テヨンは2023年の取材で、デビュー初期には、もっと太く、しっかりした高音が出ていたと振り返っています。
声が少しずつ細くなることに悩み、スランプに陥ったこともあったそうです。
やがて、その変化も自然なものとして前向きに受け止めるようになりました。
少女時代の歌声から、ソロの「I」「INVU」、そして自分へ手紙を書く「Letter To Myself」へ。
その歩みをたどると、テヨンは変わっていく声で、今の自分に何が表現できるかを探し続けてきたことが分かります。
「Letter To Myself」公式MV(2024年)。
初期の高音と、後年になって本人が語った変化
2007年、少女時代としてデビューしたテヨン。
「Into The New World」は、その出発点を知るための一曲です。
2007年の作品は、2022年にリマスター版も公開されています。
少女時代「Into The New World」公式MV(原曲2007年・2022年リマスター版)。
2023年のHarper’s BAZAAR Koreaの取材で、テヨンは初期の太い高音と、その後の細くなった声について話しました。
昔の「Into The New World」の高音が好きな人もいれば、「INVU」の高音を好きな人もいる。
その時々の自分を見せ、さまざまな試みを続けながら聴き手を説得していく、というのが本人の考えです。
この回顧には、変化への戸惑いと、それを受け入れて歌う姿勢の両方があります。
以前の声を好む聴き手の気持ちも理解しながら、その時点の声で新しい曲を届けようとしているのです。
2015年、「I」で広げた一人の歌手としての表現
テヨンはソロデビューの前から、ドラマのサウンドトラックで自分の声を聴かせてきました。
そして2015年、最初のソロ作品として発表したのが「I」です。
「I(feat. Verbal Jint)」公式MV(2015年)。
音楽コラムニストのキム・ヒョジンは、バラードのヒットを重ねていたテヨンが、ソロではモダンロックを選んだ意外性に注目しています。
バンドの音とともに、自分の人生へ向き合う物語を歌う。
一人の歌手として最初に見せる姿を、自分で選んだ作品でした。
2022年のPAPERの取材でも、本人は「I」を、ソロの旅が始まった最も意味深い作品として挙げています。
それまでの歌声を知る人へ、次にどんな曲を自分の名前で届けるか。
すでにバラードで認められていたからこそ、最初のソロ曲には、その印象を広げる意味がありました。
その後もアルバムを重ねることは、テヨンにとって、次に違うものを試すための力になっていきました。
2022年のNYLONの取材では、作品を出すたびにアーティストとして強くなり、次の作品で新しいことを試したくなると話しています。
一曲の成功にとどまらず、声で見せられる別の表情を探していたわけです。
2019年の「Four Seasons」で、歌の物語と自分の接点を見つける
提供された歌詞が、最初から自分の気持ちと重なるとは限りません。
キム・ヒョジンが紹介した本人の投稿によれば、「Four Seasons」は、初めは自分の経験や背景とは違うと感じ、当てはめようとしてもうまく共感できなかった曲でした。
それがある時、人生の大きな部分を占めてきた音楽と、自分との関係を歌う物語ではないかと思えたそうです。
恋の歌を、自分が音楽を愛し、時に向き合ってきた時間と重ねる。
歌詞を自分で書いたかどうかとは別に、どこに自分の感情を見つけるかで、曲との関係が変わっていきます。
ソロでの表現を広げるとは、こうして歌う理由を自分の中に探すことでもありました。
「Four Seasons」公式MV(2019年)。

画像出典:画像掲載元
2022年、「INVU」を自分の歌として押し出す
「INVU」は、テヨンの確信が形になった曲でした。
デモを聴いて強くひかれたものの、制作側との選曲では、自分と周りの意見が一致していなかったといいます。
それでも、自分の歌で納得してもらいたいと思える曲でした。
「INVU」公式MV(2022年)。
2023年の取材でも、テヨンは、選曲で自分の意見をはっきり示したい気持ちもあり、この曲に自信があったと振り返っています。
声の変化を話した同じ取材で、その声で歌いたい曲への強い意思も示していたところが印象的です。
「INVU」で必要だったのは、歌の中の人物が抱える複雑な感情を伝えることでした。
自分の声をどう評価されるかという問いが、一曲の中で何を伝えるかという、具体的な表現へつながっていきます。
その違いは、先行して発表した「Can’t Control Myself」と比べると、本人の言葉からもたどれます。
2022年の発表会でテヨンは、こちらの曲は、傷ついたまま抜け出せずにいる人物そのものを表したと説明しました。
一方の「INVU」では、その傷から少し離れ、自分の感情を深く見つめる、より成熟した感じを目指したといいます。
「Can’t Control Myself」公式MV(2022年)。
どちらも愛で傷つく歌でありながら、その痛みを今まさに生きているのか、少し離れて見ているのかが違う。
単に強く、切なく歌うという指示より、人物と感情の距離が具体的になっています。
同じアルバムの中に、違う距離から歌うテヨンを置く試みでもありました。
2023年、変わった声を受け入れ、同じ歌にも別の表情を探す
声が細くなったという回顧と並んで、2023年の取材では、その時の自分を歌に反映する方法も話しています。
曲を覚える段階では、自由に想像しながら、いくつもの方向で歌ってみる。
たとえば「Four Seasons」も、同じ別れの歌詞でも、その日の気分によって少し皮肉を込めて歌えるかもしれない、という説明でした。
一方、正式な音源として残る録音では、作曲家やプロデューサーと話し合い、合意できる表現を探します。
本人は、自分の意見を必ず通すのではなく、譲り合い、相手にも頼ると話しました。
「INVU」を強く推した人でありながら、録音の過程では別の考えを受け入れる余地も持っていたのです。
以前の声をそのまま再現することに答えを求め続けるのではなく、今の声と感情で、曲にどんな新しい表情を与えられるか。
その問いは、新曲を選ぶ時だけでなく、すでに歌ってきた曲に向き合う時にも続いていました。
2024年、「Letter To Myself」で自分への言葉を自然に届ける
「Letter To Myself」では、自分自身へのメッセージを歌いました。
テヨンは、重くなりすぎたり気恥ずかしくなったりしやすい題材だからこそ、できるだけ自然に表現したかったと説明しています。
このアルバムでも、タイトル曲を選ぶ際には会社と好みが分かれ、議論を重ねたそうです。
さらに、すべての収録曲を主役になる曲のように考え、同じだけ注意を注ぎ、コンサートで一緒に楽しむことを思い描いて準備したといいます。
自分へ向けた歌であっても、歌声が届く先には、聴き手と過ごす場がありました。

画像出典:画像掲載元
「I」で自分の歩みを歌い、「INVU」で愛の中にいる人物を演じた声が、今度は自分へ向けて語りかける。
同じように感情を込める場合でも、どのくらいの距離から、どんな温度で届けるかという選択が変わります。
初期より声が細くなったと感じ、悩んだ経験を、テヨンは本人の言葉で明かしています。
そのうえで作品をたどると、歌手としての歩みは、毎回の声で新しく伝えられるものを探す時間でもあったことが見えてきます。
かつての高音を懐かしむ人にも、今の一曲から知る人にも、その時点の自分を歌で示し続けてきたのです。
曲ごとの声の使い方は、テヨンの歌い方で詳しく扱っています。

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