ISSAはなぜ踊っても高音が安定する?DA PUMPの歌い方・発声を分析

踊りながら高音を安定させるISSAの歌い方と発声を分析する記事のアイキャッチ ISSA

ISSAさんの高音は、限界まで張り上げているように見える瞬間でも、歌の流れから飛び出しません。
激しく踊るライブでも声が大きく崩れにくいため、特別な肺活量や生まれつきの喉だけで成立しているように思えます。

ところが本人が明かしている判断は、もっと冷静です。
出せる最高音をそのままライブへ持ち込まず、曲のキーを細かく試し、身体の角度が変わっても響きやすい場所を探し、短い隙間で呼吸する。
ISSAさんの強さは、無理を無理のまま成功させることではなく、無理が出にくい条件を先に選び続けることにあります。

この視点を持つと、「地声が強い」「ミックスボイスが上手い」だけでは説明しきれない歌手像が見えてきます。
歌唱技術を見せるより先に、曲を最後まで届けられる声を残すことが、DA PUMPの高音とダンスを支えているのです。

最高音より「何度でも歌える場所」を選んでいる

ISSAさんは、自分の声を広げるために高い音だけを追いかけてきたわけではありません。
歌い続ける中で、無理をしなくても声が響く位置を身体で見つけ、結果として使える音域が広がったと説明しています。

ここでいう「響く位置」は、顔の一点へ声を当てれば完成するという話ではありません。
曲の高さ、音量、母音、立っている姿勢が変わっても、喉だけに負担が集まりにくい声の出し方を探す感覚に近いものです。

本人は、低い声を鍛えることも高音の助けになると考えています。
上へ行くことばかり考えず、低い音から中間の音まで安定させるからこそ、高音へ入った時にも声の芯を急に作り直さずに済みます。

この考え方は、地声を鍛えると高音にどう効くかを理解するうえでも重要です。
太い地声をそのまま押し上げるのではなく、低い場所で身につけた安定を、声を軽くしながら上へ持っていくことが高音につながります。

スタジオで出せた音を、ライブではあえて使わない

「Oh! My Precious!」の録音では、ISSAさん自身も限界に近いと感じる高音へ挑戦しました。
しかし、その音をライブで同じように出すつもりはないと語っています。
一度成功することと、ツアーで繰り返し再現することを分けて考えているからです。

この判断は、高音歌手のイメージとは少し逆に見えます。
より高い音を出せることを証明するより、その日の後半まで声を残し、次の公演でも歌えることを優先する。
ステージでの安定感は、難しい音を全部採用する勇気ではなく、採用しない判断からも生まれています。

ライブで歌うISSA

高音が出た日にだけ成功する方法では、ダンスと歌を何曲も続けるライブには耐えません。
ISSAさんの歌い方は、最高記録より再現性を基準にしているからこそ、強い声が長く続いて聞こえるのです。

原曲キーを守ることより、曲が最も生きる高さを探す

楽曲制作では、候補のキーを半音や全音ずつ動かしながら試すことがあります。
ISSAさんも、ただ高く歌えるかではなく、声と曲の両方が気持ちよく聞こえる高さを選ぶと説明しています。

キーを下げると負けたように感じる人もいますが、実際には高ければ高いほどよいわけではありません。
低すぎれば声の明るさや勢いが失われ、高すぎれば言葉より苦しさが前へ出ます。
曲の魅力が最も伝わる場所を探すことは、逃げではなく歌手の仕事です。

カラオケでも同じで、原曲キーに固執してサビだけ押し上げるより、自分に合うキーを見つける方法を先に試す方が歌全体を整えやすくなります。
ISSAさんを参考にするなら、音の高さそのものより、どの高さなら最後まで表情を変えられるかを見るべきです。

踊りながら歌えるのは、呼吸の場所を拾い続けるから

DA PUMPのステージでは、正面を向いて胸を開いたまま歌える場面ばかりではありません。
身体をひねり、低い姿勢になり、顔の向きが変わっても、歌うべき言葉は決まった時間にやってきます。

ISSAさんは、この条件へ慣れるために歌いながら走り、逆さの姿勢でも声を出すような経験を重ねてきました。
本番では、フレーズのごく短い隙間を見つけて少しずつ息を入れ、動きが大きくても歌を止めない状態を作ります。

