Raychell(RAISE A SUILEN)の歌い方|ミックスとファルセット、強い声を支える準備

Raychell(2025年のアニメイトタイムズ取材写真) Raychell
Raychell(2025年のアニメイトタイムズ取材写真)

Raychell(RAISE A SUILEN)の歌い方には、曲や言葉に合わせて、使う声を細かく選ぶ特徴があります。
「Big Wave」のミックス、「Sacred world」のファルセットとブレス、そして強い歌を支える声と身体の準備。
本人の説明から、その発声の考え方を見ていきます。

「Big Wave」公式配信音源(2022年、ソロアルバム『DON'T GIVE UP!』収録)。

「Big Wave」では、英語の響きに合わせてミックスを選ぶ

ソロ曲「Big Wave」について、Raychellは、ミックスを使って張る部分が多いと説明しています。
本人が「自声」と呼ぶ歌い方では英語の言葉が硬くなり、ミックスでは韻や柔らかさが出しやすかったという説明です。

この曲では、言葉がどんな響きで届くかも、声を選ぶ基準になっています。
2022年のソロアルバム『DON'T GIVE UP!』に収録され、本人も、その制作で新しいロックの歌い方を学んだと振り返っています。

同曲の最後のサビには、録音の現場で求められて試したフェイクも採用されました。
ここでいうフェイクは、旋律に装飾や歌い回しの変化を加える表現です。
曲の声を決めたうえで、その場のやりとりから生まれる表情も取り込んでいました。

英語の歌は、言葉として読むところから準備する

「All for Love」の英語版では、日本語で歌うときの歌詞のニュアンスを、英語でも保つことが難しかったと話しています。
発音の指導を受け、録音前には先生と、歌わずに英語の歌詞を読み上げる練習も重ねました。
同じメロディーでも、言葉が変われば、そのまま同じ感覚では歌えなかったのです。

英語を発音できることと、曲の感情を保って歌えることを、一緒に整える作業です。
「Big Wave」でミックスを選んだ理由にも、言葉の響きや柔らかさがありました。
Raychellが声を選ぶときは、高い音が出るかだけでなく、その声で言葉がどう聞こえるかも大事な基準になっています。

「Sacred world」では、ファルセットとブレスを細かく取り入れる

2020年の「Sacred world」では、ファルセットを細かく使い、ブレスも多く取り入れたと話しています。
強さの中に美しさや繊細さもある曲として、それまでのRASとは違う歌の表情を作っていました。

「Sacred world」公式配信音源(2020年のシングル収録版)。

この話から分かるのは、声の強さと、繊細な表情を付ける方法の両方を持っていることです。
曲の求めるものに合わせて、ファルセットやブレスの使い方も選んでいます。

レイヤを演じる経験から、声の細部を学ぶ

Raychellは、アフレコで学んだ声の出し方や音の抜き方を、歌にも取り入れたと説明しています。
レイヤを演じる際には、声の高さや張り方について指導を受け、画面の中の人物の性格やニュアンスを声で表す難しさを感じていました。
最初から自分の歌声をそのまま当てはめればよかったわけではありません。

Raychell(2025年のアニメイトタイムズ取材写真)
Raychell(2025年のアニメイトタイムズ取材写真)。
画像出典:画像掲載元

完成したアニメを見て表情を知り、次の収録では別の表現を試そうと考えることもあったそうです。
話が進む中でキャラクターの新しい感情が見え、場面に応じて声の出し方も変わっていきました。
演技で学んだ声の細部が、歌うときの表現にもつながっているのです。

本人はもともとR&Bやバラードを歌っており、何でも歌いこなすプロとして描かれるレイヤに負けないよう取り組んだとも話しています。
得意な歌を続けるだけでなく、役の歌い手として求められるものを、自分の歌でも実現しようとしていました。
その経験を踏まえると、「Sacred world」で強さに美しさや繊細さを加えたという説明も、表現を選び直す具体的な例として捉えられます。

2020年の舞台では、演技、生歌唱、生演奏が、アニメ映像とも連動する形で進みました。
Raychellは、演出家と相談しながら、映像や音に合わせて細かなタイミングを調整したことを振り返っています。
声で場面を表すことに加え、その場面から歌へ入る流れも、共演者や演出と一緒に整えていました。

一公演の中には劇中の演奏とライブパートがあり、ライブパートの曲は日替わりでした。
役として場面を生きることと、歌い手として曲を届けることが近くにある経験です。
演技で得た声の使い方を歌に生かすという本人の説明にも、こうした実演の背景があります。

声を切り替える準備と、身体の軸を大切にする

2021年の取材では、ウォームアップの話題で、地声から高いミックスやファルセットへ移る部分の調整に触れ、自分も同様の準備をしていると話しています。
曲で使う声の違いを、歌う前から意識していることが分かります。

また本人は、身体のバランスが変わると発声にも影響を感じ、頭の位置が前に来ると高音が出しづらいことがあると説明しています。
身体の軸を保つことも、パワフルに歌うために大切にしていました。

曲の中で使う声にも、新しい選択肢があります。
2022年の「CORUSCATE -DNA-」では、それまでのRASとは違うハイトーンを使ったと語っていました。

「CORUSCATE -DNA-」公式配信音源(2022年のシングル収録版)。

高いキーを生かす曲と、仲間へ優しく語る曲

2025年の「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」では、提供元のFear, and Loathing in Las VegasのSoに合わせた高いキーに挑んでいます。
事前には、対応が難しければメロディーを変える案もありましたが、実際には変更せず録音しました。
Raychell自身も、最後のサビの高さを聴きどころに挙げています。

一方、同じシングルに入る「FIVE as ONE」では、仲間と夜空を見ながら思いを伝えるような気持ちで歌ったと説明しました。
グループでの合宿を描くゲーム内の物語に沿い、メンバーへの愛情を届ける歌です。
共に活動する紡木吏佐も、激しい曲と対照的な、この歌声の幅を魅力に挙げていました。

二曲で違うのは、曲の高さや勢いに加え、誰へ、どんな気持ちを届けるかです。
高い声を前へ出すことが曲を動かす場合もあれば、そばにいる仲間へ思いを伝えるように歌う場合もある。
Raychellの強い声を考えるときにも、こうした優しい歌と合わせることで、使い分けの意味が見えてきます。

「Big Wave」で言葉のためにミックスを選ぶことと、「FIVE as ONE」で相手を思い浮かべることは、別の方向から歌を整える工夫です。
声の出し方と歌う気持ちの両方を、曲の中で結びつけているのでしょう。

言葉に合わせてミックスを選び、ファルセットやブレスで表情を付け、声の切り替えや身体の軸も整えて歌に向かう。
Raychellの歌い方には、曲の表現と、それを届けるための準備が重なっています。
作品ごとに声の選択肢を広げてきた流れは、Raychellの歌唱変遷でたどれます。

シンガー人気投票。投票ページはこちら

こちらの記事もおすすめ

コメント

タイトルとURLをコピーしました