櫻井ももの歌声はどう変わった?ハーモニーを担う声から、初センターと歌い分けへ

「想わせぶりっこ」の2023年公開取材に登場した櫻井もも(撮影:中村功) シンガー
「想わせぶりっこ」の2023年公開取材に登場した櫻井もも(撮影:中村功)

≠MEの櫻井ももは、かわいらしい自分の声を大切にしながら、その声で担う役割を広げてきました。
冨田菜々風と重ねるハーモニー、初めて任された歌い出し、対照的な曲で意識して変える歌い方。
その積み重ねは、2026年に始まった冠番組「≠ME 櫻井ももの 夢カラセッション♪」へと続いています。

「桃色デイブレイク」2024年・横浜アリーナ公演。

『「君の音だったんだ」』で、二人の声を重ねる

櫻井の歌で早くから大切にされていたのが、『「君の音だったんだ」』の終盤で冨田菜々風と歌うハーモニーです。
2022年の音楽ナタリーの取材で、蟹沢萌子は、この曲がグループとして初めてライブでハーモニーに挑戦した曲だったと振り返っています。

『「君の音だったんだ」』公式MV。

櫻井の休養中、そのパートを担当した蟹沢は、櫻井の声だけを抜き出した音源を受け取り、何度も聴いて練習したと話しました。
音を一人で歌えることに加え、もう一人の声と重なった時に、曲の中でどんな役割を果たすか。
メンバーが大切に受け継ごうとした歌からは、櫻井の声がグループの響きを作る一部になっていたことが分かります。

2022年、「桃色デイブレイク」で初めて歌い出しを任される

2022年11月、櫻井が初めてセンターを務める「桃色デイブレイク」が発表されます。
5枚目のシングル「はにかみショート」のカップリング曲で、11月20日の広島公演で初披露されました。
グループの歌を支える声が、曲の始まりから印象を作る役割も担うことになります。

「桃色デイブレイク」で初センターを務めた、2022年公開写真の櫻井もも
「桃色デイブレイク」で初センターを務めた、2022年公開写真の櫻井もも。
画像出典:画像掲載元

「桃色デイブレイク」公式MV。

初披露に寄せたコメントで、本人は、歌い出しを初めて担当したことにも注目してほしいと伝えました。
新しい曲調でメンバーの声をかっこよく感じ、自分も新鮮な気持ちで楽しめた一方、難しい曲としても受け止めていました。
初センターの喜びだけでなく、この曲を通して成長を見せたいという思いがあったのです。

初披露では強い緊張もあった一方、客席がペンライトをピンク色へ変えてくれたことに、一体感を感じたと振り返っています。
歌い出しを一人で任される責任と、それを迎えてくれる客席。
新しい役割を引き受けた経験には、その両方がありました。

かわいさを大切にする本人が、黒を基調にした衣装で、強さのある曲を先頭に立って歌う。
「桃色デイブレイク」は、櫻井の歌を一つのイメージに収めず、違う面を見せる機会になりました。

同年12月のENTAME nextの取材で、櫻井自身も、カラオケでは毎回自分の歌を録音して聴き、直すところを研究していると話しています。
自分の声をかわいいと思える気持ちと、その歌を聴き返して直す習慣。
本人の中では、その二つが一緒にありました。

その取材で、歌を褒められることについて聞かれた櫻井は、歌だけでなく、パフォーマンスやかわいさも含めて、できることをすべて見せたいと答えています。
歌の力を伸ばすことは、理想のアイドルへ近づくための取り組みでもありました。

2023年、対照的な曲を続けて歌う

2023年には、「天使は何処へ」から「想わせぶりっこ」へと、グループが見せる表情も大きく変わります。

「天使は何処へ」公式MV。

「想わせぶりっこ」のencoreの取材で、櫻井は、前作と正反対のような曲だからこそ、歌い方も意識して変えたと説明しました。
どんな曲でもできるグループでありたいという思いを、歌声でも形にしようとしていました。

