現在の角巻わためさんは、数多くのオリジナル曲を持ち、観客と歌うソロライブを重ねています。
しかし、その出発点にあったのは「人前で歌うことが苦手」という感覚でした。
デビュー前には自宅で録音を続けても、聴いてくれる人がほとんどいない時期がありました。
一度は音楽を諦めようとしながら、やめたくない気持ちが消えず、VTuberとして歌う道へたどり着きます。
角巻わためさんの歌唱変遷は、突然うまい歌手になった物語ではありません。
震える声も、通信環境の失敗も、自信のなさも活動の中へ置き、一つずつ「歌ってよい理由」へ変えた歴史です。
- 2019年以前:聴かれない宅録でも、歌だけはやめられなかった
- 2019~2020年:歌配信は、得意を見せる場所ではなく苦手を減らす場所だった
- 2020年:愛昧ショコラーテで、初めて自分の曲を観客へ渡した
- 2021~2022年:My songで、迷っていた時間そのものが代表曲になった
- 2022年:夢見る羊で、強い高音が本人らしい物語と結びついた
- 2023年:Finsと新しいジャンルが、歌声を一種類から解放した
- 2024年:2ndソロライブで、観客の声が歌の一部になった
- 2024~2025年:自分の言葉と新しい声色を、もう一段前へ出した
- 2026年以降:武道館と3rdライブは、到着点ではなく次の約束
- まとめ
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2019年以前:聴かれない宅録でも、歌だけはやめられなかった
活動を始める前から、角巻わためさんは自宅で歌を録音していました。
歌うこと自体は好きでも、人前で披露することには苦手意識があり、録音を公開しても大勢に届く状況ではありませんでした。
反応がない時間が続けば、続ける意味を疑うのは自然です。
本人も音楽を諦めようと考えましたが、実際に手放そうとすると涙が出るほど、歌をやめたくない自分に気づきました。
ここで重要なのは、最初から自信があったから続けられたのではないことです。
自信はなくても、やめた時の方が苦しい。
その感覚が、後の活動を支える最初の理由になりました。
2019~2020年:歌配信は、得意を見せる場所ではなく苦手を減らす場所だった
デビュー直後は通信環境が安定せず、配信が止まることもありました。
角巻わためさんは、その弱点さえ「クソザコ回線卒業!のうた」という作品へ変えています。
同時期に始めた歌配信には、歌のうまさを証明する以上の目的がありました。
人前で歌うことへの苦手意識をなくし、大きな舞台でも緊張に負けないための練習です。
本人は、緊張すると声が震えたり揺れたりすると振り返っています。
定期的に歌う回数を重ねたのは、その不安を隠すためではなく、不安があっても歌える状態へ近づくためでした。
配信環境が整わない時期から見守った人たちの存在も、歌を続ける理由になりました。
失敗のない完成品だけを見せるのではなく、失敗しても次に歌う姿ごと活動にしたことが、後のライブとの関係を作っています。
2020年:愛昧ショコラーテで、初めて自分の曲を観客へ渡した

2020年に発表した「愛昧ショコラーテ」は、角巻わためさんにとって初のフルオリジナル曲です。
かわいらしさと観客が参加しやすい掛け声を持ち、後のライブでも大切な入口になりました。
活動初期のオリジナル曲はまだ多くありませんでした。
その分、一曲を持つこと自体が「自分の歌を聴いてもらう人」から「自分の歌を届ける人」へ変わる出来事でした。
カバー曲では、すでにある物語の中へ入ります。
オリジナル曲では、自分がどんな人物として歌うのかまで引き受けなければなりません。
人前で歌うことに慣れるための配信から、自分の名前で残る曲へ。
この小さな移動が、その後のアルバムとソロライブの始点です。
2021~2022年:My songで、迷っていた時間そのものが代表曲になった
1stソロライブを迎えた角巻わためさんは、本番前に強い緊張を抱えていました。
失敗を恐れる本人に対し、ライブの間違いもその場だけの経験になるという言葉が背中を押しました。
ステージでは完璧さを守ることより、観客と一緒に楽しむ方へ気持ちを切り替えられたと振り返っています。
歌配信で繰り返してきた「緊張しても歌う」が、初めて大きな会場で形になりました。
続く「My song」は、過去、現在、未来の本人を投影した等身大の曲です。
デビュー前に歌を諦めかけた時間も、活動初期の不安も、夢へ進む物語の外へ捨てずに歌へ入れました。
この時期から、角巻わためさんの歌は「上達した自分を見せる」だけではなくなります。
うまくいかなかった自分まで連れて進むことが、歌の説得力へ変わりました。
2022年:夢見る羊で、強い高音が本人らしい物語と結びついた
「夢見る羊」は、目標へまっすぐ進む角巻わためさんの姿と重なる曲です。
音程の上下が大きく、地声系の声と裏声を何度も切り替える難しさを本人も挙げています。
