カリナ(aespa)の歌声の変遷|求められる歌から、自分で選ぶソロとデュエットへ

2024年6月のaespaソウル公演/カリナは左端(SM Entertainment提供) カリナ(aespa)
2024年6月のaespaソウル公演/カリナは左端(SM Entertainment提供)

カリナの歌の歩みをたどると、強い声で曲の入口を開く人が、自分の好きな音楽を少しずつ歌の中へ持ち込んできたことが分かります。
その出発点には、得意な歌と、求められる歌の間で迷った練習生時代がありました。

aespaの一員として曲の世界を担うこと。
一人で舞台に立ち、歌詞から演出まで考えること。
そして、別の歌手と柔らかく声を合わせること。
活動の場が増えるにつれ、カリナの歌に求められる役割も、本人が選べる表現も広がっていきます。

デビュー前――得意な歌と、求められる歌の間で

練習生時代のカリナは、自分が得意とする曲と、歌わなければならない曲の違いに悩んでいました。
周りには歌の上手な練習生が多く、デビューするメンバーが決まりそうな時期に、自分の立ち位置が分からなくなったといいます。
その頃に練習したのが「I Choose You」でした。
恋愛を歌う曲の題名に、自分を選んでもらいたい気持ちを重ねていたのです。

一方、指導したボーカルトレーナーのチャン・ジニョンには、別の面が見えていました。
新しいポップスをいち早く知り、指導者にも紹介する感覚の鋭さです。
アレッシア・カーラを教えてくれたことや、ブラックミュージックを多く聴いてきた音楽的な感性を、カリナの長所として挙げています。

自分の役割に悩んでいた時にも、音楽の好みや、面白いと感じるものはすでにありました。
その感覚を、グループの中でどう歌に結びつけるか。
デビュー後の経験は、この課題に具体的な形を与えていきます。

2020〜2021年――力強い世界観の中で、録音の楽しさを知る

2020年に「Black Mamba」でデビューし、翌年には「Next Level」を発表します。
カリナは「Next Level」の躍動感に応えるため、声からさらに力を引き出そうとしたと話しています。
幻想的な設定だけで曲を見せるのではなく、その世界へ踏み込む勢いを歌声でも作ろうとしていました。

「Next Level」は映画の楽曲を、aespaの色に作り直した作品です。
カリナによれば、制作側もサウンドをいくつもの形で検討していました。
すでにある曲をそのまま歌うのではなく、グループの声と物語に合う形へ変える。
力強い歌唱にも、こうした制作の背景があります。

最初のミニアルバム「Savage」では、シングル以外の曲を録音する楽しさも知ります。
カリナは、KENZIEと初めて作業した「I’ll Make You Cry」で緊張していたものの、良い反応をもらえて自信につながったと振り返りました。
明るい「YEPPI YEPPI」を元気いっぱいに歌ったことも、印象に残る経験になっています。

「YEPPI YEPPI」のアドリブを録った時には、四人でブースに入ったとジゼルが明かしています。
一人ずつ自分の担当を仕上げるだけでなく、同じ場所で声を出し、曲の楽しさを共有する時間もありました。

2023年――グループの明るさと、一人のステージが見えてくる

2023年の「MY WORLD」では、カリナ自身の受け止め方にも変化が表れます。
強いコンセプトは慣れていて表現しやすい一方、この時は若々しく自由な雰囲気を楽しめたと話しました。
明るい曲も自分たちに似合うと分かった。
それは強さを捨てる転換ではなく、グループで見せられる表情が増えたという実感でした。

同年の初めての単独コンサートでは、ソロ曲「Menagerie」を披露します。
暗い色合いのヒップホップのビートに、流れるような旋律が重なる曲として評されました。
作詞にも関わり、グループの一節を担う時とは違う、自分を中心にした世界を一曲で提示しました。

さらに同年9月には、ドラマ「剣の詩」のサウンドトラックで「Sad Waltz」を歌います。
コンサートで見せるソロと、物語のために録音する歌。
同じ年に、グループを離れて声を届ける二つの場ができていました。

コンサートとドラマでは、歌を届ける相手も、歌が入る場面も違います。
自分を中心に見せる曲と、物語の一部として届く曲。
この時期には、自分の声で一曲を成立させる課題が、異なる現場に生まれていました。

2024年――「UP」の広がりと、練習生時代の歌への再会

「UP」は、もともとコンサートで披露するためのソロ曲でした。
音源として聴きたいという声を受け、2024年に配信されます。
カリナは、四人の調和を作る面白さと、自分一人で制作全体に関わる面白さは違うと語っています。
ソロは、グループでの自分を拡大するだけの場所ではなく、自分で選ぶ範囲が広い場所になりました。

2024年10月「リムジンサービス」出演時のカリナ(KBS Kpop/TVREPORT掲載)
2024年10月「リムジンサービス」出演時のカリナ(KBS Kpop/TVREPORT掲載)。
画像出典:画像掲載元

同年10月の「リムジンサービス」では、「I Choose You」や「1994年のある遅い夜」などを歌っています。
ダンス曲のステージとは違う番組で、声と旋律に目を向けてもらう機会でした。

そこで練習生時代の悩みも語り、かつて選ばれたいと思いながら練習した歌を、デビュー後の自分として届けています。
ソロ曲が広く聴かれるようになった年に、出発点にあった一曲も表に出た。
カリナの歌を知るうえで、この二つが並んだことには意味があります。

2025〜2026年――強く押し出す歌と、相手に寄り添う歌

2025年には、JANNABIの「사랑의이름으로!(愛の名のもとに!)」に参加します。
ここで大切にされているのは、二人がそれぞれ存在感を競うことより、柔らかな声の重なりです。
旋律を受け渡し、音色とハーモニーをなじませる歌が、曲の親密さを支えています。

2025年8月のソウル公演に出演するカリナ
2025年8月のソウル公演に出演するカリナ。
画像出典:画像掲載元

同年のソロ「GOOD STUFF」では、重いトラックと印象的なフックを持つヒップホップダンスへ。
カリナも作詞に参加し、自信のある態度を前へ出しました。
誰かと歩調を合わせる歌と、自分が中心に立つ歌を、同じ年に見せています。

本人は「Menagerie」から作詞に関わり、「UP」では全体を書いたと説明しています。
ソロの制作を重ねる中で、歌う内容も自分で担うようになりました。

2026年9月に配信された「16 Bit」は、R&Bのダンス曲です。
作詞に加わったカリナは、時々ぼやける自分の内面を、壊れては組み直されるピクセルに重ねています。
強い態度を打ち出す歌に加え、自分の不確かさを歌の主題にする作品も加わりました。

得意な歌と求められる歌の間で悩んだ頃から、自分で書き、見せ方を考え、相手に合わせて声を交わす現在へ。
カリナの変遷は、声が強くなったという一本道ではありません。
同じ声で何を語り、誰と、どんな距離で歌うのか。
その選択を本人が担う範囲が、少しずつ広がってきた歩みです。

曲ごとの声の選択は、カリナ(aespa)の歌い方で掘り下げています。

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