「想わせぶりっこ」公式MV。

同年末の「アンチコンフィチュール」では、その作業が短いフレーズの中にも及びます。
櫻井はこの曲を、甘さと暗さの両方が必要な曲だと捉えていました。
かっこいい曲とかわいい曲を経験したあと、今度は一曲の中で異なる面を見せる機会になったのです。
本人は、自分の担当部分について、感情の面でも技術の面でもスタッフと相談し、いろいろな歌い方でテイクを重ねたと話しました。

「アンチコンフィチュール」公式MV。

曲ごとの違いを意識し、さらに一つのフレーズの表情を詰めていく。
櫻井が取材で語った録音の過程には、歌い分けを具体的に作る姿が表れています。

2024年、青春の歌に込める気持ちと、育ててきたセンター曲

2024年のアルバム『Springtime In You』では、リード曲「ラストチャンス、ラストダンス」を歌います。
ウォーカープラスの取材で櫻井が喜んでいたのは、輝くような曲調と切ない歌詞を持つ曲を、結成五年を経た今のメンバーで歌えることでした。
笑顔で歌うかわいらしさの中に、切ない気持ちも含めて届ける曲です。

その録音を支える工夫も、encoreで具体的に語られています。
櫻井は、歌詞カードから目を離し、目の前に歌の場面があるように想像すると、よいテイクが録れると説明しました。
この曲でも、一番のサビへ向かって感情が大きくなる担当部分で、その方法を使っています。
曲調に合わせて歌い方を変えることに加え、短い一節の中で、どんな場面を生きるかも考えていました。

「ラストチャンス、ラストダンス」公式MV(2024年)。

同年の横浜アリーナ公演では、初センター曲だった「桃色デイブレイク」も歌っています。
BUBKA Webの記名コラムでジョックロックは、その歌を、暗い曲の世界に合わせ、以前より芯の太い声になったように感じたと評しました。
一公演での印象を記した評価ですが、初披露から歌い続けた曲にも、新しい表現が受け取られていたのです。
新曲へ挑むことと、すでに任された曲を育てることが、同時に進んでいました。

2025年、「モブノデレラ」で広い音域の曲を歌い継ぐ

2025年の「モブノデレラ」では、複数の声で歌い継ぐ力が、作り手からも評価されました。
作曲に関わった杉山勝彦は、CINRAの取材で、この曲は音域が広く、その良さを残して制作したと話しています。

「モブノデレラ」公式MV。

特に最後の転調したサビでは、櫻井、蟹沢、冨田の三人が順番にソロを担当していることに感心したといいます。
低い部分には低音を歌えるメンバーを配し、全員でつなぐことで曲を歌い切る。
杉山は、そうしたグループの歌唱も含めて評価していました。

冨田と声を重ねてきた櫻井は、ここでは三人のソロの一人として、曲の山場をつないでいます。
ハーモニー、歌い出し、そして次の歌い手へ渡すソロ。
曲の中で任される仕事の違いからも、歌の歩みをたどれます。

テレビで歌声を届け、2026年には自分の名を冠した番組へ

グループの外でも歌声が知られる機会が増えます。
2025年9月には「千鳥の鬼レンチャン」の「サビだけカラオケ」に初登場し、十曲連続の成功を達成しました。
これを記念して、前年の横浜アリーナで歌った「桃色デイブレイク」の公式ライブ映像も公開されています。
テレビで声を知った人が、グループの中で歌う櫻井へたどれる機会にもなりました。

2026年10月、BS日テレで「≠ME 櫻井ももの 夢カラセッション♪」が始まりました。
歌を得意とするゲストを迎え、公開収録で歌唱セッションを行う番組です。
グループの曲で磨いてきた歌を、異なる歌い手と交わす場が新たに加わりました。

2026年10月に公式プロフィールで掲載されている櫻井もも
2026年10月に公式プロフィールで掲載されている櫻井もも。
画像出典:画像掲載元

櫻井は自分の声を大切にしながら、重ねる、曲を始める、違う表情を作る、ほかの歌い手へつなぐという役割を増やしてきました。
「桃色デイブレイク」の歌い出しと、「モブノデレラ」の終盤を続けて聴けば、声が曲の中で何を任されているかという視点でも、櫻井の歌を楽しめます。

短いフレーズで試した歌い方や、吐息を交えた声の表情は、櫻井ももの歌い方で掘り下げています。

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