リリー/LILYの歌い方|高音の強さと、途中の音まで歌うための課題

Teen Vogueの2026年7月公開取材に掲載されたリリー/LILY(JYP Entertainment提供) シンガー
Teen Vogueの2026年7月公開取材に掲載されたリリー/LILY(JYP Entertainment提供)

リリーは、超高音より中高音のほうに難しさを感じると話しています。
練習生時代から、高音を中心に多く練習してきたためだという、本人の説明でした。
高い声が印象的な歌い手の話として、この言葉は、歌い方を考える大切な手がかりになります。

「High Horse」―2025年公開の公式Stage Practice映像

一番高い音と、その途中の音を分けて考える

2024年の「DASH」期のStar Newsの取材で、リリーが説明したのは、自分の練習の積み重ねと、難しく感じる音の高さとの関係です。
高音をたくさん練習してきたからこそ、本人にとっては、中高音へ取り組むことが課題として残っていました。

「DASH」―2024年発表曲の公式MV

この説明を手がかりにすると、歌を一番高い音だけで判断しない聴き方ができます。
その音へ向かう途中に、どんな言葉があるか。
どのくらいの長さで、その高さの歌が続くか。
一つの音へ到達することと、前後を含めてフレーズを歌うことを、分けて確かめられます。

リリーの発言が伝えるのは、出せる一番高い音だけでは、その歌手が曲のどこで苦労するかまでは分からないということです。

「High Horse」は、技術と感情を短い時間へ込める

2025年の「High Horse」について、リリーはIZMの取材で、技術と感情表現を短い時間で見せることが難しかったと話しています。
同じ取材でキュジンも、この曲の録音では、発音や発声、一節ごとに細かな基準があったと説明しました。

音程と言葉、表情を一緒に整えることが、曲を仕上げる作業になっていました。
短いフレーズの中で、言葉をどう置き、どんな気持ちを表すか。
録音では、それぞれの細部まで確かめる必要がありました。

この曲を聴く時には、強い高音が来るところと、その前後の一節を、続けて追ってみるとよいでしょう。
高音で受け取った印象が、前の言葉からどうつながっていたかを考える。
本人たちが語る細かな作業を、完成した歌からたどるための見方です。

歌と振り付けの両方で、一曲の気持ちを表す

「High Horse」は、歌いながら踊ることまで含めて考えられた曲です。
IZMで難しい振り付けを選んだ理由を問われたリリーは、歌詞の主題に合わせ、自分たちの力をすべて表そうとしたと説明しています。
歌を強調するために踊りをなくすよりも、両方の魅力を生かす曲を求めていました。

音源では声を追いやすく、ステージでは、同じ言葉が動きや表情とともに届きます。
リリーが長い音を歌っている時、ほかのメンバーはどんな動きでその場面を支えているか。
声だけを一人ずつ切り取る時とは違う、一曲全体の表現を見つけられます。

高音が得意だから、踊りながらでも何も考えずに歌えるという話ではありません。
短い時間に技術と感情を収める録音の課題を、今度は身体の動きと一緒に成立させる。
「High Horse」の難しさには、歌とダンスを別々に終わらせないという選択も含まれています。

「KNOW ABOUT ME」では、違う雰囲気にも声を合わせる

「KNOW ABOUT ME」については、The Hollywood Reporterの取材で、それまでの曲とは少し違うところがあると、リリー自身も認めています。
そのうえで、グループとして自然に変化へ適応できたと話しました。
本人は、この曲のトラップのビート、R&B、ポップスを組み合わせたスタイルが、好きなジャンルに当たるとも説明しています。

「KNOW ABOUT ME」―2025年発表曲の公式MV

同時期のThe Knockturnalでは、ヘウォンが、先行曲と表題曲の異なる雰囲気によって、力強く表情豊かな歌と、抑制した繊細な歌の両方を示せたと話しています。
グループの中にいるリリーの声も、そうした曲ごとの選択の中にあります。
どの曲も最大の強さで歌うことが、NMIXXらしさの条件ではありませんでした。

リリー自身も同じ取材で、新しい音やスタイルへ挑戦しながら、NMIXXの個性を曲に残したいと説明しています。
「KNOW ABOUT ME」の少し落ち着いた雰囲気は、得意な高音を忘れることではなく、持っている声を別の形で使う機会と捉えられます。
勢いを出す場面と抑える場面を続けて聴くと、その選択が見えやすくなります。

Teen Vogueの2026年7月公開取材に掲載されたリリー/LILY(手前/JYP Entertainment提供)
Teen Vogueの2026年7月公開取材に掲載されたリリー/LILY(手前/JYP Entertainment提供)。
画像出典:写真掲載元

同じ歌手の声でも、曲が変われば、聞かせたい印象も変わります。
「High Horse」での技術と感情の凝縮を受け取り、続いて「KNOW ABOUT ME」で、言葉や声の印象がどう変わるかを確かめる。
一つの曲の高音を目印にするだけでなく、異なる曲へ声を置く歌い手の選択を考える聴き方です。

「Crescendo」では、声が重なるサビにも注目する

2026年の「Crescendo」には、一人の高音を追うだけでは捉えられない聴きどころがあります。
Rolling Stone Koreaの取材では、サビのハーモニーによって、メンバーそれぞれの声の特徴が表れる曲として紹介されました。
リリーも、デモを聴いた時からメンバーが気に入り、その魅力を生かすために振り付けとMVも作ったと説明しています。

一つの声が前へ出る時と、複数の声が重なる時では、歌の聞き方も変わります。
リリーの声を目印にしつつ、周囲の声と合わさった響きへも意識を移してみる。
声の力を、ほかの人との関係の中で感じられる場面です。

「High Horse」で一節の表現に注目した後に、こちらではサビ全体の響きを追う。
そうして聴く範囲を広げると、強い声を持つリリーが、グループの歌の中で果たす役割にも目が向きます。
一人で出せる音の高さと、声が重なることで生まれる広がりは、どちらも歌を楽しむ手がかりです。

客席の反応から、曲の魅力を受け取り直す

リリーにとって、歌の魅力は録音した時点で固定されるものでもありません。
2024年のDazedの取材では、「DASH」への好反応が曲への思いを強めたことや、ファンの声を受けて「Break The Wall」を聴き直し、良さを改めて感じたことを話しています。
舞台から見える反応も、自分がその歌をどう受け取るかに関わっていました。

難しい音を歌えたかという達成感と、客席に何が伝わったかを知る喜び。
その両方を考える歌い手として見ると、リリーの高音は、曲を人へ届ける表現の一部になります。
声の強さだけでなく、前後の言葉や重なる声まで聴くことで、その表現をより広く受け取れます。

リリーの歌い方を捉えるには、高音の力、途中の高さを歌う課題、一節の中へ技術と感情を込める作業を、一緒に見ていくことが役立ちます。
声を磨きながら、録音や舞台への向き合い方も広がった歩みは、リリー/LILYの歌唱変遷でたどっています。

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