ジョンホ(ATEEZ)の歌声の変遷|バラード向きと思っていた声が、ロックにも広がるまで

ATEEZ(ジョンホは右から3人目の眼鏡・青いスーツ/2023年の「i-D」掲載写真) シンガー
ATEEZ(ジョンホは右から3人目の眼鏡・青いスーツ/2023年の「i-D」掲載写真)

ATEEZのメインボーカル、ジョンホは、自分の声をR&Bバラード向きだと考えていました。
けれども、グループの音楽に取り組む中で、ロックにも合うと気づいていきます。
その先に待っていたのは、初めて聴き返した自分の声に、戸惑うほどの録音でした。

力のある高音で知られる歌手が、どんな声なら自分らしいのかを、制作陣と話し合う。
高校時代の停滞感から『THE WORLD EP.1 : MOVEMENT』での挑戦、ソロ曲「Everything」まで、声の可能性を確かめていった歩みをたどります。

高校時代、音域もスタイルも止まったように感じていた

2018年にデビューしたATEEZで高音を担うジョンホにも、歌の練習を続けながら、先へ進めないように感じた時期がありました。
2023年の取材で振り返っているのは、高校時代の経験です。
当時は音域や歌のスタイルが停滞していると感じていたものの、諦めずに努力を重ねた結果、自分の限界を越えられたと思う、と話しています。

その回想は、最初から完成した声を持っていたという話とは違います。
本人の記憶に残っているのは、伸びている実感を持てない時期にも、歌と向き合い続けたことでした。
同じ取材で、前年に頑張ったメンバーと、これからの成長に期待するメンバーを聞かれると、どちらにも自分を選んでいます。
冗談を交えた答えですが、努力を認めることと、さらにいい歌を聴かせたい気持ちが並んでいました。

ジョンホ(2023年のCanCam掲載写真)。
ジョンホ(2023年のCanCam掲載写真)。
画像出典:CanCam

「Wonderland」の高音を、舞台の表現へ組み込む

グループで歌うようになったジョンホには、ダンスと歌を一緒に成立させる課題もありました。
2022年の取材では、踊って息が切れると音程が外れることがあり、繰り返し練習することで、音程や発音の安定を保つ方法を学んだと説明しています。

その取材記事は、前年の「KINGDOM」で披露した「Wonderland」の終盤の高音が、ツアーにも残されたことを紹介していました。
ジョンホ自身も、番組での経験によってATEEZとしての個性が強まり、舞台を見る視野が広がったと振り返っています。
練習して得た歌の力を、身体の動きやグループ全体の見せ方の中で使う。
ここでは、声を舞台へ持っていくための経験が積み重なっています。

「Symphony No.9 “From The Wonderland”」(2021年「KINGDOM」でのパフォーマンス)。

「Turbulence」で、自分の気持ちが歌詞と重なった

2021年の「夜間飛行 (Turbulence)」では、別の手応えがありました。
2022年の取材でジョンホは、慰めてほしかった自分の気持ちが歌詞にあり、録音中に感情が込み上げたと話しています。
その感情が録音に残り、自分の話をしているように感じたそうです。

歌で人に感情を届け、通じ合いたい。
歌手を目指したときの気持ちを、改めて感じさせてくれた曲でした。
さらに、これから自分で作詞もしてみたいと思ったと振り返っています。
用意された言葉に自分の気持ちを見つけた経験が、今度は言葉を作る側への関心にもつながっていました。

「夜間飛行 (Turbulence)」(2021年)のMV。

R&Bバラードの声が、ロックにも合うと気づく

同じ取材で語っていたのが、自分の声とジャンルの関係です。
以前はR&Bバラード寄りの歌い手だと考えていましたが、ATEEZの音楽を歌う中で、ロックにも似合うと気づいたといいます。

自分が思っていた声の持ち味を、異なる曲調の中で確かめ直した経験だったのでしょう。

ジョンホ(2022年の「VOGUE KOREA」掲載写真)
ジョンホ(2022年の「VOGUE KOREA」掲載写真)。
画像出典:画像掲載元

『MOVEMENT』では、聴き慣れない自分の声に戸惑う

2022年の『THE WORLD EP.1 : MOVEMENT』では、その挑戦がもう一段進みます。
翌年の取材で、ジョンホは初めて音を聴き返したとき、不安があったと明かしています。
それまで試したことのない方法で声が使われ、自分の声色がどうなじむのか、気になったからでした。

そこで制作陣と話し合ったのは、新しいことを試しながら、ATEEZの曲として成立させ、自分の声色にも合う形にするにはどうすればよいか、ということです。
曲の新しさと、歌っている人の持ち味を、一緒に生かそうとしていました。
慣れた歌い方から離れる場面にも、本人と制作陣が相談する過程があったのです。

この作品を経験したことで、自信が増し、その後のアルバムではもっとよくしたいと思うようになったと話しています。
最初の戸惑いが、次の録音へ向かう意欲に変わった。
ロックにも合うと気づいた段階から、まだ聴いたことのない自分の声を、作品の中で試す段階へ進んでいました。

『THE WORLD EP.1 : MOVEMENT』(2022年)のアルバムプレビュー。

「Everything」で、一人の声と言葉を聴かせる

2023年の『THE WORLD EP.FIN : WILL』には、ジョンホのソロ曲「Everything」が収録されます。
本人も作詞に加わった曲で、MVは翌2024年に公開されました。
「Turbulence」で語っていた、歌う言葉を自分でも作りたいという関心が、ソロ作品のクレジットにも表れています。

この曲を取り上げた個人の音楽レビューでは、ピアノと声の柔らかな始まりから、サビ、終盤の力強い高音へ進む流れが評価されていました。
聴き手が受け取ったのは、強い声が出る瞬間だけでなく、そこへ至る感情の動きです。
一曲を一人で担うことで、静かな入り方も、熱を増す時間も、ジョンホの声でつながっていきます。

「Everything」のMV(2024年公開/音源は2023年の『THE WORLD EP.FIN : WILL』収録)。

高校時代の停滞感、動きながら歌う舞台、感情が込み上げた録音、聴き慣れない声への戸惑い。
それぞれの経験が、自分の歌をどこで、どう生かせるかを考える機会になってきました。
ジャンルを広げる挑戦と、一曲の感情を深める挑戦が、ジョンホの歩みでは重なっています。
ソロ曲の強弱やライブに向けた準備は、ジョンホ(ATEEZ)の歌い方で詳しく取り上げています。

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