佐野愛花(CUTIE STREET)の歌い方|自分には鋭く感じる声が、明るく届くとき

佐野愛花(2025年7月公開のソロインタビュー掲載写真/写真:篠田理恵) シンガー
佐野愛花(2025年7月公開のソロインタビュー掲載写真/写真:篠田理恵)

佐野愛花(CUTIE STREET)は、自分の声をあまり好きではないと話したことがあります。
自分には鋭く聞こえる一方で、ファンからは、その声を聞くと明るい気持ちになると言ってもらえる。
この受け取り方の違いには、彼女の歌声の魅力を考える手がかりがあります。

CUTIE STREET「キュートなキューたい」公式MV(2026年)。

本人が語る、声の鋭さと明るさ

2025年のソロインタビューで佐野は、自分の声が甲高く聞こえることを気にしながらも、聴く人には明るく、はっきり届いているのかもしれないと話しています。
本人が気になる響きを、聴き手は前向きな印象として受け取ることもあるのです。

THE FIRST TIMESのグループ紹介でも、佐野の歌声は、芯の強さと感情の伝わりやすさを併せ持つものとして紹介されています。
本人の話と合わせると、声の輪郭がはっきりしていることと、明るい気持ちが伝わることを、一緒に考えられます。

舞台で培った、言葉を相手へ届ける感覚

佐野は、歌詞を書いた人の意図や、自分たちの気持ちが伝わることを大切にしています。
木村ミサら制作側からも、歌の感情が伝わりやすいと言われるそうです。
舞台で言葉を表現してきた経験が、歌にも生きているのではないかと本人は考えていました。

舞台の芝居とアイドルのライブの違いについては、客席との関係を挙げています。
アイドルの公演では、ファンの声援も含めて会場全体で成立することを、実際にステージへ立って感じたそうです。
歌詞の中にある感情を表すことと、その場の人へ届けることが、近くにある歌い方だと考えられます。

2025年には、以前よりリラックスしてパフォーマンスできるようになった一方、さらに歌を伸ばしたいとも話していました。
明るい声を持っているからそこで完成するのではなく、心に届く歌をもっと歌えるようになりたいと考えているのです。
声の個性を受け止めながら、届け方を磨く姿勢が見えてきます。

「ハッピー世界!」の短い言葉に感じる、話しかけるような声

「ハッピー世界!」では、2番のサビ前にある佐野の短いソロに注目する感想もあります。
ファンのかしこさんは、その一節の出だしだけで、笑顔で話しかけられたような気持ちになったと記しています。

これは一人の聴き手の感想ですが、声の明るさが、長く歌い上げる場面以外でも印象を残している例です。
歌とせりふの間にある短い言葉が、聴き手に向けた呼びかけのように届いているのでしょう。

短いパートは、曲全体の中ではすぐに次の人へ渡っていきます。
それでも、誰がこちらへ声をかけているのかが感じられると、一節の印象は残ります。
佐野が大切にする「届ける」という姿勢を、聴き手側から考える小さな例といえます。

CUTIE STREET「ハッピー世界!」公式ライブ映像(2025年9月9日、東京ガーデンシアター)。

「キュートなキューたい」では、サビの締めに青春のきらめきを込める

2026年の「キュートなキューたい」で、佐野は1番のサビの最後を担当しています。
テレビサイズでは曲を締める部分でもあり、録音では『ポケットモンスター』の世界に感じる青春のきらめきを歌に乗せたいと考えていました。

佐野はこの曲のサビを、青春を感じる爽やかなものとして受け止め、夢へ向かう人を励ます歌詞の魅力にも触れています。
自分の担当する締めの部分も、曲全体で届ける前向きな気持ちにつながっているのです。
短い担当部分にも、どんな気持ちを残したいかという意図があります。

テレビサイズの終わりを担うなら、その声は、聴き手が曲を受け取る最後の印象にも関わります。
どんな音が出るかだけでなく、歌い終えたところにどんな明るさを残すか。
本人の録音の話からは、一つのパートを曲の中で考えていることがわかります。

佐野愛花(2025年7月公開のソロインタビュー掲載写真/写真:篠田理恵)
佐野愛花(2025年7月公開のソロインタビュー掲載写真/写真:篠田理恵)。
画像出典:画像掲載元

「ナイスだね」は、曲の空気で客席を包み込む

川谷絵音が手がけた「ナイスだね」について、佐野は、今までのCUTIE STREETにはなかったタイプの曲だと感じたと話しています。
好きだった川谷の音楽に触れ、新しいグループの姿を見せられることを楽しみにしていました。

披露したときの反応にも、ほかの曲との違いを感じていたそうです。
声を出して盛り上がる曲が多い中で、この曲では客席が見入ってくれることがうれしく、曲の雰囲気で会場を包み込むようにしたいと考えていました。
歌の届き方を、声援の大きさだけで測っているわけではないのです。

明るく背中を押す歌と、客席がその空気に浸る歌。
どちらも聴き手へ向かう表現ですが、目指す反応は同じではありません。
佐野の明るさを、一種類の勢いのある歌へ結びつけすぎず、曲に合わせて何を届けようとしているかを見ることが大切でしょう。

少人数の「Crush on you」で、自分の表現に向き合う

2026年のユニット曲「Crush on you」では、大人っぽい世界観と難しいダンスに挑みました。
佐野は、人数が少ない分、一人ひとりへ視線が集まる場面が増え、自分の表現力と向き合う機会になったと説明しています。
皆で練習を重ねたというこの曲は、普段のグループとは違う見せ方を考える場でもありました。

少人数で表現を担うことは、一人の声や姿が曲に与える印象を考えるきっかけになります。
佐野の話で具体的に語られているのは、ダンスの難しさと、注目される場面への意識です。
歌を含むパフォーマンス全体を届けるうえで、自分の担当をどう見せるかという課題が増えていました。

2025年の全員インタビューでも佐野は、メンバーが立ち位置に関係なく自分の色を出せるようになってきたと話しています。
動きをそろえながら、それぞれの持ち味も見せる。
その中で佐野の声も、8人の曲を作る一つの個性として聴くことができます。

「ぷりきゅきゅ」では、リズムの覚えやすさを大切にする

韓国での活動について聞かれた佐野は、「ぷりきゅきゅ」のサビのリズムと振り付けを、耳に残る特徴として挙げました。
繰り返される短いフレーズは言語が違っても覚えやすく、その魅力を韓国でも届けたいと考えたそうです。

韓国でのライブについては、日本とは盛り上がるポイントが違うことにも驚いたと話しています。
同じグループの歌でも、客席から返ってくる反応には違いがあり、それを楽しんでいました。

歌詞の細かな意味が分からなくても、声のリズムが体に残り、次には一緒に楽しめることがあります。
この曲についての佐野の説明は、歌を届ける手段が、言葉の意味だけではないことを示しています。
感情を乗せる声、曲を締める一節、繰り返しで耳に残るリズムと、聴き手への入り口は曲ごとに違うのです。

本人が気にしている声の鋭さ、ファンが感じる明るさ、そして言葉に込めたい感情。
佐野愛花の歌を声の質感から見ていくと、その三つが重なるところに、人を前向きにする魅力が見えてきます。

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