Red Velvetのウェンディがソロで歌うようになってから、声を通して伝えるものは少しずつ広がってきました。
活動を待っていた人への感謝、自分の選択で生きる気持ち、バンドと同じ時間を走る喜び。
その変化には、歌う曲とともに、本人が制作にどう関わるかという変化があります。
2021年の『Like Water』から2025年の『Cerulean Verge』までを軸に、歌手としての土台と、その上に加わった表現をたどります。
Red Velvetで育った声が、グループの外にも届く
ウェンディは、約2年の練習生期間を経て、2014年にRed Velvetのメンバーとしてデビューしました。
ソロデビュー前には、エリック・ナムとの「Spring Love」や、ジョン・レジェンドとの「Written In The Stars」も発表しています。
2021年に突然一人で歌い始めたわけではなく、グループと並行して、異なる相手と声を交わす経験を持っていました。
2018年の「Written In The Stars」は、その広がりが分かる一曲です。
弦の響きと軽快なビートを備えたポップ・バラードです。
ウェンディ自身は、幼い頃から聴いていたジョン・レジェンドと、自分の声が一つの曲に収まる驚きを語っていました。
憧れの相手との共演は、グループで受け持つパートとは違う形で、ウェンディの名前と声を届ける機会になりました。
一方で、ここでの話はデュエットの経験です。
自分一人の物語をアルバム全体で歌う段階へは、もう一つ大きな時間を挟むことになります。
2021年、自分の経験が歌の言葉になる
2019年末の事故による活動休止を経て、ウェンディは2021年に初のソロ・ミニアルバム『Like Water』を発表しました。
本人は、休むことへの不安を抱えていた時期から、家族と過ごす中で休息を受け入れるようになった経緯を話しています。
作品で届ける慰めには、その本人の経験がありました。
『Like Water』には、表題曲と「When This Rain Stops」という二つの中心曲があります。
本人は発売時に、前者に希望と感謝、後者に困難の中にいる人への思いを託したと説明しました。
どちらも温かい曲でありながら、伝えたい温度には違いがあるというのです。
歌う人の経験が同じでも、聞き手へ向ける言葉は一種類ではありません。
支えてくれた相手に感謝する声と、まだつらい時間にいる相手のそばに立つ声。
この二曲を並べたことに、ソロで伝えようとしたものの幅が表れています。

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自分のために書かれた曲を受け取ったことも、ウェンディにとって大きな感動でした。
一人でステージに立つ自分の色を考えながら、届いた曲を聴くと、長く親しんだメンバーカラーの青が浮かんだといいます。
グループで過ごした時間を携えたまま、個人の声で物語を担うソロデビューでした。
歌うことの喜びにも、本人なりの変化がありました。
本人は、子どもの頃から好きだった歌が、今では多くの人と幸せを分かち合うものになったと話しています。
歌が自分を満たすことと、誰かに届くことがつながり、作品の受け止められ方まで大切なものになっていたのです。
2023年、『レベッカ』で役の感情を担う
次のソロ作までの間に、ウェンディは別の形でも歌の表現に取り組みました。
2023年、韓国版ミュージカル『レベッカ』の10周年記念公演に出演します。
演じたのは、マキシムと結婚し、前妻レベッカの存在に圧倒される主人公の「私」です。
初日を終えた際、本人は長く抱いていたミュージカルへの夢がかなった喜びを語りました。
この作品では、名前のない主人公の繊細な感情と、置かれる状況の変化を、舞台の物語の中で伝えることになります。
『Like Water』で自分の経験を歌った後に、役の人生を引き受ける場も加わりました。

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この出演だけを理由に、発声法が全面的に変わったと決めることはできません。
ただ、個人の思いを伝えるソロと、人物の感情を演じる舞台とを、続けて経験した時期としては大切です。
翌年の作品では、制作側からも、歌詞に本人の考えを込める姿勢が具体的に語られるようになります。
2024年、歌詞に自分の考えを込める
2作目の『Wish You Hell』は、2024年3月の発表です。
本人は発売時に、前作とは違う自由さと前向きな力を届けたいと説明しました。
周囲の期待に合わせてきた過去の自分に別れを告げる表題曲を、その方向の中心に置いています。
ここでは、選ばれた曲を歌う段階の前にも、本人の判断が入っています。
最初に伝えたいメッセージを決め、音楽やビジュアルについて会社と話し合い、意見を出したといいます。
2021年に自分のための曲を受け取った感動から、何を伝える作品にするかを先に考える制作へ。
二つの時期の発言を並べると、ソロの主体性が広がる様子を読み取れます。
歌そのものについては、ボーカルディレクションを担当したイ・ジュヒョンの証言が手がかりになります。
彼は、今回のウェンディは、歌詞に自分の考えをより多く込めて表現しようとしていたと話しました。
録音をこなす技術に加えて、その言葉をどう受け止めて歌うかが、制作現場から見た変化だったのです。
2025年、バンドの躍動と自作曲へ
2025年の『Cerulean Verge』では、バンドの響きを前に出した作品世界へ進みます。
ウェンディは、心地よく流れるバンド音楽を目指したこと、バンド公演に触れると胸が高鳴ることを語りました。
ソロツアー「W:EALIVE」の名前にも、自分と客席が生き生きと感じられる場にしたいという思いを込めています。
この作品では、「EXISTENTIAL CRISIS」で作詞、「Hate²」で作詞と作曲に参加しています。
後者は初の自作曲として発表されました。
2021年に、いつか作詞作曲に挑戦したいと答えていた希望が、ここで具体的な作品になったのです。
表題曲「Sunkiss」は、ピアノとギターの明るい響きの中で、高い声を力強く放つ曲です。
サビの高音も、感情を押し上げる役割を担っています。
『Like Water』で届けた温かさに、外へ踏み出す勢いが加わった作品として捉えられます。
同年11月1日のパサデナ公演では、本人が曲の感情と言葉を基準に、セットリストをいくつかのまとまりへ分けています。
「Fireproof」などの力のある曲から、愛らしい曲、悲しみや希望を含む曲へ。
バンドを従えた一人の歌手として、声の表情で公演全体の流れを組み立てる段階に進んでいました。
12月のクアラルンプール公演でも、同じ役割の広がりが見られます。
感情の深い曲が多いドラマ主題歌のコーナーでは、明るい「If I Could Read Your Mind」を入れ、雰囲気を上向かせようとしました。
強い声を出す場面だけでなく、客席が次にどんな気持ちで聴くかまで、選曲と歌で動かしていました。
ウェンディの歩みには、自分のために用意された歌を受け取り、自分の考えを重ね、やがて曲作りや公演の流れにも意思を込めていく変化があります。
その間も残っているのは、歌を通して聞き手と気持ちを分かち合いたいという願いです。
曲ごとの声の使い方は、ウェンディ(Red Velvet)の歌い方で詳しく見ていきます。

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