大きく一度吸えば安心という発想ではありません。
使った息を次の空白で少し戻し、さらに次の空白でも補う。
短い呼吸を積み重ねるため、激しい動きの後でも一つの吸気にすべてを賭けずに済みます。

本人がライブで重視するのは、最後までマイクに声を乗せ続けることです。
ダンスやアドリブで見せ場を増やす時も、まず曲を届け、その上で余裕がある部分を広げます。
歌とダンスを五分五分に分けるのではなく、どちらも止めずに成立させる順番が決まっているのです。

主旋律では芯を残し、裏声は必要な場所へ回す

ISSAさんは、主旋律では可能な範囲で裏声に逃げず、言葉の輪郭が残る声を選びます。
一方で、コーラスや音色を変えたい場所では裏声も使います。
強い地声か、柔らかな裏声かという二択ではなく、曲の中で役割を分けています。

第三者の発声解説では、この中高音をミックスボイスと呼ぶものもあれば、喉の位置、声帯の閉じ方、鼻や口への響きに分けて説明するものもあります。
用語が違うのは、同じ歌手でも曲や音量によって声の重さが変わるうえ、外から声帯の動きを直接確認できないためです。

現在のDA PUMPで歌の中心を担うISSA

本人の説明に戻ると、特定の技法名を先に覚えたのではなく、歌いながら楽に響く場所を見つけたという順番になります。
だからISSAさんの高音を理解する時は、「全部が地声か」「全部がミックスか」と決めるより、主旋律の言葉を失わず、必要な場所だけ声を軽くしていると捉える方が実態に近づきます。

ミックスボイスの出し方と見分け方でも扱っているように、声区名はゴールではありません。
聞き手に切り替えを意識させず、曲に必要な強さと柔らかさを行き来できることの方が大切です。

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「U.S.A.」の明るさも、ソロ曲の深さも同じ声では作らない

「U.S.A.」では、短い言葉を明るく前へ出し、ダンスの勢いに埋もれない輪郭が必要です。
声を長く見せるより、リズムの頭へ迷いなく置くことで曲の高揚感を支えています。

「Dream on the street」は、動きの密度が高い中でも歌を中心から外さない姿勢が見えやすい作品です。
細かく呼吸を拾い、身体の向きが変わっても言葉を残すという本人の説明と結びつきます。

一方、ソロ活動ではDA PUMPとは違う歌い方の入口を開きます。
ISSAさんは、曲ごとに自分の中の異なる「チャンネル」が動き、物語に合わせて声も変わると考えています。
ロックでは荒さを出し、バラードでは勢いを抑え、同じ強い高音を全曲へ貼り付けません。

この幅があるから、長いキャリアを一つの声色だけで消耗せずに済みました。
初期から現在までに声がどう変わり、一度落ちた状態からどう戻したのかは、ISSAさんの歌唱変遷で年代順にたどります。

真似したいのは声の強さではなく、条件を選ぶ順番

ISSAさんのような太い高音を出そうとして、最初から音量を上げるのは危険です。
本人がしているのは、どんな曲でも力で突破することではありません。
歌いやすい響き、適切なキー、呼吸できる隙間を先に見つけ、その条件の中で表現を増やしています。

参考にしやすいのは、最高音ではなく判断の順番です。
一曲を通した時にサビの後も話し声が変わらないか、原曲キーを下げた方が言葉を明瞭にできないか、長く吸う場所がなくても短い隙間で息を戻せないかを見る。

高音で痛みや強いかすれが出るなら、ISSAさんの声色へ近づける段階ではありません。
歌手本人がライブで避ける負荷を、初心者が練習で繰り返す必要はないのです。

まとめ

ISSAさんが踊りながら高音を安定させられるのは、強い喉ですべてを押し切るからではありません。
無理なく響く場所を探し、曲に合うキーを選び、短い呼吸を拾い、ライブで繰り返せない最高音はあえて使わない。
その判断が積み重なって、太く明るい声と激しいダンスが同時に成立しています。

地声かミックスボイスかという名前だけでは、この歌い方の核心を捉えきれません。
声の重さを曲ごとに持ち替えながら、最後まで言葉をマイクへ残すことがISSAさんの技術です。

派手な高音の裏側にあるのは、派手な秘密ではありません。
出せる声を全部使うのではなく、今日のライブで最も音楽になる声を選ぶ冷静さです。

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