BABYMONSTERのラミには、ヒップな曲を自分が歌えるのか心配していた時期があります。
練習生のころに多く歌っていたのは、バラードやR&B、ソウルでした。
グループの曲を歌い始めて初めて、その雰囲気も自分で表現できると気づいたのです。
その広がりをたどると、ソロ課題で自分の旋律を加えた経験や、仲間の録音を手伝う姿にも行き当たります。
歌の持ち味をどう増やし、七人の音楽へ持ち寄ってきたのか。
ハラムという名前で紹介された練習生時代から、2025年の初ワールドツアーまでを見ていきます。
2023年、ピアノ伴奏で見せた歌の出発点
ラミが最初に公開されたのは、2023年1月の「Let Me Love You」の歌唱でした。
当時の活動名はハラム、表記はHARAMです。
同年11月、メンバーが親しんでいた呼び名をもとにRAMIへ改名しました。
二つの名前で残る初期の記録は、同じ歌手の歩みにつながっています。
Marioの曲を歌うその場には、華やかな舞台装置よりも、ピアノと一人の声がありました。
強弱や細部の感情表現が早くから注目された歌唱です。
後にグループの強いビートを背負うようになるラミも、入口では、伴奏の少ない場で歌そのものの表情を見せていました。
この原点を知っておくと、デビュー後にバラードを歌う姿も自然につながります。
曲調を広げる前から、声に起伏をつけて一曲を運ぶことが彼女の土台にありました。
同年3月の紹介企画では、憧れの歌手にBLACKPINKのロゼを挙げています。
そのロゼから評価されたのも、声の魅力と、それを制御する力でした。
歌手として参考にする先輩がいて、自分の声をどう扱えているかを見てもらう場もある。
練習生時代のラミは、そうした具体的な応答の中で歌を育てていました。
カバーへ自分の旋律を加え、七人の歌を引っ張る
2023年4月のデビュー評価企画「Last Evaluation」では、Jazmine Sullivanの「Pick Up Your Feelings」に取り組みます。
ハラムはブリッジ部分の旋律と歌詞を自分で作っていました。
与えられた旋律を正確に歌うことに加え、曲の途中へ自分の表現を差し込んだのです。
ここには、歌唱と曲作りが接する面白さがあります。
カバーであっても、声の魅力を示す方法は原曲の再現だけとは限りません。
どんな旋律と言葉を置くかまで考えることが、この時点で歌の準備に含まれていました。

画像出典:画像掲載元
一方、七人で取り組んだ「Scars To Your Beautiful」の準備では、アヒョンの細かな助言とともに、ハラムが歌を引っ張っています。
初めて七人でハーモニーを作る課題では、個人の歌の完成度だけでなく、声を合わせて形にする力が必要でした。
ソロで自分の色を示す役割と、集団の中で歌の芯を担う役割。
デビュー前の段階で、その両方を経験していたことが後の制作につながって見えます。
2024年、得意なジャンルの外にも声の置き場所を見つける
2024年5月、ラミは練習生時代によく歌ったジャンルと、BABYMONSTERの曲の雰囲気の違いを振り返っています。
最初には不安があっても、実際に歌ってみると対応できたという発見でした。
得意な歌を捨てて別人になるのではなく、その声を新しい曲調で試した経験と捉えられます。
同じ時期の「LIKE THAT」では、録音ディレクションにも参加したと本人が明かしています。
憧れていたCharlie Puthから提供された曲に、歌う側としても、録音を作る側としても関わったのです。
自分のパートを仕上げることに加えて、曲をどんな歌にするかへ仕事の範囲が広がっています。
デビュー前のハーモニー作りと並べると、仲間と一つの歌を完成させる役割が続いています。
録音への参加も、グループの歌に自分の判断を持ち寄る一歩でした。
「FOREVER」で挑んだ、明るさと高音のエネルギー
2024年7月の「FOREVER」では、曲のムードを捉えることに力を注ぎました。
転調したあとの高い音には心配もあったとラミは話しています。
強く張る歌唱ではエネルギーを届けようとし、納得できる結果へ向けて何度も自分のパートを録り直しました。
届く音の高さに加え、明るく弾む作品の勢いを声で表すこと。
何度も録り直したという本人の言葉から、完成した音源までの試行錯誤が見えてきます。
同月末の「リムジンサービス」では、同じ「FOREVER」をピアノに合わせて一人で歌っています。
編成の違う場でも、甘さと力強さを一つの声に担わせる経験を重ねていました。
「DRIP」では、録り直す側から仲間へ伝える側へ
2024年11月発売のアルバム「DRIP」の制作でも、ラミは録音の細部に向き合いました。
2025年1月に公開された制作記録では、プロデューサーからのさまざまな指示に応えたあと、さらに良い結果を求めて翌日も録音室へ来たことが伝えられています。
一度できた歌を、そこで完成と決めずに見直していたのです。
その場ではチキータに順を追って助言し、実際に歌って示すこともしていました。
自分がどう歌うかを考える作業が、相手へ歌の形を伝える作業にもなっています。
「LIKE THAT」で語った録音への参加が、別の作品の具体的なやり取りとして見える場面です。
アルバム制作を振り返ったBABYMONSTERのメンバーたちは、曲ごとの雰囲気に合わせ、新しい歌い方や感情を試したと話しています。
一曲でつかんだ正解が、ほかの曲にもそのまま当てはまるとは限らない制作でした。
ラミの録り直しや仲間への助言も、このように異なる曲を仕上げていく作業の中に位置づけられます。
2025年、初期の課題曲がコンサートのソロ曲になる
初ワールドツアーのソウル公演では、「Pick Up Your Feelings」が再びラミのソロ曲になりました。
2025年1月26日の公演では、自分でギターを弾きながら歌っています。
練習生の評価課題として知られた曲が、今度は観客のいる大きな会場で、本人の演奏も伴う一曲になったのです。
同じ日の「BATTER UP」では、バンド演奏の中でハスキーな声色と声量を生かした歌唱も印象を残しました。
ピアノと声で紹介された初期から、バンドとグループの音を背負う舞台へ。
声の持ち味が使われる場所と、その場で受け持つ役割が増えています。

画像出典:画像掲載元
2025年3月公開の取材でも、よく練習する曲に「Pick Up Your Feelings」を挙げていました。
ツアー開催前に行われたこの取材で、ラミが自信として挙げたのは練習量です。
新しい挑戦でも練習を重ねれば自信が生まれると考え、時間があればレッスンを受けていると話していました。
初期の曲は、披露し終えた過去として片づけられず、新しい舞台へ進むための練習にも残っています。
2025年5月には健康上の理由による活動休止が発表されました。
ここでたどったのは、その前までに公表された歌唱と制作の歩みです。
一人で曲を表現する力を、七人の録音やライブへ生かしていくラミ。
その具体的な声の使い分けは、ラミ(BABYMONSTER)の歌い方で掘り下げています。

こちらの記事もおすすめ

ラミの声色、強弱、細かな歌い回し、ハーモニーの役割を具体例から読み解きます。

アヒョンが声の使いどころを広げてきた道をたどります。

ウェンディが表現の選択を広げてきた道をたどります。



コメント