カリナ(aespa)の歌い方|曲を開く中音域と、強さだけにとどまらない声の選択

2024年10月「リムジンサービス」出演時のカリナ(KBS Kpop/TVREPORT掲載) カリナ(aespa)
2024年10月「リムジンサービス」出演時のカリナ(KBS Kpop/TVREPORT掲載)

カリナの歌は、前へ出る時と、誰かの声になじむ時で、印象が大きく変わります。
aespaの曲を開く声、ソロのヒップホップ、JANNABIとの柔らかなデュエット。
その違いを考えると、強さだけでは説明できない歌い方が見えてきます。

声の高さを比べるだけでなく、どの音域を入口にし、どこで旋律を広げ、相手とどう重ねるか。
カリナの場合は、この三つをたどると、声の使い道がつかみやすくなります。

中音域の声で、曲の入口を作る

カリナは、曲の導入を任されることが多い理由として、自分の中音域のボーカルがグループの中で役割を持つからではないかと話しています。

曲の入口では、その後に続く歌との関係も大切になります。
最初からすべてを高く大きく歌えば、後の旋律が広がる余地は小さくなる。
中音域の声を先に置くと、曲の土台となる印象を作りながら、後に登場する声との違いを出せます。
カリナの役割を考える時も、一声だけを切り出すより、その後に誰の声が、どんな高さで続くかに目を向けると分かりやすくなります。

2026年1月の取材掲載写真/カリナ
2026年1月の取材掲載写真/カリナ。
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「Next Level」の強さは、曲の勢いに応えるためのもの

「Next Level」について、カリナはグルーヴとエネルギーのある曲だから、声にもさらに力を出そうとしたと話しました。
力強さは、いつでも同じように押し出す性質というより、この曲に必要な方向として選ばれています。

この曲では、ラップの流れと、エネルギーのあるベースの反復が大きな要素になっています。
声だけが強く聞こえればよいのではなく、ビートの上で言葉が進む感覚も、曲の勢いを支えます。

ラップに近い言葉の運びと、音を伸ばす歌では、同じ力強さでも使い方が異なります。
短い言葉を置く場面では、音の始まりや長さがリズムを作る。
旋律をつなぐ場面では、次の音へ流れていくことが必要になる。
この違いを無視して全体を押し続けると、言葉の動きも、歌の広がりも平らになってしまいます。

カリナの歌を見る時に大切なのは、強いか弱いかの二択にしないことです。
同じ曲の中でも、言葉を立てる部分と、旋律を渡す部分では役目が違う。
力強さを、曲の流れの中へ置いて考える必要があります。

ソロでは、ヒップホップの中へ歌とアドリブを入れる

カリナは、パフォーマンスにはヒップホップ、歌うことにはロックバラードを好むと話しています。
ヒップホップを中心に歌の部分を置き、アドリブにはロック的な音域を使う。
ソロには、自分の好きな要素を一曲の中で組み合わせる発想があります。

最初のソロ「Menagerie」も、ヒップホップのビートに、流れるような旋律が重なる曲として評されています。
拍に乗ることと、音の線を描くことが、同じ曲の中にあります。

「GOOD STUFF」では、カリナ自身がバックグラウンドボーカルも担当しています。
歌唱のディレクションはSAAY。
主役の声を一つ置くだけでなく、後ろに重ねる声も含めて録音の形が作られています。

アドリブは、決まった旋律の周囲に加わる声の動きです。
フックを繰り返して曲の形を覚えてもらい、その周りに違う高さや長さの声を置くと、反復の中に動きが生まれる。
カリナが語るジャンルの組み合わせも、好きなものを並べるだけでなく、一曲の中で声の役割を分ける考え方として捉えられます。

指導者のチャン・ジニョンも、カリナがブラックミュージックを多く聴いてきた感性を評価しています。
声の高さだけでなく、どんな音楽に親しみ、その感覚を歌へ持ち込むかも、表現の土台になっています。

ビートに乗る声だけで完結させず、旋律とアドリブにも見せ場を作る。
カリナのソロでは、異なる歌い方が同じステージを支えています。

明るい歌と、声そのものを聴かせる場も持っている

「YEPPI YEPPI」の録音では、カリナ自身も元気に楽しく歌えたと振り返っています。
同じアルバムでも、強い曲と弾むような曲では、歌う時の気分が変わる。
重々しい印象をいつも保つことが、この声の条件ではありません。

そのアドリブ録音には四人で一緒にブースへ入っています。
一人の声だけを完成させる録音と違い、同じ場で歌う仲間の勢いも受けながら、曲の明るさを作る経験でした。

「リムジンサービス」では、「Flowers」「I Choose You」「1994年のある遅い夜」「Surrender」が歌唱曲として並びます。
ダンスの見せ場を中心にした曲だけを知っている人には、旋律を歌うカリナへ耳を向ける入口になります。

こうした選曲があるため、カリナをラップと低い声だけで捉えると、歌の一部を見落とします。
ソロで歌の部分やアドリブを入れたいという考えも、別の曲で旋律を歌う経験と合わせると、より具体的に見えてきます。

JANNABIとのデュエットでは、声の重なり方が主役になる

「사랑의이름으로!(愛の名のもとに!)」では、カリナとチェ・ジョンフンの柔らかな声の重なりが評価されています。
互いの音色をなじませる旋律とハーモニーが中心で、自分だけを前へ押し出す歌とは違う魅力があります。

終盤、最後のサビへ向かう途中にも、二人の声を合わせた流れの中でカリナが口ずさむ場面があります。
その後をピアノとギターが受け継ぐ。
声だけで頂点を作り切るのではなく、楽器へつながる道筋の中に歌が置かれています。

2025年8月の取材掲載写真/カリナ
2025年8月の取材掲載写真/カリナ。
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誰かと声を重ねる時には、自分の音量だけを基準にできません。
相手の言葉の長さや、音が消える場所との関係で、二人の歌の近さが変わります。
強い声が出せることと、相手の隣へ声を置けることは、別々に考えたい表現です。

本人はR&Bやジャズが好きで、いつか自分の曲にも取り入れたいと語っていました。
舞台で前へ出る姿と、親密な音楽を好む気持ちが、一人の中にあります。
柔らかなデュエットも、その歌の幅を知る具体例です。

曲を開く中音域、ビートに乗る強さ、ソロの旋律とアドリブ、そして相手になじむ柔らかさ。
カリナの歌い方には、それぞれを使う場所があります。
一つの音色を強調して似せるより、その曲で声がどんな役目をしているかを聴くことが、魅力をつかむ近道です。

これらの表現がどのように広がったかは、カリナ(aespa)の歌唱変遷でたどっています。

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