天月-あまつき-の歌い方・発声|少年声の高音が曲ごとに表情を変える理由

マイクの前に立つ天月-あまつき- シンガー

天月-あまつき-さんの歌声は、「明るい」「甘い」「少年のよう」と表現されることが多くあります。
ところが、かわいい恋の歌と暗い物語の歌を続けて聴くと、同じ声なのに人物まで入れ替わったように感じられます。

声を別物に作り替えているわけではありません。
少年らしい中心を消さず、言葉の置き方や声の密度を曲に合わせて変えるため、天月さんの声を保ったまま主人公だけが変わるのです。

天月の高音は、音の高さより先に少年らしさが届く

公式プロフィールでも長く使われてきたのが、少年らしいハイトーンという紹介です。
ここで大切なのは、単に男性として高い音が出るという意味だけではありません。

声を高くすると、多くの人は息だけの薄い声になったり、反対に喉で押した硬い声になったりします。
天月さんの場合は音が上がっても、話しかける時の明るさや若々しい輪郭が残るため、歌詞の人物を近くに感じやすくなります。

第三者の歌唱解説では、澄んだ声、高音の抜け、話し声との近さなどが繰り返し挙げられてきました。
呼び方は分析者によって違いますが、重い地声をそのまま持ち上げる声ではなく、軽さの中に言葉の芯が残るという見方は共通しています。

ミックスボイスか裏声かを一語で決めたくなるところですが、曲によって音量も密度も変わります。
ミックスボイスと裏声の違いと照らす場合も、名称より、声が高くなった時に言葉の輪郭が急に消えない点へ注目すると理解しやすいでしょう。

カバー曲が「借り物」に聞こえないのは、声より物語を先に選ぶから

天月さんの声について、別の歌手は「どんな曲も自分のものにしてしまう」という趣旨の評価を残しています。
これは、原曲より派手に歌うという意味ではありません。

カバーでは、作曲者や元の歌手が作った感情の流れを尊重しながら、自分の声で誰がその言葉を話すのかを決め直します。
明るい曲なら言葉の出だしを軽くし、寂しい曲なら音を大きくする前に語尾の余白を残すことで、声色だけに頼らず人物像を作れます。

2022年、作品について語る天月-あまつき-

少年らしい声は、ここで固定されたキャラクターではなく、物語へ入るための衣装になります。
同じ衣装を着たままでも、表情や歩き方が変われば別の登場人物に見えるのと似ています。

カバー文化から活動を始めたことも、この柔軟さと無関係ではありません。
一つの声をさまざまな作者の曲へ置く経験を重ねたため、「自分らしさを守る」と「原曲の世界へ入る」を対立させずに済むのです。

『アイビー』の説明に、天月らしい歌い方の秘密が出ている

『アイビー』について本人が挙げたのは、派手な高音技法ではなく、リズムとキーの難しさでした。
特に静かなAメロでは、言葉を音へきちんと置き、フレーズをきれいに歌うことを重視しています。

この説明は、天月さんの歌を分かりやすくする重要な手がかりです。
高音が目立つ曲でも、歌唱の土台は最高音を当てる瞬間ではなく、そこへ着くまでに言葉を崩さず運ぶことにあります。

「きれいに歌う」と聞くと、癖のない平坦な声を想像するかもしれません。
実際には、音程の上へ言葉が整って乗るからこそ、恋に浮かれる速さ、迷う間、告白へ踏み出す勢いといった細かな感情を加えられます。

言葉が崩れた状態で感情だけを強くすると、ただ急いだ声や大きな声になりがちです。
先にフレーズを整理し、その上で主人公の気持ちを足す順番が、明るい高音を幼く聞かせない理由の一つです。

明るい声は薄い声ではなく、必要な時だけ重さを足せる声

天月さんの歌声は甘く爽やかと紹介される一方で、力強さも評価されてきました。
この二つは矛盾しません。

最初から声を重くしておくのではなく、普段は動きやすい軽さを残し、感情が大きくなる場所だけ密度を上げます。
そのため、強い場面が来た時に音量以上の変化が生まれます。

近年の作品では、初期の爽やかな少年像だけでは収まらない影や痛みも扱っています。
声そのものを無理に低くするのではなく、言葉の間、音の長さ、まっすぐ出す部分と揺らす部分の配分で、明るい声の中へ暗さを作ります。

外から聴いて、どの高音が地声でどこからミックスボイスかを正確に確定することはできません。
ただし、強い音でも声の輪郭を太くしすぎず、曲が終わるまで同じ人物として聞かせる設計は、天月さんの特徴として複数の資料から読み取れます。

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大きな舞台でも、歌声を「近い言葉」のまま届ける

活動初期には、人前で歌うことへの緊張を語っていました。
そこから日本武道館や大阪城ホールまで進みましたが、歌声を遠くへ飛ばすために、すべてを大声へ変えたわけではありません。

日本武道館で歌う天月-あまつき-

大きな会場ほど、演出や観客の熱量に声が飲み込まれない強さは必要です。
同時に、天月さんの魅力である「一人へ話しかける近さ」が消えると、少年らしい声はただ明るいだけに聞こえてしまいます。

そこで、強いサビと静かな言葉を同じ一曲の中へ置きます。
観客を一斉に動かす場面と、歌詞の人物へ耳を寄せてもらう場面を分けることで、会場の大きさと声の親密さを両立させてきました。

初期から現在までの変化を年代順に追うと、この声が大きくなるより役割を増やしてきたことが分かります。
天月-あまつき-の歌声の変遷では、歌ってみた投稿から独立後の原点回帰までを整理しています。

真似するなら、少年声を作るより言葉の居場所を探したい

天月さんらしく歌おうとして、喉を細くし、無理に幼い声を作るのはおすすめできません。
生まれ持った声質が違うため、表面だけを寄せると高音が苦しくなり、歌詞も届きにくくなります。

参考にしやすいのは、音の高さより先に「この言葉は誰が、どんな気持ちで話しているか」を決める姿勢です。
恋の歌でも、浮かれているのか、迷っているのか、思い出しているのかで、同じ明るい声の使い方は変わります。

もう一つは、一音ずつ上手に見せるより、フレーズの終わりまで言葉を運ぶことです。
天月さん自身が説明したように、言葉を音へ置き、まとまりとしてきれいに歌うと、声を飾りすぎなくても物語が見えます。

天月の歌声は、変わらない少年らしさと変わり続ける主人公でできている

天月さんの高音が印象に残るのは、高いからだけではありません。
音が上がっても話しかけるような明るさが残り、歌詞の人物を近くに感じられるからです。

一方で、同じ少年声をすべての曲へ貼り付けてはいません。
言葉の置き方、声の密度、語尾の余白を変え、カバーでもオリジナルでも、その曲にいる人物へ声を貸してきました。

変わらない声質と、曲ごとに変わる表情は両立します。
天月さんの歌が長く本人のものとして聞こえる理由は、声を一種類へ固定したからではなく、少年らしい中心を失わずに何人もの主人公を生きてきたからでしょう。

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