初期の歌配信では、声の震えを減らすために歌う回数を重ねていました。
この曲では、その積み重ねの先で、高い音や複雑な切り替えを自分の物語として引き受ける段階へ進みます。
難しい歌を歌えることだけなら、技術の記録で終わります。
「夢を見る羊」という人物像が本人の目標と重なることで、高音が夢を大きく掲げるための声になりました。
この頃には、歌う時に現れる強い自分を、普段の自分と切り離さずに見せられるようになっています。
2023年:Finsと新しいジャンルが、歌声を一種類から解放した
「Fins」の収録では、角巻わためさん自身が歌えるか不安を感じていました。
それでも、制作側と一緒に感情の置き方へ向き合い、迷いながら前へ進む曲として完成させました。
同じ時期、全国流通アルバム『Hop Step Sheep』へ向けて、歌えるジャンルも広がります。
ロックやバラードに加え、スウィングの「What an amazing swing」のような、それまでとは異なるリズムと人物像にも挑戦しました。
歌唱の変化は、声を前より太くすることだけではありません。
強い高音が似合う歌手という評価を持ったまま、軽やかさ、遊び心、包み込むような歌まで自分の中へ増やしました。
一つの得意技を繰り返すのではなく、曲が変わっても本人の芯が残るかを試す時期だったといえます。
2024年:2ndソロライブで、観客の声が歌の一部になった

2024年1月、東京ガーデンシアターで2ndソロライブが開催されました。
1曲目は、初期から歌ってきた「愛昧ショコラーテ」です。
1stライブの頃には感染症対策もあり、観客が自由に声を返せる状況ではありませんでした。
2ndライブでは、角巻わためさんがマイクを客席へ向け、もっと歌ってほしいと呼びかけます。
かつて人前で歌うことが苦手で、緊張による声の震えを減らすために配信を続けていた人が、今度は大勢の声を受け取って一曲を作る側になりました。
歌唱技術の上達以上に、この関係の反転が大きな変化です。
ライブバンドで歌うこと、観客と声を合わせることも、以前から望んでいた目標でした。
『Hop Step Sheep』という作品は、その日へ必要な曲を考えながら形作られています。
アルバムとライブが別々の成果ではなく、「一緒に進む」という約束を音源と会場の両方で確かめるものになりました。
2024~2025年:自分の言葉と新しい声色を、もう一段前へ出した
EP『WHAT A MESS!!!』では、「Shout now, sheep!!」と「Revival」の作詞を本人が担当しました。
歌う技術だけでなく、何を自分の言葉として残すかへ関わる範囲を広げています。
2025年の大型ライブでも「My song」が歌われ、初期の迷いを背負った代表曲が現在の活動へつながり続けました。
一方、新しい作品では、これまでと異なる言葉や声色にも挑戦しています。
昔の曲を卒業して新しい姿へ入れ替わったのではありません。
過去の自分を映した曲を軸に残しながら、未来の自分が歌える曲を増やす進み方です。
この積み重ねによって、歌声の変化が「初期よりうまくなった」という一方向の物語ではなくなりました。
かわいらしさ、力強さ、迷い、遊び心を必要に応じて取り出せるようになっています。
2026年以降:武道館と3rdライブは、到着点ではなく次の約束
角巻わためさんは、武道館で歌うことを長く目標に掲げています。
同時に、ライブを開くこと自体を最終地点にせず、もっと多くの人へ歌を届ける考えも強くなりました。
2027年の未年に3rdソロライブを実現し、できれば2日間歌いたいという次の願いも語っています。
活動初期には、一回の歌配信で緊張へ慣れることが目標でした。
今は、二日間にわたって観客と音楽を作る未来を思い描いています。
夢の大きさだけを比べれば、初期と現在は大きく違います。
しかし、歌う回数を増やし、聴いてくれる人と一緒に次へ進む方法は変わっていません。
角巻わためさんの成長は、苦手だった過去を消すことではなく、その過去があるから次の一曲を歌える状態へ変えることでした。
まとめ
角巻わためさんの歌声は、人前で歌うことへの苦手意識から始まりました。
定期的な歌配信で緊張と向き合い、初のオリジナル曲、1stソロライブ、「My song」、「夢見る羊」へ進んでいきます。
その後は「Fins」や『Hop Step Sheep』でジャンルと感情の幅を広げ、2ndソロライブでは観客の声まで一曲の中へ迎えました。
さらに自作詞を含む作品へ進み、現在は武道館と次のソロライブを、聴き手との新しい約束にしています。
変わったのは声の高さだけではありません。
歌を聴かれることへの怖さが、聴いてくれる人と一緒に歌いたい気持ちへ変わりました。
柔らかな話し声と強い歌声が一つの人物としてつながる理由は、角巻わためさんの歌い方・発声分析で詳しく整理しています。
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