うmiwa

miwaさんの声は軽く聞こえるため、息をたくさん漏らせば似ると思われがちです。
ところが専門家との対話では、息がただ外へ逃げているのではなく、音へ変換されている点が特徴として語られています。

息漏れが多いだけなら、音量を上げた時に声の輪郭が消えやすくなります。
miwaさんの場合は柔らかさを残しながら、言葉の中心が聞こえます。
本人たちが「クリーミー」と表現したのは、息と声が分離せず、一つの質感になっているからです。

高音が細い原因を考える時も、太い声を足せば必ず解決するわけではありません。
息を減らしすぎればmiwaさんらしい軽さが消え、増やしすぎれば音の芯がなくなります。

細さと弱さを同じものとして扱わないこと。
それが、miwaさんの歌声から分かる大切な違いです。

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真似するなら、高い声より「切り替えを見せない」考え方

miwaさんの声質は生まれ持った部分が大きく、同じ声そのものを作ることはできません。
特に、喉を細くして高くかわいい声を作る方法は、表面が似ても負担が増えやすいため避けた方がよいでしょう。

参考にできるのは、高音へ入る直前だけ別の人格にならないことです。
直前の言葉から急に大声へ変えず、同じ母音、同じ息の流れ、同じ距離感のまま音程だけを上げていく。
その発想なら、自分の声質を残したまま境目を小さくできます。

幾田りらさんの歌い方にも、軽い高音と明瞭な言葉を両立させる面白さがあります。
ただし、幾田りらさんが曲によって地声の強さと透明感を切り替えるのに対し、miwaさんは話し声の段階から中間にいるような連続性が目立ちます。

二人を同じ「透明感のある女性ボーカル」でまとめず、どこから高音へ出発しているかを見ると、歌い方の違いが分かりやすくなります。

まとめ

miwaさんの高音は、地声か裏声かという二択では捉えにくい声です。
本人にも切り替わった感覚が薄く、普段の声がもともと両者の中間に近いと語っています。

「ヒカリへ」で高音が滑らかに聞こえるのは、太い地声を力で持ち上げているからではありません。
軽くつながる声を土台にし、息の流れを止めず、必要な強さだけを後から加えているからです。

2018年から2019年ごろには、ライブで感情と音量を届けるために力強い歌唱も学びました。
それでも声を別物へ交換せず、境目のなさを残したまま芯を増やしています。

miwaさんの歌声の魅力は、派手な切り替え技術を見せることではありません。
地声と裏声という二つの部屋の間に、最初から廊下のような声があることです。

その声がデビュー時の素朴な弾き語りから、力強いライブボーカルへどう変わったのかは、miwaさんの歌唱変遷で時代順にたどります。

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